見出し画像

統合デザイン学科4年生インタビュー#08河島倫子

河島倫子(かわしま りんこ)
多摩美術大学統合デザイン学科5期生
佐野研二郎・小杉幸一・榮良太プロジェクト所属

ー現在の主な活動について簡単に教えてください。
現在はアートディレクションや、グラフィックデザインを基軸に紙媒体のデザインを制作しています。最近では、本だったりパンフレットだったり、著作物を作るのが楽しいです。


ー統合デザイン学科に編入した経緯を教えてください。

私は2年生まで美術系の短期大学に在籍していましたが、そこでビジュアルデザインを学んでいくにつれて、もっと領域を超えて広い意味でのデザインを勉強したいと思うようになりました。そんな時に、統合デザイン学科の卒業制作のwebサイトを見ました。自分が好きな作品を作っている人が多く興味を持ったため、統合デザイン学科に3年次編入しました。印刷媒体の他にも、プロダクトやもっと広い範囲のデザインとその考え方を学びたかったので、編入後はアートディレクションに基軸を置きながらも、プロダクトやインフォメーションデザインの授業から幅広くデザインを学びました。


ー今までに制作した作品について教えてください。

画像1

画像2

画像3


1つ目は、九州に現代美術館ができたことを想定したアートディレクションです。
チケットやショッパー、内観のデザインを行いました。これは、2年前くらいに短期大学の時に制作したものを大学4年次にブラッシュアップした作品です。九州や沖縄は日本で一番日の出が早いので、日の光をアイコンにしました。九州・沖縄の県と同じ数の光の筋をモチーフにロゴを制作し、併せてコミュニケーションツールに展開していきました。その美術館で使われる欧文フォントとピクトグラムも既存のフォントを軸に作字、形作りをしていき作品に加えました。
私は、授業が終わった後も作品を作り続けたり、何年か経って「やっぱりもっと良くしよう」と思いブラッシュアップすることが多いです。課題の締切が終わってその期限内では良いものはできなくても、その後に改めて考えて結果的に自分が納得するまで作り続けることを心がけています。

画像4

画像5

画像6


2つ目は、自分が欲しい時計を制作するという形態演習の課題で、『omo』という置き時計を作りました。
私はずっしりした雰囲気をまとった置き時計が欲しかったので、石膏を使い、重たい時計を制作しました。『omo』は石膏でできた2つのパーツとアクリル製の針から出来ています。本体の接合部分が斜めになっているので、素材の重さもあって本体の重みだけを用いて閉じることができます。そのためムーブメントを挟むだけで組み立て不要なつくりになっています。制作プロセスとしては、最初に完成形の形を想定して、その型をモデリングし、それを3Dプリンターで出力、そこに石膏を流し込んで固めるという少し手間がかかる方法で制作しました。リーフレットやショッパー、パッケージなどは授業が終わった後に制作し、最終的にブランディング作品として完結させました。


画像8

画像7


3つ目は、1日1回、数字の書かれたキャラクターの髪を切ってあげて日付をカウントする『ヘアカットカレンダー』というものです。これは、「新しいカレンダーを作る」という課題で制作した作品で、日にちをカウントする時に、目で見て確認するだけでなく何か自分でアクションを起こせないかなと思い、キャラクターの髪を切ることと、紙を切ることを掛け合わたカレンダーを制作しました。12ヶ月分あり、ヘアスタイルが面白いキャラクターをたくさん作りました。この作品は友人に欲しいと言ってもらえることが多く、その反応が嬉しかったです。


ー制作において大切にしていることはなんですか。
締切との兼ね合いもあるのですが、自分が納得できるまで作品を作り続けるということと、好きなものをとにかくたくさん買って資料にするということです。


ーどういう時にブラッシュアップをしますか。
自分の作品を見直したときに下手だなと思ったら、直すようにしています。
形態制作の授業で自分が欲しい時計を制作しなさいという課題が出たときに、初めて自分が欲しいものはなんだろうと考えるようになりました。
今では自分が見たいと思うデザインや欲しいと思うものを作りたいという思いが、ブラッシュアップするモチベーションになっています。


ーどういう基準で資料を集めていますか。
私は本を買うのがすごく好きなので、かわいいと思った本は分厚い作品集でも、小さいzineでも、装丁や印刷、誌面のレイアウトに注目しながら買っています。最近買ったお気に入りの本は、写真家である川谷光平さんの写真集です。ブックデザインも写真も両方が魅力的なところと、本文と表紙に不思議な質感の紙を使っているところがお気に入りです。この本は南青山にあるSKWAT/twelvebooksで購入しました。興味のある本を買うことが趣味でありインプットであり、制作に繋がっていることだと思います。


ー卒制はどんなものを作ろうと考えていますか。
今は具体的に何をすると決まっているわけではないのですが、本来の用途ではないものを違うものに見立ててそこに心地よさを見出す、ということに興味があります。例えば、道に落ちているネットや工業製品などを普段使うプロダクトに転用するなどです。それは本来の使い方ではないですが、何か一瞬でもそれを使って心地いいと思ったり、その場所、その瞬間にフィットするようなプロダクトを制作しようと思っています。あとは、作品だけではなく空間までを美しくディレクションすることにも興味があるので、空間のデザインにも力を入れていきたいと思っています。

(インタビュー・編集:松坂陽日)

Instagram:@kwsm_419
Website:https://rinkokawashima.com


次回の統合デザイン学科4年生インタビューは…!

「常に手を動かして造形を確かめていく」
小池康晴(こいけ やすはる)
多摩美術大学統合デザイン学科5期生
米山貴久・丸橋裕史プロジェクト所属

形の美学や人間工学にも視野を広げて自主制作をしている小池さん。
小さい頃から動くものに関心があり、紙や段ボールを使って工作をしているうちにものづくりの楽しさに気づいたそう。
そんな小池さんが制作で大切にしていることとは。
4年生インタビュー第9弾公開中です!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?