見出し画像

俺たち地元のどん底界隈

こんにちは。
気温の高さを感じる季節になりました。私は、コンビニ前の灰皿のところに踏みつぶされた蝉の姿を見て、彼らの声を強く意識するようになりました。

尾崎世界観の小説「祐介」を読みました。
感想を書いていこうと思います。
かなり微小ですがネタバレが含まれますので、未読の方は本作を読むことを薦めます。


私は一人の親友といつも言っている事があります。
「俺たちはどん底を味わった。それは誰にも感じられないものだ。」
過去の出来事。ずっと囚われている私と親友は抜け出そうともせず、ただただどん底にいました。

しかし、本作の主人公である祐介は私たちのどん底とベクトルは違えど、私たちより遥か奥底のどん底にいました。

「どうしようもない。」という言葉がお似合いでした。
バンドメンバーとの間に起こった亀裂、恋したのはピンサロ嬢、カスみたいなバイト、お金も無い、人望もない、売れる気もしないバンド活動を続ける祐介は私なんかより死んでいました。

夜中、ごみ捨ての時間。パンパンに膨れたゴミ箱の中に自分を見つけてしまいそうで、それが怖くて仕方がなかった。

尾崎世界観『祐介』文藝春秋,2016年,138頁

このフレーズ、どう生きてきたら書けるんだ。なんでこんなフレーズを書いてまで生きてるんだ。
「祐介」は尾崎世界観の人生を半分ほど正確に書いているという話を聞きました。しかし、それを聞いた分余計に不思議に感じる。仮にこのフレーズが半分だけ本当だとしても、私ならば生きていたくない。

どれ程の絶望を味わっても、口先だけの死にたいという言葉は私にとって空気のように軽い言葉で実際は度胸も勇気も何もない。

元NBA選手のデニス・ロッドマンという方が離婚した時に絶望し、車の中で銃口を咥え、本当に死のうと思ったという有名な話があります。
三者からの視点では祐介はそれほどのレベルだと感じられました。

死ぬまで一生愛されてると思ってたよ
ずっと私の薄暗い、ヘドロみたいな気持ちを少し軽くしてくれる。そんな歌を歌ってくれてありがとう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?