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飲食店のダイナミックプライシング事例

ダイナミックプライシングとは?

ダイナミック・プライシング(Dynamic Pricing)とは、商品やサービスの価格を需要と供給の状況に合わせて変動させる価格戦略。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

身近で分かりやすい例は、ホテルの宿泊料金。季節や、平日・週末など曜日によって金額が変わりますよね。
利用者の多い、金曜日土曜日は平日よりも価格が高く、夏休みや観光シーズンの方が価格が高くなる。

ポイントは、同じ部屋を利用するのに、金額が異なる、ということ。

北参道の定食屋さん『お食事処asatte』

飲食店の事例をひとつご紹介します。

このお店の取り組みは、コロナ過における"密回避"のための施策でした。
この記事でみるところ、800円~1500円まで価格の幅があります。

12席で、定食ワンメニューだから"密回避"という文脈だと納得感があり、
お客様の反応も悪くない様子。これで、13時以降が忙しくなってきたら、
13時の時間帯の価格も変わっていくのでしょう。

そう、ダイナミックプライシングで分かるのは、飲食店の商品在庫というのは、料理ではなく席。ということですね。

席が埋まっていたら、食材の在庫があったとしても売ることが出来ない。
その時間に提供できる席数=商品在庫が決まってる。
だから、一番の理想は営業している全時間帯で同じ数のお客様が来て常に席が埋まっていること。席数が少ないお店では、満席でお客様を帰す、という機会損失はイタイですよね。あと30分でも遅く来てくれたら入れられたのに…。
しかし、食事は時間帯によって人が集中する。

需要が時間帯によって増減する為、ダイナミックプライシングによって、
繁忙時間に金額を高くして、需要を抑制し、閑散時間に金額を低くし需要を喚起する。

商売として考えたら、違和感のない売り方。でも飲食店で導入する例はとてもまれです。このお店もコロナがなければ導入されていたかどうか、分からないですよね。

ホテルとは違って、飲食店は予約前提で利用することが浸透していないこともあり、繁閑予測や納得感ある金額設定が難しい。

時間帯によって変わる商品の値段を、スタッフが把握しておく?
では入店時の時間によって判断するのか?それとも注文時?お会計する時間?
確かにいつもは14時くらいは人が来ないが、今日は団体様の予約が入っている。この時はどうする?

飲食店では、変動する価格の管理がとても煩雑になってしまうから、現実的に導入は難しかったです、今までは。
それが、デジタル化によりだんだんと可能になって来ている。

個人個人でオーダー可能!『焼き鳥IPPON』

焼き鳥IPPONでは、ドリンクメニューを曜日や時間帯に応じた4段階の価格で販売している。


このお店、ダイナミックプライシングだけでなく、自身のスマホでオーダーするモバイルオーダーシステムで、1人1人がそれぞれ注文できる。焼き鳥屋さんなのでそれぞれ好みがあるだろう。塩なのかタレなのか、それも個人で選んで注文できるのだ。連れに遠慮して好みじゃないタレの串を注文しなくてもいいし、みんなが食べられるように串から外さなくてもいいのだ。
さらには、レモンサワーも、アルコールの濃さ、レモンの濃さまで細かく選ぶことが出来る。ダイナミックプライシング関係ないけど行ってみたい。体験したい。大抵こういうお店は東京23区にあるんだ。しかもお酒をたしなみたいから夜行きたいけど、田舎から出ていくのはハードル高いぞ、くそう。

失礼。時を戻そう。

焼き鳥IPPONでは、データの量がたまったら、ドリンク以外にもダイナミックプライシングを導入するみたいなので、今後注目したいところ。

ダイナミックプライシングも価格設定は難しい。例えば、忙しくない時間帯だとしても、あまりにも安く設定してしまうと利益が出なくなってしまうし、忙しいからと言って高すぎても、お客様の納得感の範囲内でないと、
来店されたとしてもお店へのイメージが下がってしまって、再来店に繋がらなくなるというのもお店のマイナスになってしまう。

その細かい設定の判断も、データによって可能になっていくのかな、と期待しています。

デジタル化の利点は、人力では不可能だったデータを収集できること。そのデータを使って経営に活かしていくことが、新しい飲食店の形・飲食DXであって、ただ単にモバイルオーダーを導入したり配膳ロボットを入れることではない。この感覚が飲食業界全体に広がっていって欲しいな、と思います。

実は、飲食店のダイナミックプライシングで一番身近な例は「ハッピーアワー」です。居酒屋さんで14時~17時までの時間は、ドリンク半額。などけっこう前々から実施はされていたんですよね。
それを実施して、来客数はどう変わったのか?利用者のお店へのイメージは?目的来店はあるのか?etc… やりっぱなしの施策だともったいない。

今回紹介した、ダイナミックプライシングの事例2店はドリンク・料理に金額変動をかけていたが、それ以外のプライシングの発想も出てくるかもしれません。
高級店では実施していた、席の場所によっていただく金額を変えてみたり、予約なしの場合は金額があがったり?(これは反感買うよね、、、)
アイデアだけなら色々出てきますね。

また、アルバイトさんの時給で、土日祝日はプラス50円、なんかも人件費の変動率をあげている施策。売れる日に人を確保するために金額をあげている。まぁ時給の場合はヒマだから下げる、ってのは難しいですけどね..。

そんなこんなで、ダイナミックプライシングの事例を紹介しました。
当たり前のように受け入れているやり方の視点を変えてみると、
新しい広がりが増えてくる、かもしれません。

以上!!
焼き鳥~!

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