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人生100年時代に知っておきたい「トンチン年金」

2019年の日本人の平均寿命は男性が81.41歳、女性が87.45歳で過去最高を記録しています。

少子高齢化の問題は日本の課題ですが、私たちひとりひとりが取り組めることというのは少なく限界があります。それよりは、現実を受け止め「人生100年時代」を健康長寿で生き抜くためにどんな準備が必要か考えていく方が楽しい日々が送れるように思います。

今回は、長生きするほどお得になる「トンチン年金」について紹介したいと思います。

「トンチン年金」って何?

トンチン年金とは、イタリアの銀行家トンティ(Tonti)が17世紀に考案した年金制度です。国庫に融資する者に対して元利の支払に変えて終身年金を与えるというものでした。年齢群ごとに集団を設け、その集団の生存者で年金を分配するという仕組みです。

現在では、「低解約返戻金型の個人終身年金保険」になります。この保険は、年金受取開始前に死亡した人への支払いを抑え、その分を長生きした人への年金に回すことで保険料を抑える仕組みになっています。長生きする人ほど有利になるという年金保険です。

「低解約返戻金型の個人終身年金保険」
いろいろ混ざっていて分かり辛いと思います。「低解約返戻金型の個人終身年金保険」は「低解約返戻金型」で「一生涯(終身)」、年金を受け取り続けられる「個人年金保険」と考えましょう。

「低解約返戻金型」・・・解約返戻金額を低く設定することによって保険料を抑えた生命保険です。既払込保険料総額より解約返戻金や死亡払戻金が少ないことが特徴です。

「個人終身年金保険」・・・一生涯年金を受け取れる個人年金保険です。

保険料が安く一生涯年金が受け取れる保険です。長生きの時代に公的年金の不安が広がると人気が高くなります。自分は何歳まで生きるのかという目標のもとメリット・デメリットを参考に「個人年金保険」を保険選びの選択肢に入れるとよいでしょう。

【メリット】
長生きするほど有利

【デメリット】
・長生きしないと損をする
・解約返戻金や死亡払戻金が少なく設定されているため解約や早期に死亡すると元本割れをする

【ポイント】
損益分岐点をしっかり確認すること
(何歳まで生きれば有利か)

人生100年時代(ライフ・シフト)

「人生100年時代」と良く聞くようになりましたが、この言葉はロンドン・ビジネス・スクール教授のリンダ・グラットン、アンドリュー・スコットによる『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)100年時代の人生戦略』(東洋経済新報社)の中で提唱された言葉です。

2017年9月には、政府でも人生100年時代に向けた「人生100年時代構想会議」が発足し、政府のグランドデザインを検討する会議で議論が行われています。

「人生100年時代構想会議」の目的と主要テーマ

2017年9月に行われた第1回目の会議では4つのテーマに基づいて超長寿社会における経済・社会システムに関する議論が進められました。

①全ての人に開かれた教育機会の確保、負担軽減、無償化、そして、何歳になっても学び直しができるリカレント教育※1
②これらの課題に対応した高等教育改革※2
③新卒一括採用だけでない企業の人材採用の多元化、そして多様な形の高齢者雇用※3
④これまでの若年者・学生、成人・勤労者、退職した高齢者という3つのステージを前提に、高齢者向け給付が中心となっている社会保障制度を全世代型社会保障へ改革

※1 「リカレント教育」リカレント(recurrent)には繰り返しや循環するといった意味があります。リカレント教育は生涯にわたって教育と就労のサイクルを繰り返す教育制度で回帰教育、循環教育と言われることもあります。
※2 大学にしても、これまでの若い学生を対象にした一般教養の提供では、社会のニーズに応えられないのではないかと考えられます。
※3 ③が有能な人材確保のカギであり、企業にしてもこれまでの新卒一括採用だけではやっていけないだろうと考えらます。

2018年6月13日の「人生100年時代構想会議」会議の中では「人づくり革命 基本構想」がとりまとめられています。

人づくり革命 基本構想

1-幼児教育の無償化
2-教育の効果と高等教育の無償化
3-大学改革
4-リカレント教育
5-高齢者雇用

現在の日本は既に超高齢化社会であり、年金受給を目前にした年齢の方や既に年金を受給されている方などは、すぐ目の前の老後の生活の心配や健康の心配などがあると思います。しかし、人生100年時代に向けた議論の中では、長期的な改革として若者から高齢者までが健康で豊かに暮らせる新しい社会システム構築の必要性が議論されているのだと思います。

明るい長寿社会「健康長寿」

日本人の平均寿命は2019年度で男性が81.41歳、女性が87.45歳ですが、平均寿命は健康寿命との間にギャップがあります。

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日本人の平均寿命は男性で81.41歳、女性で87.45歳で長寿国家ですが、健康寿命をみると、男性が72.14歳、女性が74.79歳男性で約9年、女性で約13年のギャップがあります。この期間は何を意味するかというと病気で介護が必要な状態になってしまったりなどで人の世話になって生きる期間という事になります。この期間は病院への通院が増えたり、入院生活になったり、介護が必要であったりとお金がかかる期間でもあります。

現在、公的年金の受給開始年齢は、原則65歳です。高齢期を目前にした年齢の人や現在年金暮らしの人は健康の不安や老後の生活の不安などが目の前の課題だという人もいるでしょう。政府による社会改革の実現が1年後や2年後の未来かというとそれは難しい現実なので、まずは、今の社会生活の中で健康寿命と平均寿命のギャップを埋めるためにはどうしたらよいか、という事を一人一人が考え自分の健康寿命を延ばすことが大切だと思います。

健康寿命を延ばすために高齢者がいつまでも健康でいる秘訣は「高齢者の社会活動」にあると考えられています。そして日本の社会においての「高齢者のプロダクティビティ」が重要視されています(「プロダクティビティ」=「生産性」)。高齢者のプロダクティブな活動については今現在定義されている活動はありません。しかし、報酬があるかないかに関わらず社会と関りを持ち経済的な価値を有する活動を行っていくことがいつまでも健康で長生きする秘訣であるとされています。また、趣味を持つことなども大切だと考えられます。

経済的な価値を有する活動とは?

●有償労働
●ボランティア活動
●家事、介護などの無償労働など

ちょっと疑問!「高齢者って何歳から?」
国連では、60歳以上を高齢者として定義し、80歳以上を後期高齢者としています。 一方、国際保健機構(WHO)では、高齢者は65歳以上となっており、80歳以上が後期高齢者となっています。

まとめ

世界一の長寿国である日本は「人生100年時代」に向けて問題が山積みです。これから生まれてくる子供や若者、高齢者、全ての国民に活躍の場があり、全ての人が元気に活躍し続けられる社会、安心して暮らすことのできる社会作りが必要となっています。時代に合わせた社会システムの変化は人々の価値観や概念に影響を与えることもあるかもしれません。しかし、急速に変化する時代の中で柔軟でいたいものです。

その変化の中で生きる私たちも今の現実と向き合って自分の人生をいつまでも健康でどう生きるかという事を考えていかなければいけません。必ずやってくる老後の生活をどうするか、その準備は早いに越したことはありません。老後の暮らし方を準備する手段はたくさんあります。多くの人の中で公的年金に対する不安もある中、自分でする老後の準備に長生きすればするほどお得になる保険があることも知っておくとよいでしょう。

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