それ・あれと그것・저것の使い方が日本語と韓国語でときどきズレる件について
韓国語の「こそあど言葉」について
日本語には「こそあど」言葉というものがあります。
「これ」「それ」「あれ」「どれ」のことですね。
こそあど言葉のことを文法用語で「指示詞」というのですが、
韓国語にももちろんあります。
「이 / 그 / 저」です。
この順番で「これ、それ、あれ」に対応しています。
日本語の指示詞と韓国語の指示詞は大部分同じ感覚で使えるのですが、ときどき日本語で「それ」というときに韓国語では「あれ」というなど、使い方に若干の違いがあります。
この投稿では、日本語と韓国語でどういうときに指示詞の使い方が違ってくるのか、説明したいと思います。
日本語と韓国語で使い方が同じ場合
違いを見る前に、まず日本語と韓国語で指示詞の使い方が同じ場合から確認してみますね。
使い方が同じなのは、話し手と聞き手の立ち位置が向かい合っていたり、違う場所にいる場合です。
その場合、指示詞の使い方はこうなります。
・話し手の近くのモノ(人)を指すとき
→これ、ここ、この
→韓国語では이것 / 여기 / 이...
・聞き手の近くのモノ(人)を指すとき
→それ、そこ、その
→韓国語では그것 / 거기 / 그...
・話し手・聞き手双方から遠くのモノ(人)を指すとき
→あれ、あそこ、あの
→韓国語では저것 / 저기 / 저...
絵にするとこんな感じです。
話し手と聞き手の立ち位置が向かい合っているというところがポイントです。
このとき、日本語と韓国語の指示詞は同じと考えてOKです。
日本語と韓国語で指示詞の考え方が違う場合
繰り返しますが、
話し手と聞き手の立ち位置が向かい合っているときは
日本語と韓国語の指示詞は同じ考え方で使えます。
しかし、話し手と聞き手の立ち位置が変わってくると、
指示詞の使い方もちがってくるんです。
その違いがでるのは次の3パターンです。
1)話し手と聞き手の立ち位置が同じ場合
2)相手と話していて、その場にいないもの(人)に言及するとき
3)昔を思い出すときの「あの」
ひとつずつ見ていきますね。
1)話し手と聞き手の立ち位置が同じ場合
話し手と聞き手が同じ方向を向いているときなど、
立ち位置が同じ場合は次のような使い分けをします。
・話し手・聞き手がいるところのモノ(人)を指すとき
→日本語:これ、ここ、この・・
→韓国語:이것 / 여기 / 이…
・話し手・聞き手の比較的近くのモノ(人)を指すとき
→日本語:それ、そこ、その・・
→韓国語:저것 / 저기 / 저…
・話し手・聞き手から遠くのモノ(人)を指すとき
→日本語:あれ、あそこ、あの・・
→韓国語:저것 / 저기 / 저…
つまり、
話し手と聞き手が同じ方向を向いているときに
日本語では「そこ」と表現する場面で
韓国語では「저기(あそこ)」を使うということです。
言い換えれば
話し手と聞き手が同じ立ち位置にいる場合は
韓国語では「그(その)」を使わないということ。
絵にするとこんな感じです。
なので、
もしあなたが韓国のタクシーに乗っている場合、
「そこの信号で止めてください」
と運転手さんに伝えたいのであれば、
그 신호등ではなく、
저 신호등 앞에 세워 주세요
(あの信号灯の前に止めてください)
というのが正しいことになります。
2)相手と話していて、その場にいないもの(人)に言及するとき
これはちょっと複雑ですが、
例えばこんな会話があったとします。
その場にいない人(モノ)を話題にしているとき
その話題の対象者(対象物)を知っているかどうかで
指示詞の使い分けがあります。
日本語では次のように使い分けます。
・話題の人(モノ)を聞き手も知っている場合
→「あれ」「あの人」など「あ」のついた言葉を使う
・話題の人(モノ)を聞き手が知らない場合
→「それ」「その人」など「そ」のついた言葉を使う
つまり「あ、あの人?」と言ったBさんは
山田さんを知っていることになり、
「だれ、その人?」と言ったCさんは
知らなかったことになります。
しかし、韓国語の場合はこのパターンで「저(あの)」を使いません。
韓国語では話題の人(モノ)を知っていようがいまいが
「그 사람(その人)」や「그것」など、
그を使うんです。
3)昔を思い出すときの「あの」
「あの人は、いまごろ何してるかな?」
昔のことを思い出すとき、
日本語では「あの〇〇」という言い方をします。
しかし、
韓国語では「저 사람…」とは言いません。
このときもやはり「그(その)」を使うのが韓国語です。
그 사람 지금 뭐 하고 있을까?
(その人、いま何しているかな?)
なので、
「あの時のあの人!?」という日本語を
韓国語にしたいときも「저 때 저 사람?」ではなく
그 때 그 사람
になるわけです。
ご参考ください。
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