[決算][3M Company] 2024年第2四半期(2024年4月~6月)
オリジナルデータ
URL : https://investors.3m.com/
3M Company の2024年第2四半期の決算が2024年7月26日(金)、米国株式市場Open前に発表されました。
Financial Highlights
部門別売上高の推移配下のグラフのとおりです。今期からヘルスケア部門がSolventum社に分離されてなくなったので、緑色のセグメントの売上が消滅し、だいたい前期までの4分の3の売上になっています。
これだけ見ると、売上高ダダ下がりみたいに見えますが、ヘルスケア部門以外を取り出してみると意外と悪くないです。
決算をざっと見た印象としては、
前年同期に利益の全部を食いつぶした訴訟費用が大幅に減少し、GAAPの利益がプラスになりました。
生産性の改善に加え販売数量が伸びたことで利益が上がっています。数量増という点が素晴らしいです。
Consumer 部門は弱いが、産業向けは堅調。強弱まだら模様。
でした。
インフレで消費者の購買力が毀損して Consumer 部門が弱いのは納得感があります。なのに産業部門が強い。今の日本もそんな感じではあります。値上げがきついので個人消費は弱いけど、企業業績はそんなに悪くない。
Press release
CEOが交代して初めての決算です。CEOのコメント、力強いです。
曰く、
調整後利益は2桁成長し、キャッシュ創出力は力強い。従業員たちの並外れた貢献に感謝する。残り半年も、引き続き従業員たちの奮起に期待できるだろう。
私は以下3点に集中的に取り組む。持続的な売上成長、業務パフォーマンスの向上、効率的な資本配分。
3Mが長期にわたり様々な製品を発明してきたことに敬意を表し、またこの素晴らしい会社を率いることにわくわくしている。
Presentation
Solid Q2 results, significant opportunities ahead
CEOが言っていた「3つの注力点」の詳細です。
サプライチェーンの強化とかバランスシートの維持とか、当たり障りのないことも含まれていますが、着目すべき最重要ポイントは「Organic Growth」です。わざわざ「研究開発を再度活発化して、新商品の開発を加速する」と言っているので、発明家集団としての3Mの力を信じてそこに最大限投資する、ということでしょう。$1.51→$0.70 と大幅減配したこともあり、軸足を成長に移すと明確化した印象です。
Q1 2024 operating margin and EPS
調整後営業利益率は、前年同期の17.2%から21.6%に改善しています。リストラ費用が減ったことに加え(プラス2.7%)、Organic growth と生産性の改善(プラス3.1%)が寄与。株式報酬費用による利益押し下げ影響(マイナス2.0%)を跳ね返しています。
Safety & Insudtrial
Organic growth はプラス1.1%、調整後営業利益率は22.6%。
organic growth
産業用接着剤、産業用テープは5%前後の伸び
Consumer Safety、自動車アフターマーケット向け製品は1~4%の伸び
電機関連製品、屋根用の粒状補修材の伸びは0%
研磨剤、産業用特殊材料は1~4%のマイナス
産業向けの市場は強弱まちまち。一般消費者は消費活動に慎重。
調整後営業利益は前年同期比プラス0.4%。
販売数量増、生産性改善、リストラ費用減
株式報酬費用増、Solventum Corporationのスピンオフに伴う費用
Transportation & Electronics
Organic growth(調整後)はプラス3.3%、調整後営業利益率は22.3%
Organig growth(調整後)
エレクトロニクスは6~9%の成長
高機能材料は5%前後の成長
自動車、航空機、ブランディング、輸送関連は1~4%の減少
エレクトロニクス部門が堅調。スペック・イン(※)が成功したこと、半導体市場が強いことが後押し。
電気自動車関連が17%の成長で引き続き強い。
調整後営業利益率は前年同期比プラス2.5%
販売数量増、生産性改善、リストラ費用減
株式報酬費用増、Solventum Corporationのスピンオフに伴う費用
※顧客の発注に、自社が得意とする技術や製品を織り込んでもらう活動
Consumer
Organic growth はマイナス1.4%、営業利益率は17.4%
Organic growth
Home Improvementは5%前後の成長
Consumer Safety & Well-beingは1~4%の成長
Home and Auto Care の売上が1~4%減少
Packaging and Expression の売上が5%前後減少
営業利益率は前年同期比0.8%のマイナス
販売数量減
株式報酬費用増、Solventum Corporationのスピンオフに伴う費用
リストラ費用は減ったが補えなかった
ガイダンス
2024年通期見通しは、下限値が1Q決算から上方修正されました。
Organic sales growth(調整後)は 0%~+2%
2023年のマイナス4.4%から改善
調整後営業利益率は
20.7%20.95%~21.45%2023年比で
2.00%2.25%~2.75%改善
継続事業の調整後1株利益は
$6.80$7.00~$7.30
Marketの反応
Pre-Market
Pre-Marketの反応は好調です。
前日終値に比べて9%以上値上がりしています。
ニューヨーク市場の反応
決算を受け、株価は終日堅調に推移。
株価チャートの形もとても良いです。窓を開けて大陽線を描き、出来高も激増。潮目が変わりましたね。
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