見出し画像

[決算][3M Company] 2024年第2四半期(2024年4月~6月)


オリジナルデータ

URL : https://investors.3m.com/

3M Company の2024年第2四半期の決算が2024年7月26日(金)、米国株式市場Open前に発表されました。


Financial Highlights

部門別売上高の推移配下のグラフのとおりです。今期からヘルスケア部門がSolventum社に分離されてなくなったので、緑色のセグメントの売上が消滅し、だいたい前期までの4分の3の売上になっています。

部門別売上高の推移

これだけ見ると、売上高ダダ下がりみたいに見えますが、ヘルスケア部門以外を取り出してみると意外と悪くないです。

- 売上高は63億ドル。ヘルスケア部門を除くと前年同期比マイナス0.5%。
- 調整後売上高は60億ドル。organic growth は前年比プラス1.2%。
- 継続事業からのEPSは$2.17。前年比倍以上。
- 継続事業からの調整後EPSは$1.93。前年比プラス39%。
- 営業キャッシュフローは10億ドル。
- 調整後フリーキャッシュフローは12億ドル。

決算をざっと見た印象としては、

  • 前年同期に利益の全部を食いつぶした訴訟費用が大幅に減少し、GAAPの利益がプラスになりました。

  • 生産性の改善に加え販売数量が伸びたことで利益が上がっています。数量増という点が素晴らしいです。

  • Consumer 部門は弱いが、産業向けは堅調。強弱まだら模様。

でした。

インフレで消費者の購買力が毀損して Consumer 部門が弱いのは納得感があります。なのに産業部門が強い。今の日本もそんな感じではあります。値上げがきついので個人消費は弱いけど、企業業績はそんなに悪くない。


Press release

CEOが交代して初めての決算です。CEOのコメント、力強いです。

曰く、

We delivered another strong quarter with adjusted earnings growth up double-digits and robust cash generation. I want to thank 3M employees for their exceptional execution, which we expect to continue in the second half of the year.

As I look ahead, I am focused on three priorities: driving sustained organic revenue growth, increasing operational performance, and effectively deploying capital. I have long admired 3M’s track record of innovation and am excited to be leading this great company and by the opportunities ahead.

調整後利益は2桁成長し、キャッシュ創出力は力強い。従業員たちの並外れた貢献に感謝する。残り半年も、引き続き従業員たちの奮起に期待できるだろう。

私は以下3点に集中的に取り組む。持続的な売上成長、業務パフォーマンスの向上、効率的な資本配分。
3Mが長期にわたり様々な製品を発明してきたことに敬意を表し、またこの素晴らしい会社を率いることにわくわくしている。


Presentation

Solid Q2 results, significant opportunities ahead

CEOが言っていた「3つの注力点」の詳細です。

サプライチェーンの強化とかバランスシートの維持とか、当たり障りのないことも含まれていますが、着目すべき最重要ポイントは「Organic Growth」です。わざわざ「研究開発を再度活発化して、新商品の開発を加速する」と言っているので、発明家集団としての3Mの力を信じてそこに最大限投資する、ということでしょう。$1.51→$0.70 と大幅減配したこともあり、軸足を成長に移すと明確化した印象です。

Organic Growth
• Reinvigorate R&D, accelerate new product introductions
• Improve execution at customer interface

Operational Excellence
• Reduce complexity
• Drive lean manufacturing and logistics
• Improve supply chain management
• Lower yield loss
• Increase service level with lower inventory

Capital Allocation
• Fully-fund organic growth
• Pay attractive dividend
• Maintain strong balance sheet
• Deploy excess cash on repos, M&A… dispassionate portfolio review


Q1 2024 operating margin and EPS

調整後営業利益率は、前年同期の17.2%から21.6%に改善しています。リストラ費用が減ったことに加え(プラス2.7%)、Organic growth と生産性の改善(プラス3.1%)が寄与。株式報酬費用による利益押し下げ影響(マイナス2.0%)を跳ね返しています。


Safety & Insudtrial

Organic growth はプラス1.1%、調整後営業利益率は22.6%。

  • organic growth

    • 産業用接着剤、産業用テープは5%前後の伸び

    • Consumer Safety、自動車アフターマーケット向け製品は1~4%の伸び

    • 電機関連製品、屋根用の粒状補修材の伸びは0%

    • 研磨剤、産業用特殊材料は1~4%のマイナス

  • 産業向けの市場は強弱まちまち。一般消費者は消費活動に慎重。

  • 調整後営業利益は前年同期比プラス0.4%。

    • 販売数量増、生産性改善、リストラ費用減

    • 株式報酬費用増、Solventum Corporationのスピンオフに伴う費用


Transportation & Electronics

Organic growth(調整後)はプラス3.3%、調整後営業利益率は22.3%

  • Organig growth(調整後)

    • エレクトロニクスは6~9%の成長

    • 高機能材料は5%前後の成長

    • 自動車、航空機、ブランディング、輸送関連は1~4%の減少

  • エレクトロニクス部門が堅調。スペック・イン(※)が成功したこと、半導体市場が強いことが後押し。

  • 電気自動車関連が17%の成長で引き続き強い。

  • 調整後営業利益率は前年同期比プラス2.5%

    • 販売数量増、生産性改善、リストラ費用減

    • 株式報酬費用増、Solventum Corporationのスピンオフに伴う費用


※顧客の発注に、自社が得意とする技術や製品を織り込んでもらう活動


Consumer

Organic growth はマイナス1.4%、営業利益率は17.4%

  • Organic growth

    • Home Improvementは5%前後の成長

    • Consumer Safety & Well-beingは1~4%の成長

    • Home and Auto Care の売上が1~4%減少

    • Packaging and Expression の売上が5%前後減少

  • 営業利益率は前年同期比0.8%のマイナス

    • 販売数量減

    • 株式報酬費用増、Solventum Corporationのスピンオフに伴う費用

    • リストラ費用は減ったが補えなかった


ガイダンス

2024年通期見通しは、下限値が1Q決算から上方修正されました。

  • Organic sales growth(調整後)は 0%~+2%

    • 2023年のマイナス4.4%から改善

  • 調整後営業利益率は20.7%20.95%~21.45%

    • 2023年比で2.00%2.25%~2.75%改善

  • 継続事業の調整後1株利益は$6.80$7.00~$7.30


Marketの反応

Pre-Market

Pre-Marketの反応は好調です。
前日終値に比べて9%以上値上がりしています。

Yahoo! Finance より

ニューヨーク市場の反応

決算を受け、株価は終日堅調に推移。
株価チャートの形もとても良いです。窓を開けて大陽線を描き、出来高も激増。潮目が変わりましたね。

SBI証券外国株取引ページより
SBI証券外国株取引ページより


関連記事


「この会社の事業内容、決算知りたい!」募集中。