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コミュニティについて

これまで多くの”コミュニティ”というものに関わってきたのですが、2021年の締めくくりにまとめnoteを書くことにしました。私はコミュニティのプロではありませんので個人の雑記です。あまり期待せずに読んでいただけると嬉しいです。来年加筆や清書します。

コミュニティとの出会い

出会いは2010年、当時のデロイトトーマツコンサルティング様に所属していた八子さん(現 INDUSTRIAL-X CEO)がクラウド早わかりという書籍を発売されたことをきっかけとした有志によるクラウド勉強会でした。業界を代表する方々が登壇してくださったこと、熱量の高い参加者が多かったことなどから10年間でなんと32回、東京を拠点に大阪、名古屋、ときには釧路でも開催されることになりました。基本的には土曜日の13時から19時に企業の会議室をお借りして実施していましたが、休日にも関わらず毎回50〜100名の方が参加し、聞くだけではなくパネルディスカッションや参加者同士の議論も必ずセットになっていました。

この八子クラウドというコミュニティはただの勉強会ではなく、参加者同士が共に学び、新しい事業や取り組みが生まれることを目的にしていました。実際に多くのアライアンスや契約、転職など多くの出来事のきっかけとなるコミュニティでしたが、同時に私のコミュニティの原点であり八子クラウドがなければ、私はSalesforce社に転職していなかったと思います。

ここでの学び
・魅力的なコンテンツが必要
・一定の参加ルールが必要
・参加型であることが重要
・運営チームも楽しめる内容であること

クラウドの師匠八子さんはコチラ

ユーザーコミュニティという新しい衝撃

2012年にSalesforce社へ転職しましたが、そこで待っていたのはユーザーコミュニティという今まで出会ったことのないモノでした。製品のユーザーが集まり、ノウハウを共有しながら活用を深めていく、社外に仲間を見つけることで悩みを共有し課題を解決していく様子はとても新鮮でした。しかし外資系ITベンダーにとっては一般的な仕組みでありAWS社ではJaws-UGというコミュニティが大盛況で、その仕掛け人こそがコミュニティの師匠で書籍も出版されている小島(おじま)さんでした。多くの認知を企業側からのアプローチで作り出すのではなく、ユーザー自身が発信者となり製品を伝播してく構造に注目し、製品拡販のキードライバーのひとつとしているという話を聞いて驚嘆しました。

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出所:小島さんの登壇資料より(コーラムさんのページです)

また、当時は競合として対峙することもあったMarketo社(現 adobe社)のコミュニティは強力で「あのコミュニティに入りたいからMarketoを選択する!」というユーザーがいたほどです。コミュニティは新しいお客様を呼んでくれるだけではなく、製品購入動機のひとつになり得ると体感した出来事でした。

ここでの学び
・BtoCと同じようにBtoBでも第三者の評価は重要
・ツールベンダーの発信ノウハウよりもユーザーもノウハウが貴重
・量より熱量、キーパーソンが重要
・詳細は小島さんの書籍で!

コミュニティの師匠小島さんはコチラ

イベントを中心としたコミュニティへの挑戦

私はこの10年、インサイドセールスという領域に多くの時間を投資してきました。2012年当時はまだ認知も薄く、実際に社内にそういった組織を持っている企業は少なかったと思います。そんなインサイドセールスの認知を上げ、多くの情報を流通させることで一気に浸透させたいと思って立ち上げたのがインサイドセールスカンファレンスです。単純に展示会をしようという話ではなく、界隈のベンダーや有識者を集め、交流を促すことも目的としていたため、第1回は以下のようなパネルディスカッションが中心となりました。

ステージA
Salesforce社、Marketo社、HubSpot社

ステージB
V-CUBE社、日本マイクロソフト社、ベルフェイス社

ステージC
スマートキャンプ社、セールスロボティクス社、ブリッジインターナショナル社

どのセッションも”競合”が同じ壇上で行うパネルディスカッションです。実際にいままでコミュニケーションがなかったが会場で初めて顔を合わせたというベンダーさんもいらっしゃいました。※展示ブースも競合同士を隣接させることで交流を生み出しました。それによって参加者側の情報収集工数も下がったのでとてもおすすめです。
時代を大きく動かすには小さな市場を取り合うのではなく、共に新しい市場を作り出すことが重要と考え登壇依頼にお伺いしたところほとんどの企業が賛同してくださいました。ですから当日の開会の挨拶で掲げたキーワードは”競争から共創へ”でした。

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現在も年に1回のペースで継続開催しておりますのでご興味がある方はぜひご参加ください。2021年の詳細はコチラです。

ここでの学び
・意思があれば応えてくれる方はたくさんいる
・ニッチな業界こそ企業の壁を越えた共創が必要
・情報収集する側からすると集まっていたほうが楽
・イベント期間限定という瞬発力は強い

ユーザーコミュニティの会長をやってみる

2018年くらいだと思うのですがSalesforce社からのお誘いもあり、良い経験なのでSalesforce ユーザーグループ、インサイドセールス分科会の会長を務めさせていただくことになりました。せっかく請け負うのですからいままでにないことをやろう!ということでこれまで四半期に一度程度だった開催頻度を”毎月一度開催”に変更しました。もちろん中身ありきではあるのですが、インサイドセールスの認知と情報を届けていくためには頻度も重要だと思い回数先行で実行しました。本音をいえばかなり苦しかった、とくにコンテンツを考え、登壇者をアサインし、コンテストを開けばトロフィーを準備するということを日常業務を行いながら継続するのは仲間の助けがなければ不可能だったと思います。それでも断念しなかったのはインサイドセールスを広げていくという強い信念があったからに他なりませんが、客観的に見ればこのような熱量の高い人間を発掘し、協力を仰ぐことが重要だと小島さんもおっしゃっています。

ここで特筆したいのはSalesforce社のスタンスです。ユーザー会はあくまでもユーザー主導で実施すべし、という強い信念がありました。もちろん会場提供や集客フォームなどの作成には多大なるご支援をいただきましたが、企画、運営、集客、運営はユーザー自身で行わなければなりませんでした。非常に苦労した記憶がありますが、それでもそれが正しい形だと思っています。場合によっては大きく支援することもありますが、目指すのは自走であり、それが可能と判断した場合には後方支援にまわります。それによって同時に複数の分科会を運営することができるので効率的ですし、分科会に”暖簾分け(小島さん談)”することが熱量を増進する力強い打ち手となるのです。

また、Salesforce社の営業担当の皆さんは分科会の実施に合わせてよくお客様とご案内していました。ここでも商談や追加ライセンス、追加製品の販売への有効な手立てとして認知されていることを強く感じました。※もちろんこれは主題ではなくあくまでも副次的な効果であるということはご理解ください。少なくとも私はそのような目的をメインにコミュニティを構築することは無いと思います。

ここでの学び
・ユーザー会長には熱量のある人を推挙する
・ユーザー会はユーザー自身で運営することが望ましい
・暖簾分けして分科会にしていくと熱量が高まる
・副次的効果として商談を進めることにも効果的

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※写真の出所はコチラ

インサイドセールスのオンラインコミュニティを作ってみる

インサイドセールスカンファレンスや分科会を運営していく中で「もっとつながり続けられる場所を作りたい」と思うようになりました。また、インサイドセールス関連の方々からも「どうやってインサイドセールスに関する情報収集をすれば良いか」という質問を多くいただくようになりました。そこでFacebookで非公開の承認制コミュニティを立ち上げることにしました。非公開にした理由は(正確には承認性のコミュニティにした理由は)、コミュニティの規約に反した場合にご退出いただくためです。もちろんよほどのことがない限り退出いただくことはありませんが、スパムを撒き散らすアカウントなどが存在する以上、コミュニティの健全性を担保するためにはこういった仕組みが必要であると判断しました。

いくつかのルールを作成しました。

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また、「私は管理人でありコミュニティの所有者ではない」という基本スタンスを持っています。ですから基本的に私個人でなにか判断することはありません。不適切な投稿だという指摘があれば対応し、コメントの多くは指摘ではなくお願いや説明です。それはコミュニティというものは誰かの所有物でも、拡声器でもなく、収益源でもないという考え方から来ています。

おかげさまでインサイドセールスコミュニティは現在2,000名を超える方にご参加いただき、日々たくさんの投稿がされています。欲を言えばもっと活性化させたい、たくさんの投稿や相談がみたいとも思いますが、これもまたひとつのリアルなのだと理解しています。一方で分科会においては質問やコミュニケーションが活発に起こっているところをみるとやはり「コミュニティは量より熱量」なのだなと感じています。

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Facebookのインサイドセールスコミュニティはコチラ

ここでの学び
・オンラインコミュニティはこれから重要度を増す
・できれば専用のツールを使えると良いなぁ
・コミュニティは参加者のモノ、発起人はただ管理人
・オンラインも分科会が熱量が高まる

HRMOS採用という製品はコミュニティもその一部

HRMOS採用はこれまでユーザー会からスタートし、現在はユーザー以外にも参加いただけるコミュニティになっています。ハーモスラボというコミュニティなのですがこれまで多くの方にご参加いただけたことで多くのノウハウが流通し、ユーザー様がリーダーをつとめてくださることで手前味噌ながら素敵なコミュニティとなっています。

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そもそもHRMOS採用という製品は「製品とサポートとコミュニティで採用を強くする」というコンセプトを持っています。我々が提供するものはツールに過ぎず、しっかりとしたカスタマーサクセス部隊の支援とユーザー様同士の忌憚のない情報交換があってこそ採用が強くなると考えています。そういった意味でもコミュニティは追加の要素ではなく、コミュニティを含めてHRMOS採用であると考えています。

ハーモスラボではHRMOSの使い方、というテーマが話されることは多くありません。それよりもユーザー様がいま困っている採用についてのテーマが話されることがほとんどです。コミュニティとはそうあるべきであると思いますし、ユーザー主体で運営されることで本当に必要な情報が流通すると考えています。これは当時、Salesforce社のユーザー会で学んだことと同じ状況です。

そんなハーモスラボですが現在はコミュニティマネージャーを筆頭にさらなるパワーアップをはかるべく準備をしています。私もこれまではあまりコミュニティには関わることができませんでしたが、2022年からはこれまで学んだすべてを投資し、そして必要な環境を整えることでお客様にとってもっと価値のあるものにしていきたいと考えています。そしてそれが製品をさらに魅力的なものにしていくのだと信じています。

ハーモスラボはコチラ

ここでの学び
・コミュニティは製品の一部
・ユーザー主体で必要なことが流通する支援をする
・ハーモスラボはこれからさらに面白くなります

最後に

ダラダラと書いてまとまりがないものになってしまいましたが、拙著にも「インサイドセールスはこれからコミュニティに関わるようになる」と書かせていただきましたが、本当にそんな時代がきていると思っています。ツールベンダーが提供するものは製品から、製品とサポートへ、製品とサポートから製品とサポートとコミュニティへ、そしてエコシステムをいつか提供することになるのではないか、その変化の始まりなのではないかと考えています。

次の時代はコミュニティ、です。

おわり

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