快と不快の境界線-04

快と不快の境界線(モノを増やしていく実験)

「less is more」という言葉があるように、ものを少なくシンプルにすることにより、生活が豊かになっていくと感じることがあります。しかし一方で、極端に全く物を無くしてしまうと、それはそれで不快に感じると思います。

今回、快と不快の境界はどこにあるのかを探るために、ゼロから物を増やしていく簡単な実験を行いました。そこから考えたことをまとめてみたいと思います。(実験は、「365日のシンプルライフ」という映画を参考にしています。)

実験の前提

ルール
・何もない状態からスタート。
・本当に必要だと思った家具を少しずつ足していく。

(実験期間:2015年6月 / 実験場所:ヘルシンキ)

実験内容

0) 野外(なにもない場所)

比較対象として、野外からはじめました。

★ 現状の不快ポイント
・セキュリティの欠如
・風や寒さからの守りの欠如
・プライバシーの欠如


1) 部屋

部屋に入ると、一気に落ち着きました。

★ 現状の不快ポイント
・光が少ないため、日中しか活動できない。


2) 電球

電球を追加することで、日が落ちても活動することができるようになりました。

★ 現状の不快ポイント
・固いフロアの上で寝るのがしんどい。


3) マットレス

マットを敷くだけで、寝心地が一気に変わりました。

★ 現状の不快ポイント
・床での作業がしんどい。


4) テーブル+椅子

床での作業から机と椅子が加わることで、一気に作業がしやすくなりました。

★ 現状の不快ポイント
・作業時に、書く文字がクリアに見えない。


5) テーブルライト

手元が暗くて書いている文字がクリアに見えなかった問題が解消されました。

★ 現状の不快ポイント
・窓の外から誰でも覗ける環境が、少し居心地悪い。


6) カーテン

カーテンを追加することにより、プライバシーが守られ、一気に心地よくなりました。

★ 現状の不快ポイント
・なし。(大きな点では)

実験から考えたこと

必要最低限の「快」には意外と早く到達する
6項目目のカーテンを手に入れた時点で、"大きく"不快を感じる要素はなくなりました。もちろん、「もっと寝心地がよくなるように枕が欲しい」とか、「洋服をかけるスタンドが欲しい」はあるのですが、6項目目までの「不快ポイント」と比較するとそこまで深刻ではありませんでした。ざっくり図にまとめると、以下のようなイメージになるんじゃないかなあと思いました。


優先順位から自分の大切にしていることが見えてくる
「365日のシンプルライフ」の中でのPetriの実験では、優先順位として「テーブル」「カーテン」などは後回しで、それよりも「枕」や「目覚まし時計」「ヨガマット」の方が先という順番で、自分とは全然違いました。自分は当時学生だったのもあり、毎日文字や絵を書く作業が必須で、テーブルなどが早めの順番になったと思います。1階に住んでるかどうかでカーテンが必須かどうかなど「環境」に左右される面もありますが、「その時自分が大事にしていること」にも順番は大きく影響すると感じました。そのため順番を意識することで、自分が生活していく(生きていく)上で何を大事にしているかが見えてくると感じました。


最低限の「快」と追加の「快」を意識する
「365日のシンプルライフ」の中でも以下の発言がありました。

生活に必要なものは100個くらいだと分かった。その次の100個は生活を楽しむため。

今回自分は、服などの細かい要素までは含めてなかったので、こういった要素も含めると、最低限必要な物の数は上記の通り100個ほどになるのかなと思います。そして豊かな暮らしを考えると、ある一定の追加分が快適の範囲なのかなと思います。しかしただ漠然と生活していくと、ものは300個、400個と増えていきます。ものの量が増えすぎると、生活だけでなく、自分自身も複雑になっていくように感じます。かたづけコンサルタントのこんまりさんも著書の中で

自分にとって必要なモノや求めているモノが見えていないから、ますます不必要なモノを増やしてしまい、物理的にも精神的にもどんどんいらないモノに埋もれていってしまいます。

と述べられていました。
最低限の「快」と、追加の「快」で何を大事にしたいかを意識して、豊かに生活をおくっていきたいと感じました。


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