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【1分読書】『晩御飯は空を歩く』

『晩御飯は空を歩く』
 鳶は赤茶色をして空を歩く。愚痴などを言いながらのろのろと歩き、その鈍い動きが猟師にとって都合がいい。猟師は空を歩く鳶の胸の辺りに照準を合わせると静かに引き金を引いた。
「おおい、鳶や。これは大層痛くなるぞ」
 弾は命中した。鳶は空を歩く。しかし歩けない様になる。なぜかと言うと、鳶は命を落としたのだ。すぐに死んだわけではなく、徐々に死んでゆく。
「お前の肉は美味いんだ」
 猟師は他の鳶の味を言う。この、今撃ち落とした鳶を食べたことがあるわけもないのに。鳶は思った。仲間たちは空を歩けなくなった時、自分の味を想像するのかと。

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