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採用PR雑感、自社メディア編

「採用○○」というワードを使うとだいたい”○○”の人々が苛立ちを覚えるというのが定番なのですが、そんなことはいったん置いておき、採用PRの話です。

直接関わっている訳ではない立場なものの、「採用PRブログのコンセプトを決めていく」という話を耳にして、せっかくならと自分なりにも考えてみました。

「どんなメディアにしたいか(WHAT)」より先に「何のためのメディアか(WHY)」

まず、いきなりメディアのコンセプトを考えるのではなく、採用PRにおけるメディアの役割、候補者体験において採用PRメディアがどのような機能を担うのか、という前提の部分から考えないとな、と強く思いました。これまでの色々な業務の経験を踏まえると、全体像、大上段の視点を外してしまうと、しばらく経った時に「あれ、これ何をしたくてやってたんだっけ?」ってなってしまうことが多々あるので。

詰まるところ、メディアも採用PRの手段の1つにすぎず、メディアをどう運用するかを考えるにあたっては、メディアがどんなミッションを担っているか?という点を踏まえないことには、妥当なコンセプト検討ができないと思うのです。特に採用PRメディアは、これを考えなくても運用ができてしまうが故に強く感じます。

どういうことかと言うと、採用担当をしていても感じるのですが、知って欲しい事を挙げだすとたくさん出てくるんですよね。良い人が多い、経営者が熱い、イケてる制度がある、映えるオフィス・・・・・・書こうと思えばいくらでも書くことができてしまいます。

でも、それらをただ、ひたすら垂れ流すメディアは、もちろん何も無いよりは良いですし、それから候補者が感じてくれる事はたくさんあると思うのですが、コンテンツが増えれば増えるほど、ごった煮な印象にならざるを得ないでしょう。

採用PRメディアの役割を考えてみるフレームワーク的なもの

中途半端にマーケティングのフレームワークを拝借しているのは許していただきたいですが、候補者体験におけるオウンドメディアの役割として、「機能的価値のアプローチ」と「情緒的価値のアプローチ」という、大きく2パターンにまずは分けることができるのではないかと考えています。

簡単に説明すると、以下のようなイメージです。

機能的価値のアプローチ:候補者の役に立つ存在を目指す
情緒的価値のアプローチ:候補者の感情に働きかける存在を目指す

どちらかを選択したとしてもコンテンツが結果として両方をクリアしていた、みたいなこともあり得ると思うので、完全に独立している存在というよりは、ざっくりとした感覚です。

機能的価値を持った採用PRメディアとは

機能的価値のアプローチから目指す採用PRメディアとは、言ってしまえばFAQの延長線かなと思います。

・ポジションの魅力は?
・どんな成長環境なのか?
・自身のキャリア志向にマッチしているか? etc. 

といった、転職希望者が関心を持っているトピックについて、事前にアンサーの提供をすることにより、面談をするまでもなく懸念解消やFit &Gapをしてもらえることを目指します。転職者が気にするであろう情報が必ず見つかる情報ソースにするという目的からすると、検索性が高いカテゴライズ等がカギになりそうですね。

それによって意向を高めていただけるか、あるいはミスマッチを気づき選考から離脱されるケース、どちらもあると思いますが、いずれにしても採用プロセスを充実させる一助となるでしょう。

自身の携わっている組織では、自分が専任人事になってからメディア運用を開始していますが、まずは現段階でメディアに持たせる役割を機能的価値のアプローチと明確に決め(割り切り)ましたので、具体例も兼ねて紹介します。

私は現段階の採用PRメディアの役割を、

『接点構築以降のプロセスにおいて、候補者の興味関心に対する答えが提供されている情報ソースとなること』

と定義しました。

採用PRメディアがこの役割を果たすことによって得られる主な便益としては、下記2点が考えられます。

1. 事前に情報が提供されることにより、面談時にはそれ以外の話題に時間を割けたり、あるいは提供された情報を踏まえた更に深いディスカッションをすることで可能となるため、面談の時間が有意義になる
2. あるいは逆に面談をする前に、自身の志向とはミスマッチであることが気付くことができ、双方にとって時間を余分に使う状況を避けられる

また役割をこのように定義したことで、コンテンツを企画する際にも、「事前アンケートや面談でこんな質問が出た」というリアルなニーズを起点にすることができるので、なんというか、色々捗ります。

またメディアの役割を機能的価値と決め切ることで、コンテンツの内容がブレることも防げると考えています。

具体例を出すのも難しいですが、「これ、候補者が知りたい情報だっけ?ただ自分たちが発信したいだけじゃ無いのか?」と企画段階で立ち止まることができる事は、メディア全体の印象を担保したり、他のコンテンツに対するノイズを混入させないという意味で有意義なのでは無いかと思います。

話がやや脱線しますが、ブログメディアを運営する上で、コンテンツが埋もれるという問題は結構深刻だと思います。導線の工夫など施策は色々とあるものの、特に狙いもなく発信されてしまった情報がノイズとなり本当に伝えたい情報が埋もれてしまう事は、防げるのであれば防がなければなりません。

情緒的価値を持った採用PRメディアとは

情緒的価値って何だろう?って感じなのですが、おそらく、

・楽しい、ワクワクする
・面白い
・共感できる
・イケてるなぁ
・応援したい

という類の感情を生む存在である事なのだと思います。

正直、機能的価値に比べて見解が全然煮詰まってないのですが、採用という下心がある上でこういうピュアな感情を生み出していくメディア運用ってとても難易度が高いというか、下手するとすぐ自分本位な印象になってしまいそうです。

ただ、だからこそ目指したい領域でもあります。

採用PRメディアで読者の感情に働きかけるとしたら、おそらく「ファン化」を狙っていくことになります。

先ほども記載しましたが、「イケてる」「応援したい」といった感情はそれに近いのかなと。もっと掘り下げると、「イケてる(ので、いつか働いてみたい/知人に紹介したい)」、「応援したい(し、いつか働いてみたい/知人に紹介したい)」という()がつく状態を目指す、また、いざ転職をしようと思ったときの第一想起を目指していく、ということなのだと。

私自身も圧倒的勉強不足なので、これを書きながらマーケティングの本をポチったりしている状況なのですが、ファンになる過程を科学することで、どういうコンテンツを、いつどうやって仕掛けることで、ファン化を目指すのか、と戦略的に考えながらメディアを育てていけそうですね。

またファンの裾野を広げていくのか、ロイヤルカスタマー的な存在を増やしていくのか、という方針次第でもコンテンツの方向性は変わってきそうです(面白い)。

「その会社らしさ」がファンを作る?

ちょと生煮えなのですが、ファンは、その会社特有のもの、その会社らしさに共感しファンになると思います。とするならば、自社のファンを増やしていく方針で運用していくにあたっては、そもそも「自社らしさって何?」というテーマを考えなければなりません。

なぜなら、1つ1つのコンテンツに対して「これは自社らしさを発信できているのか?矛盾した主張になっていないか?」ということをチェックしていくべきだからです。

これって結構大変ですよね。こんなこと書いてますが私も全然自社らしさを言語化できていません。。今後も徹底的に自社の観察者となって、探究していきたいテーマです。

最後に

まとまりのない展開となってしまいました。

書きながら「まだまだ勉強せねば」と感じるばかりでしたが、この文章がどなたかの思考の材料となることができれば幸いです。


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