ま、いっか。濡れて帰ろ

傘を買うか、買わぬか。
遡ること二時間ほど前。わたしは岐路に立たされていた。

ちょっと遠出をすべく、朝から出かけた本日。
シメに最寄りのヨーカドーで本屋も覗いて、満足げに外へ出る。

ジメッとした空気がお出迎え。嫌な予感がした。
恐る恐る見渡すと、案の定、お天気が崩れている。
やらかした。傘もってきてないぞ。

頭の中に2つの選択肢が思い浮かぶ。
ひとつ、傘を購入する。
もうひとつ、止むまで買い物でもして待つ。
正直、どっちも気が向かなかった。
さっさと帰りたい。でも傘を買うのもなんだか悔しい。

わがままな脳内会議を繰り広げていると、第三の選択肢が。
濡れて帰ればよくない?

家までは15分くらい。雨足は控えめで、ずぶ濡れにはならなさそう。
うん、決まりだ。
覚悟を決めて、雨の中に踏み出した。

後悔するんだろうと思ったけれど、案外たのしい。
なんだかドラマの撮影みたいな気分を味わえる。
彼とケンカして、手ぶらで家を飛び出したシーンが撮れそう。

よくよく考えてみれば、雨が降ったら傘を差すのは義務ではない。
濡れたくないからお世話になっているだけだった。
すぐ家に帰って、お風呂に入れるんなら大した問題にはならないわけで。

首を締めがちな、「ちゃんとしなきゃ」思考をいい感じにほぐせた。
当たり前だけど、傘がなくたって死にやしない。
ま、いっか。濡れて帰ろ。

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