間違いこそ個性

 正しい人生を歩もう。過去にも未来にも一度も罪を犯さず、豊かな毎日を繰り返して清潔な病院で生涯を閉じよう。という価値観が良いか悪いかはわからない。正しい生活の中に、美味いもん食いたい、好みの異性と過ごしたい、とかもある。異性というと適切でなく、好みの人間と言うべきか。

 あらゆるストレスが世の中から消えたら人は幸せになるのだろうか。嫌いな人間がいない世界の中で好きな人間に出会えるのだろうか。わからない。

 正しい生活とは、結局は頭の中にある矢印のことな気もする。人間は働かないと生きていけないが、ブラックでない正しい仕事は一種類ではなく、実際に行う作業は幾千通りもある。

 正解の人生がなんであるかはわからないし、あの時あれで良かったのだろうかと思うことはあるけれども、選択を間違った数だけ人はテンプレートから離れて自分だけの面白い人生を歩めるのではないか。正しい芸術も正しい人生もない。実際に真ん中にあるのは真っ黒な空洞だけだろう。

 円の中心から離れすぎるとそこもまた薄暗いので真ん中を目指してぐるぐる回りながらなんか言うてるくらいがちょうどいいのかもしれない。

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