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『クーデターの技術』ロシアのウクライナにおけるハイブリッド戦争はトロッキーを模範としてる(世界の歴史)

 100年以上前の本だが、本書にあるクーデターの技術はウクライナに対するロシアのハイブリッド戦争の手法そのものだ。レーニンは革命にはすべての民衆が蜂起に参加する必要があるとしたのに対し、トロッキーは反乱には冷静で果敢な蜂起戦術に長けた小部隊で十分だ、と。
 トロッキーは、国家権力の中枢は、政治・官僚機構、つまりトーリッド宮殿、マリア宮殿、冬宮にあるわけではなく、国家の神経組織、すなわち発電所、鉄道、電信・電話、港湾、ガスタンク、水道にあるとして、そこを秘密攻撃部隊を集中させた。都市のインフラや通信ネットワークを暴力的に攻撃してしまえば、国家権力は奪取できる。ムッソリーニはこのトロッキーの手法を真似て権力を奪取した。

 ロシアがクロミア半島を手中に収めたときには、TV局などを抑え、独自にラジオ局を用意しフェークニュースを流すなど、メディアなどの国民生活の基盤になるインフラを破壊したり、抑えたりすることで、実際の戦闘より効率的に低コストで目的を達成できる。それを実践したのがトロッキーだ。文化度合いが成熟する現在は、軍事力でなく、軍事技術が重要な時代になったのだろう。

 戦略が重要と言うが、トロッキーのインフラを特別部隊で狙い破壊するという手段は戦術重視ということになる。戦略は戦争が終わった後のウクライナをどうしたいかということに依存すると思うが、戦術を重視した方が効果的だ。今回クリミア併合と同じ方法が踏襲されるかどうかは分からないが、トロッキーの手法がロシアにおけるハイブリッド戦争の手段の一部になっていることは確かだ。

Creative Organized Technology をグローバルなものに育てていきたいと思っています。