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『判決、ふたつの希望』レバノンやヨルダンに難民として移住したパレスチナ人を知る作品(イスラーム)

 レバノン人監督ジアド・ドゥエイリさんの『判決、ふたつの希望』を鑑賞。

 日本人にとっては以下の山本七平氏のコメントを知っているとより深く感動できると思う。

 パレスチナ人はレバント系で農民ですから、サウジや湾岸とはやはり合わないらしいのです。現地でも嫌われるでしょう。あるペルシャ湾の小国ではパレスチナ人がその国を押さえて、次官からバスの運転手までパレスチナ人で、その国の人は大臣と下層民しかいない。もっとも大臣はパレスチナ人に握られていて、その国が中国を承認したとき、その国の首長が新聞を見てはじめて、『ははあ、俺の国は中国を承認したのか』という、笑い話があるくらいです。

 また以下は、立花隆氏のコメント。

 パレスチナ人はもともと教育水準が高い人が多かった。それぞれの国でいいポジションを得ており、特に教育職、エンジニアなどの知的職業が多い。アラブ諸国に必ず一定数が住んでいて、パレスチナ人が持つ影響力は日本人が想像するより遥かに大きい。

 「ええぇぇ、まるで米国におけるディープステートの位置づけがアラブ諸国におけるパレスチナ人?」 と驚いた人も多いと思いますが、ヨーロッパで迫害されたユダヤ人はアメリカに移住し主要な要職についているのと同じように、アラブ諸国(おそらくトルコやイランを除く)では山本七平氏や立花隆氏のコメントにあるように、総じて優秀で、逞しく生きている。
 この映画は、キリスト教マロン派とイスラム教スンニ派とシーア派(ヒズボラ)、そしてドルーズの4自治集団によるミレット制のレバノンが舞台。

 先日まで観ていたイラン映画の内面的描写とまったく違うレヴァント系映画で、米国の裁判ものとまったく違う面白さがある。今の分断されたアメリカ人が観るべき映画なのかも知れない。

Creative Organized Technology をグローバルなものに育てていきたいと思っています。