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『人生、ここにあり!』社会連帯性を作る組合システムが素晴らしい(環境研究)

 イタリアでは精神科病院を廃絶し、予防・医療・福祉は原則として地域精神保健サービス機関で行い、治療は患者の自由意志のもとで行われる、というバザリア法が1970年代後半に施行された。この映画はバザリア法の施行時期に、精神科に入院し、投薬が繰り返される患者たちひとりひとりが、協同組合の組合員としてビジネスを行い、しっかり稼げるようになるプロセスを描いた映画。

 すでに19世紀に、社会学の祖と呼ばれるフランスのデュルケムにより、人間は社会的連帯性が途切れることで、うつ病等の精神的な問題に陥ることが指摘されている。人と人とのつながりを遮断し、隔離する精神科病院そのものの存在と治療という名の隔離が地獄である、とイタリアの医師であるフランコ・バザリアは、「精神病院を生み出す社会制度を変革する必要がある」と主張した。

 この映画は、社会連帯組合という非営利の組織で、精神科病院に閉じ込められていたひとりひとりを組合員として労働し、収入を得れるようにした感動的な物語だ。ひとりひとりが組合員として参加することが、デュルケムの社会連帯性にもつながるのだろうし、その組合自体がビジネスを行うことで、社会に貢献するというシステムも素晴らしいと思う。

Creative Organized Technology をグローバルなものに育てていきたいと思っています。