『サービスデザイン思考 「モノづくりから、コトづくりへ」』ゴールの法則15(リーンスタートアップ)
ペルソナプロジェクトにおいて関わったことのある井登友一氏の著書を読んでみた。いくつか気になったのでコメントさせていただく。発売日は2022年7月26日なので過去となり、現在は次に進んでいるであろう著者に向けてのものになる。
サービスデザインのサービスをシステムと置き換えると、私の専門の「数式のないシステム工学」と同じになる。また同じく、MIT/慶応のSDMはシステム工学(システムエンジニアリング)にデザインマネジメント思考を入れたもののようだ。
1)購入後に顧客との関係がはじまる
SDL(サービス・ドミナント・ロジック)は、解約後に顧客との関係が明確になるという思考も必要だ。そもそもオーバースペックのものを間違えて提供され続けたとか、ひとつのサービスであることが多い故に起きうるサービスのミスマッチによる解約など、解約後の改善(サービスブランドの複数化も含めて)フェーズが極めて重要ではないだろうか。
2)顧客の心の声を聞く方法としてデプスインタビューと、言語化できない領域に対するものとして、TAT法やボディーランゲージの観察なども体系化した方がいいのではないだろうか。
3)ここで解説するペルソナの定義
元型=ペルソナと考えるのか、元型≠ペルソナと考えるのかを明確にした方が、心理学的に分かりやすい。ちなみに、私は後者を支持する。
4)「意味のイノベーション」という考え方は、意味を機能(F)とすると、VEにおけるコスト(C)の概念がないので弱い。
5)コ・デザインマインドには、「ミッション・アナリシス(使命分析)」のフェーズがないと、顧客との共創のピントがずれる。特に、ステークホルダーへの影響に対する認識において。
今までこういう本がなかったことが不思議だが、SDLを実装する段階でリーンスタートアップを行うのであれば、ジョン・ゴールの以下の法則を念頭におくと、拡大、拡張がスムースだ。
ゴールの法則15:複雑なシステムで働いているものは、常に働いている単純なシステムから発展してきたものである。