『日本人の承認欲求』日本の会社組織は、「基礎集団(共同体)」「目的集団(機能集団)」2つを併せ持った共同体型組織(環境研究)
マズローは承認欲求を以下の2つに分けているという。
1)強さ、業績、熟練、資格、世の中に対して示す自信、独立と自由に対する欲望。
2)他者から受ける尊敬とか尊重と定義できるいわゆる評判とか名声、地位、他者に対する姿勢、他者からの関心や注意、自分の重要度、あるいは他者からの理解に対する欲望。
1)は充足できるか否かが自分自身にかかっているのに対し(自尊の欲求)、後者は他者からの評価が基準になっているため、後者の方が他者からの依存度が高い(尊敬の欲求)。テレワークによって日本の管理職の欲求は満たされなくなった。
社会学で集団は、家族やムラなどの自然発生的で情によって結びつく「基礎集団」と、特定の目的を達成するために結集された「目的集団」の2つがある。日本の会社組織は、この2つを併せ持った共同体型組織で、社員や管理職にとり、能力、個性が認められる唯一のオアシスとなった。
共同体型組織にとって、役職の序列は単なる権限の序列にとどまらず、「偉さ」の序列でもあり、その序列は社内だけでなく、社外、プライベートにも及ぶ。
「息子(娘)の結婚式までは、なんとしても部長のままでいたい」
「出世しないと夫婦喧嘩のとき馬鹿にされるし、子供が言うことを効かなくなる」
これらのエピソードには事欠かない。
共同体型組織の日本企業は、上司も部下も近接することで承認欲求を満たしやすくなる。したがって、日本にはテレワークは馴染まない。
しかし、共同体型組織においてのテレワークは、「承認を失っていはいけない」「期待を裏切ってはいけない」とう強迫観念、すなわち「承認欲求の呪縛」から開放されることを意味する。尊敬への承認を満たす「偉さ」の見せびらかしは、正常な行動とはいえない。テレワークが常識化することで、日本の共同型組織における 2)の尊敬の承認欲求が崩れ去るチャンスが訪れた、というのが筆者の主張だ。
Creative Organized Technology をグローバルなものに育てていきたいと思っています。