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雲の写真 

 そろそろ雨が降り出しそうだ。
おぼろ雲の底がぽこぽこと垂れ込んでいる。灰色の丸みを帯びたその部分は、いかにも重たそうだ。

 足早に玄関の扉を開け、2階のベランダへ階段をトントンと駆け上がった。窓の外から吹き抜ける風が汗ばんだ身体に心地よい。クーラーも着けていないのに室外機の羽根がくるくるとまわっていた。
急いで帰宅したおかげで洗濯物は無事に回収する事ができた。
台所の椅子に腰を掛け、ふぅと一息ついた途端に雨がパラパラと音を立てて降ってきた。
屋根に打ち付けるその音は、軽やかで気持ちが良い。

 もう少し窓を開けておこうか

 夏の午後はまだまだ明るい
曇天の光加減で、庭の緑もいつもとは違ってみえる。
網戸越しのレモンの木が、小さくて硬そうな濃い緑の実を抱えながら雨を浴びていた。
小さな雨粒が、葉の上でころころと転がっている。

 植物には優しい雨だ

私は暫く庭先の木々を見つめて、五感を愉しんだ。

 雨音がだんだん強くなってきた頃、近所の小学生が元気な声をあげながら帰ってきた。
もう少し夏の雨を愉しんでいたかったけれど、窓を閉めクーラーのスイッチを入れた。

 夏の雨は、なんだか懐かしい

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