見出し画像

No.3

「この地球、パイみたいに切り分けられちゃってますね」

 それはまさに、列強諸国による中国の分割を描いた風刺画のようで。

「ディヴィジョンとは、よく言ったものですの」

「今回は、ガーデナーにしてやられました」

(BGM:サガフロンティアより「ブルーのテーマ」)

 緑の髪の少年は、白衣の研究者らしく頭を掻いて。宿敵の作り上げた奇妙な「植民地」の遠景を見下ろし、どうしたものかと思案顔。

「全体像がぼやけているのは、観測阻害のチカラでしょうか」
「世界そのものが未分化、未発達なのかも」

 同じく、緑髪の女性が見下ろすのは地球の立体映像。しかしそこに陸地はない。たったひとつの小さな点を除いては。

「この地球は、ユッフィーさんの地球に住む人々が作り出した想像上のものですが」
「わたくしたちの地球と同様に、負の感情搾取に使われてますの」

 人間が想像しうるものは、必ず宇宙のどこかに存在しうる。誰もが世界の創造主になりうる、と言ってもいい。

 RPGとは、高次元人の意思を盤上の世界に反映させる遊びなのか。それを作ったのは、実に20年来の因縁のある相手。

 彼らの現状に相応しいのは、堂々たる軍事パレードでなく。陰惨な塹壕戦の方かもしれないと、そんな考えが脳裏をよぎる。

「この地球への夢渡り適性を持つ者は、ヴェネローン側に多くありません」
「わたくしが行きますの」

 ユッフィーと呼ばれた女性の声には、決然たる意志の響き。

「たぶん、社長も動いてますわ。新たな門出をこんな形で荒らされて」

 きみは、それを赦せるか。

アーティストデートの足しにさせて頂きます。あなたのサポートに感謝。