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本の紹介

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#読書の秋2022

取り壊される校舎が卒業していく彼女たちによって再生していく逆説~朝井リョウ著『少…

高校の卒業式というのはとても特別だ、と朝井リョウ著『少女は卒業しない』(集英社文庫、2015…

アンマchan
1年前
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ドラマ化決定! ~源孝志著『グレースの履歴』~(2024年 第42回向田邦子賞受賞)

「映画ナタリー」2022年8月31日付配信の記事によると、源孝志著『グレースの履歴』(河出文庫、…

アンマchan
1年前
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「最愛の子ども」の正体を考える~松浦理英子著『最愛の子ども』~

松浦理英子著『最愛の子ども』(文春文庫、2020年。以下、本作)を読了して、タイトルでもある「…

アンマchan
2年前
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美術鑑賞で"目の見えない人"と"見える人"が歩み寄る~川内有緒著『目の見えない白鳥さ…

以前の拙稿『"目が見える"からこそ「世界の片面"すら"見えない」……だから歩み寄れる』で、伊…

アンマchan
2年前
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「落語をやってください」~ 十代目柳家小三治師匠を支えた言葉

人間生きてりゃ誰しも、事あるごとに思い出すー迷った時に指針になったり、苦しい時の支えにな…

アンマchan
2年前
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作家になるには~初代「純文学新人賞三冠王」笙野頼子~

笙野頼子著『会いに行って 静流藤娘紀行』(講談社、2020年)を読んでいて、ふと、「昔、彼女の…

アンマchan
3年前
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東京五輪女子バスケット銀メダルに想う~深田祐介著『フライング・ラビッツ』より~

2021年夏。 試合を見ながら、何度泣きそうになっただろう。 平均身長176センチの小柄な日本代表チームが、五輪決勝のコートで絶対女王アメリカと対戦しているのだ! 準々決勝・準決勝と劇的な勝利を収めての、堂々の決勝進出だった。 決勝進出を決めた翌日のスポーツ報知誌に掲載された、2020-21シーズンをもって現役を引退した日本代表の「絶対的司令塔」だった吉田亜沙美さんの観戦記の最後に『何より楽しんでほしい。(略)明日は自分たちのバスケットを信じて、今のチームメートとできるバス

阿古真理著『小林カツ代と栗原はるみ 料理研究家とその時代』から見る、戦後の女性史…

2022年2月10日配信のオリコンニュースに「1974年4月から48年間続いた料理番組『おかずのクッキ…

アンマchan
2年前
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コロナ禍で「夜の街」を翻弄したのは誰か?~甲賀香織著『日本水商売協会』~

新型コロナウイルス(COVID-19)による世界的混乱から少しは落ち着きを取り戻しつつある2022年、…

アンマchan
2年前
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フィンランド人女性が清少納言の謎を追う「サスペンス劇場」~ミア・カンキマキ著『清…

外国の生活や文化を経験した人が口にする常套句に「日本人は自分の国の歴史や文化について知ら…

アンマchan
2年前
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一生懸命な不器用女性たちが繰り広げるブラックユーモア~今村夏子著『父と私の桜尾通…

何故だろう。 本人は切実な事情を解決すべく、一生懸命・精一杯、事の対処に当たっているのに…

アンマchan
2年前
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関西弁「即興小話」的物語~東直子著『キオスクのキリオ』~

歌人・作家の東直子氏の短歌に着想を得た映画『春原さんのうた』(杉田協士監督、2022年)のパン…

アンマchan
2年前
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ページを捲って世界のホテルに泊まる~浦一也著『旅はゲストルームⅢ』~

コロナ禍でなくても、海外はおろか国内旅行でさえ腰が重く、いざ旅へ出掛けてもお酒を飲むのが…

アンマchan
2年前
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幼い頃の奇妙な記憶~呉明益著『歩道橋の魔術師』~

1970年生まれの私が子どもだった頃は高度経済成長期で、生まれ育った田舎町にも新興住宅地が増え、色々な場所から様々な人々が流入してきた。一方で、まだ戦後を引き摺っていて、近くの川沿いの土手などにはバラック小屋で暮らしている人たちがいたり、所謂「部落者」と呼ばれていた人たちも日常的に見掛けていた。 まだインターネットどころか、テレビ局さえNHKと民放1局程度であり、しかもテレビのチャンネル権も新聞も大人のもので、私たち子どもは、数だけは大勢いる近所の子どもたちと外で無邪気に遊ん