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落下羊日和 2

某日。

自宅の作業部屋で、昼過ぎからFallsheepsミーティング。「運動不足解消のため歩いていきます。」と連絡をくれたよしかが集合時間の30分ぐらい前に来た。天気が良かったから、歩いていて気持ち良かったらしい。たわいも無い話をしてたら、窓から原付走ってくる音が聞こえて、エンジンが止まる。川口兄弟がやってきた。

部屋に入ってきた淳太は、お構いなしに秒で座布団を使って「ふぅ」と言いながら寝っ転がりだした。「己の価値観を破壊した先に自己が見えてくるんです。」と常日頃から言っているいつきは、自己破壊キャンペーンの一環として、眉毛を全剃りしたらしい。人は眉毛がなくなると、こうも人相が悪くなるものなのか。ミーティングが始まる。

と言っても、今年はCulture Club Yokosukaにしても、予定していたMV撮影にしても、世の中の情勢が定まらないかぎり動きようがなく、話し合うことも何かを決めることもなかった。

しかし「じゃあ何のために集まったんじゃい」とは1mmも思わない。ライブもなくなり、いつも入っているスタジオの久里浜アプローチも休業で、音も出せない状況のなか、ただバンドが在るだけで有り難かった。何をするわけでもないけど、メンバーが集まるだけでもいいじゃないか。

淳太が最近トラックメイキングにハマって、量産しているトラックを町田界隈の友達と一緒に作っている話から、Fallsheepsも同じ手法でなにか作れないか、となり急遽うちでデモ作りが始まった。淳太がデスクに座り、以前スタジオで作りかけた曲をベースに作業を進めていく。

淳太がMIDIキーボードでドラムを鳴らし、ギターのコードワークを練る。よしか、いつき、自分が後ろからその作業を見守る。

さっきまで「公開中止になった映画2本を観るまで死ねませんねー」と喋っていたよしかが、眠くなったらしく、気づいたら座布団の上でコンパクトに体を折り曲げて寝はじめた。猫みたいに綺麗に座布団の上にまとまっていた。なかなか器用である。

淳太が作業し始めてから、作曲に没入するまでに少し時間がかかった。頭の中でなっている音を呼び出すのに、必要な集中力と言ってもいい。人によっては何をやってもダメな日もあるし、もちろん百戦錬磨の淳太も例外ではないが、途中でカチっとスイッチが入ってからは早かった。1コーラス分のデモが出来た。

作業がひと段落したところで、オルタナティブ古民家 飯島商店へみんなで遊びに行く。この家に住みながら創作活動をするマハヤ君とコムラさんと、一緒にご飯を食べよう、ということになり、カレーを作った。調理担当は自分。カレー粉で作ったら、懐かしい味がした。和室のテーブルをみんなで囲い、カレーを食べる。修学旅行みたいだ。

全員(主によしか)の圧倒的食欲により、6合炊いた米は無くなった。

食事の前後で、コムラさんとよしかによる「丁寧な暮らし系」のYoutuberの動画に、切れ味鋭いツッコミを浴びせる、という鑑賞会が行われた。「この化粧品の塗り方!おかしい!いや絶対おかしい!」「なんだこのナイトルーティーンて!」という厳しい女子2人のツッコミがやたら面白かった。淳太は少し怖がっていた。

気づいたら時計は23時。外は小雨が降っていた。日中に作っていた曲が、どんな曲になるのか想像しながら、米が浜通りを歩いて帰った。(続く)


■ Fallsheeps / 秒針 MV


■ Fallsheeps / Aid 配信中


■ Fallsheeps / Aid (CD)


■ Fallsheeps / 落下羊 Tee (BASE)


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