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落下羊日和 8

Fallsheeps 1st Mini Album "Aid"を振り返るインタビュー Vol.6
Gt / Vo 川口淳太

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(上田)まずは1曲目、秒針ってCDのセルフライナーノーツにも載っているように「両親が寸分の狂いもなく一緒にいてくれたおかげで今の自分が存在している」という思いが込められてる曲だけど、リリースして1年近くたった今、この曲に対する捉え方の変化とかある?

(淳太)他の曲は変わってきたかもしれませんが、秒針だけは変わってないと思います。この1年で、人と関わるときの気持ちや考えは変わりましたが、親に対する気持ちは変わってないですね。この曲の要が「無機質なまま通り過ぎていく 君と一緒に大人になれなくとも」という部分で、母親が言ってたことをそのまま書いたというか。母親が父親に対して「あの人は子供だなぁ」って僕に愚痴ってきて、一緒に大人にはなれなかったけどそのまま年を重ねちゃうものだな、とエモい気持ちになって母親の気持ちを代弁しました 笑 
最後のほうの歌詞も背景のエピソードがあって、両親が観音崎の海で結婚する前に別れ話をすることがあったらしく、それで一回別れらしんですよ。でも帰り際に母親が「やっぱり考え直す」と思ったみたいで、その一瞬の行動がなかったら、自分は生まれていない、そう思ったらすごいことだなと。後半の歌詞は、観音崎で起きたその出来事をイメージして書いてますね。

そうなのか。この曲をリリースして、そのあとFallsheepsのアー写を観音崎で撮影するって、何か繋がりを感じるね。

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(2020年3月某日 観音崎にてアー写撮影)

そういうこともあって、やっぱり観音崎かなと。秒針については書いた当時と気持ちが変わないし、しかも兄弟でバンドをやってることでなんか重みが増しますね 笑

いつも練習しているアプローチスタジオの粕谷さんの「秒針がカチカチ進んでいくような曲だね」という感想を元に曲名をつけたっていうエピソードも良いよね。

イメージとして「時の経過」を意識して作ったわけじゃないんですけど、粕谷さんに感想を言われた時に「あ、この曲はそういうことなんだ」と気付かされました。無意識で作ってて、後から秒針のイメージだったのね、と納得しましたね。深層心理にバチッとハマったというか、両親と時の流れについて歌っていて、カチカチした音のアレンジになって、そういうことなのか!と 笑

なるほど。そういえば、この曲ってライブだと必ず1曲目だけど、その理由は?

秒針ってジワジワ始まっていく開幕感があるじゃないですか。1曲目が一番似合いそうな曲というか。逆に1曲目以外に置いたら萎んじゃいそうな気がして 笑 他の曲を最初に持ってきてもいいんですけど、秒針はライブでやりたい曲なので、そうすると1曲目以外にないかなと 笑 他の曲を1曲目にして秒針を演奏できないのは、嫌ですね。でも、マインドが変わって「秒針最後でもいいんじゃね」ってなったらそれはそれで面白いですけど 笑

じゃあ2曲目 Super Imagination。

この曲はFallsheepsを始めてから最初の頃に作った曲で、当時24歳ならではの衝動がありますね。今とだいぶマインドが変わったのと、新曲をやりたいこともあって、ライブで演奏する機会がちょっと少なくなりましたが。

Fallsheepsの楽曲の中でも俺はこの曲が推しです。サポートで演奏していて楽しいし、タメが必要なフレーズだから難しいんだけど、好きなリフやフレーズ成分が詰まっている曲というか 笑

90'sのエモ特有のギターのハモリとか、そういう要素に加えて、00年代のギターロックを混ぜたらカッコいいなと思って作りました。エモのハモリかたをしつつ、ギターをガシャガシャ弾くってあんまりないから、こういうのやったらかっこいいんじゃないかなって。この時はコード進行を凝るのに力を入れてたんで、それゆえの青さを今改めて感じます。

この曲のメッセージやマインドはこの1年で変化した?

この曲というより、Aidという作品全体が「寂しさ」と向き合うものであったんですよ。当時、前にやってたバンドが解散して付き合ってた彼女に振られて、という状況だったので、その寂しさの現れなんです。「君の為に作ったこの場所から望んだ景色は想像通りじゃない」という歌詞も、バンドや彼女のためにいろいろ積み上げてきたけど、未来は全然想像通りじゃなかったわ、というちょっと後ろ向きなことも言ってます。でも今は環境も変わって、寂しくないので、歌っている時は別の人格が憑依しているかんじです 笑 

そう考えたら今はだいぶポジティブになったよね。それと、今の視点からすると、曲として当時の気持ちを残しておいてよかったね。

当時はまじで病んでました 笑 今は楽しい毎日ですが、振り返るともっと昔、18歳ぐらいから曲をいっぱい書いておけばよかったなと思いますね。

次回作ではモノクロメルト(淳太が高校生時代にやっていたバンド)の曲が、Fallsheepsによって復活すると一部で噂になってますが、熱狂的なモノクロメルトのファンのムーブメント次第ではあり得る話かい?笑

モノクロメルトのファンなんているのかよ!って話ですけどね 笑

続いてUncertain。これはNow,Nowの曲からインスパイアされたって聞いたけど、なんていう曲だっけ?

Now,Nowの「Giants」と「Thread」という2曲が混ざってるかんじです。

この前、移動中の車でいつきが「Giants」流した時に改めて聴いたら、ドラムパターンがそのまんまじゃねぇか!って笑ったわ。

そうですね 笑 マインド的に、Uncertainが当時の自分と今の自分を比べてめっちゃ変わってるんですよ。当時は洋楽のエッセンスが入った音楽をやりたくて、そういう方向のシーンに行きたいと思ってました。

なるほど。これを初めて聴いた時、TEDDYで邦ロック・ギターロックをやってたイメージの淳太が洋楽志向の曲を作ってくるのはびっくりしたんだよね。

だいぶ意識しましたね。そういう意味でも衝動が詰まっているというか。ギターロック畑の抑圧というか、あんまり攻めたことをしづらい風潮にあったというか、そういうのにも飽き飽きしていた時期でもありました。なので、前のバンドが解散して新しいバンドを始めようという時に「やりたいことをやってみよう」と気持ちでしかなかったです。

改めて聴くと、その気持ちや衝動がパッケージングされているって納得できる曲だね。TEDDYを知っている人が聴いたら俺と同じようにびっくりしたんじゃないかな。

そういう狙いはありました 笑 ある意味、TEDDYを聴いてくれてた人たちを突き放す行為ではあったんですけど「でもこれが本当の俺だし」みたいな 笑 

その部分だけブログ上では太字にして強調しておくね 笑

おねしゃす 笑

この曲はいつきと2人でスタジオ入って原型を作ったと聞いたけど、その時のエピソードとかある?

最初いつきとバンドやろう、って誘ったら「やだよ」って断れたんですけど、とりあえずスタジオで音出そうよって2人でスタジオ行って、ストックしていた曲の断片みたいなものを弾きながら、いつきにドラムを合わせてもらってワンコーラスぐらいまで完成したんですよ。そのスタジオ終わったら、いつきが「やるわバンド」っていうかんじになりました 笑

そうなんだ 笑 結成の経緯として、今後Fallsheepsが他の媒体でインタビュー受ける時とか、毎回この話するんだろうなぁ 笑 いつきが最初バンドを組むことに前向きじゃなかったっていうのも面白いね。

当時は、精力的にバンド活動していた人間とただの高校2年生ですからね。気持ちは分かると 笑 ただ、僕はヘタクソでもいいから、音楽の趣味がフルでマッチする人とバンドやりたいなと思ってたところ、それが弟だった。それだけの話なんですけど 笑

そしたらその流れで聞きたいんだけど、よしかをバンドに誘ったのはどういうのがきっかけだったの?

当時VeltpunchとかSUPER CARがめちゃくちゃ好きだったのもあって、女性の声を入れたいバンドだよね、っていつきと話してて、当時「花魁少年」で活動してたよしかに花魁のペースを崩さない程度でいいから、一緒にやってみない?って電話して誘いました。昔から超良いベーシストだし、コーラスワークもできて、音楽の趣味も近かったので。

よしかはベーシストとしてのスペックはすごい高いよね。

そうなんですよね。出しゃばらないんだけど、音色はゴリっとして強烈だから、個性もあって、彼女が高校生の頃から良いベーシストだなと思ってました。弦を撫でいてるようなピッキングであの音を出すなんて... どうやってるのか分からないけど 笑 

本人曰く、あのサウンドは使ってるmomoseのベースの特徴です、と話してたけど、最近momoseの調子悪くて、サブのFender使ってるじゃん?でも同じ音すしてんのね。結局弾き方じゃねぇかって 笑

たしかに 笑

(vol.7へ続く)


■ Fallsheeps / Aid 配信中​

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■ Fallsheeps / 落下羊 Tee (BASE)


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