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落下羊日和 9

Fallsheeps 1st Mini Album "Aid"を振り返るインタビュー Vol.7
Gt / Vo 川口淳太

(上田)3曲目、平日スタイル。Aidだけでなくて、最近作ってる曲含めてFallsheeps全体として、良い意味で異質じゃん?これはどういうマインドでやっちゃったの?

(淳太)いやー、なんか分からないですね。もはや覚えてないです 笑 あのイントロの爆裂感、カウントしてから全員がボキボキにでかい音出すってかっこいいじゃないですか。そういうのってやったことなかったんで、やりたいなと。曲作ってる時、いつきに「最初8分音符でシンバルとキックでっかく鳴らして!」というとこから始まって、そこから進行を考えて、できた曲ですね。

コードや進行は別として、やっていることはハードコアっぽい 笑

そうですね 笑 やっぱりでかい音鳴らすの良いわーと思って。そこから、ストックしてたフレーズを当てはめて作りました。

全体通して4つ打ちだし、ライブのセットリストの中でも良い変化球として映える曲だと思いました。

当時はジャンルに対するこだわりが強くて、エモやオルタナをベースにやっていく中で、平日スタイルみたいな曲をやっていくことが、違和感ではあったんですよ。オルタナの人たちと対バンした時に「こいつらシャバいことやってるわ」と思われるんじゃないかなって。普通、エモやオルタナを素養としてるバンドってWOW〜とかコールアンドレスポンス的なことをやらないから。当初はモヤモヤしてたんですけど、やっていくうちに今となっては平日スタイルがないとフックが足りないぐらいの気持ちになってきました 笑 

この曲だけポップ的な尖り方がエグいし、展開も変わってるし、コールアンドレスポンスっぽいのもあるし。

実はコールアンドレスポンスは求めていないんですよ。お客さんに求めないけどこっちはやるよ、っていう逆張りの逆張りみたいなところで楽しんでます 笑

俺たちには、いつか FUJIROCKのGREEN STAGEで、あのコールアンドレスポンスをやるという夢があるじゃないか!笑

いや、初めて聞いたけど 笑 そういえばこの曲のシンセパート、元々僕がライブで弾いてたんですよ。でも、アルペジオのフレーズを弾きながら歌うのが3ピースバンドっぽくてかっこいなと思ったのと、上田さんが鍵盤弾けるっていうのもあって託しました。3ピースになってもライブが成立するように、という意識もありますね。でも今は上田さんがサポートをやってくれるかぎり、この編成でやっていきたいです。

大丈夫。楽しいからやるよ 笑 実は平日スタイルってAidのなかでも人気曲なんだよね。聴いてくれた人に「どの曲が一番好き?」って聴くと「平日スタイルです!」っていうアンサーが多くて。「空音を鳴らして」も人気だけど。

みんな変わってるなぁ 笑 自分的には、サビっぽいサビもないし、リスナーからしたら聴きづらい曲なのかなと思ってました。歌詞も結構刺してるつもりなんですけどね。チェックしてほしいです 笑

WOWのところの歌詞は(((しばしの共鳴)))と表記しましたが、どういう狙いが?笑

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WOW と表記するわけにもいかないので、まぁ共鳴しようぜ、と。あのパート長いんで 笑

この歌詞のデータをもらったとき、ツッコむのを一度我慢したわ 笑 サブスクでも歌詞が表示されるから、ぜひこの部分はチェックしていただきたいね。続いて「空音を鳴らして」だけど、この曲は作った当時とマインド的なところは変わった?

曲を向けてた先は変わりましたね。当時は前のバンドとか別れた彼女とか有言不実行な人に対して、何も行動起こさずに「口だけの奴はうざいな」という感情で作りました。今は特定の人の狙った気持ちではなくて、有言不実行な多勢に向けてます。当時は超イラついていたのに、今は生きてる上で、身近でそんな怒ることもなくなりました 笑

「目一杯歪ませた」って歌詞がいいよね。

なんか自分の許容量超えちゃっても、無理にドライブさせないとやっていけない、という状況でしたからね、当時 笑 そういう気持ちの現れでもあります。

「僕は先に行くよ」のメロディーは繰り返しだから、本当だったら他の歌詞が入る余地があると思うんだけど、これを一番の意思表示として、連呼する姿勢はオルタナティブを感じました。

ありがとうございます 笑 そうですね、全部に対して「僕は先に行くよ」っていう気持ちでしたね。

ちなみに怒らなくなったっていうのはどういう心境の変化が?

今、町田でMade in Me.やSANAGARAのメンバーと生活してて、些細なことで怒らなくなったのは、身近に発生する怒りや不条理って紐解いて詰めて考えると「国家権力」に辿り着くんですよ。権力を持っている人、支配層って利益を優先してまわりのことを思えない人じゃないですか。そういう人にだけ怒りを向ければいいや、という気持ちではあります。自分の仲間でもイライラすることはありますけど、キレることはなくなりました。大人になったのかなぁ。あと、曲の話に戻ると空音はやっていて気持ち良いですね。爽快感があるというか。

続いて「メノウ -Horizon Ver.-」。これは最初inner space labのレーベルコンピに提供してくれた曲だね。重ね重ねありがとうございます。

昨日、コンピver.の音源聴いてたんですけど、音悪すぎて笑いました 笑 高音域全部カットしとるんかって 笑 当時の衝動が詰まってて、良いデモだな!とは思いました。

こういうカセットテープの質感みたいな作品を作ってみたいよね 笑

あれって当時のミックスが下手だからあぁなっているだけで、今やろうとするとキレイに汚くなっちゃいますよ 笑 もう無理ですね 笑

そうなるとカセットMTR1発録りか... 笑 実はAidのなかでも一番歌詞が良いなと思っております。時間軸を感じるし、太陽・陰・砂とか情景が浮かぶ言葉がたくさん入ってるのも良い。作詞家としての川口淳太、当時の集大成の歌詞かもしれない。「やりたいことを我慢するのダメ」というのがコンセプトだけど、なにかエピソードとかきっかけとかってあるの?

これは僕がTinder(マッチングアプリ)をやっていた時に、とある女の子と仲良くなって、その子と海へ遊びに行った時に、いろいろと話したことがベースになってます。その子は自分の人生を「親に抑圧されてやりたいことがやれない」って話してて、その時にやりたいことを我慢しちゃいけないなと感じたのがきっかけです。この話が元になっているのは伝えなかったんですけど、その子に曲を送って聴かせて「めっちゃ良い」って感想をもらいました。ちなみにその子は写真をやっていて、海の写真が良いんですよ。海の写真が良いし、それを撮りたいのにやらないのは自分に対する冒涜だよ、という意味を込めて「海が遠くなる 罪は重くなる」という表現をしてます。

なるほど。「やりたいことを我慢しちゃダメ」っていうコンセプトなのに、海がモチーフになっていて、疑問だったり今までちゃんと解釈できてなかったけど、ようやく解決したわ。

あと春ってワードですが、収録されているコンピレーションが日曜日の時間軸をテーマにしてて、メノウは14:00 - 16:00っていうコンセプトだったので、その時間帯のポカポカしてるイメージから落とし込みました。春って就職するじゃないですか?新しい春を迎えるのに、やりたいことを我慢して無理して就活せんでも...っていう気持ちが「新しい春 迎える準備に時間は要らない」という表現に繋がってます。この曲も秒針と同じように作った当初から、気持ち的なところは変わらないですね。

人に向けたり、そこにエピソードがあると、同じ気持ちで歌い続けられるのか。次のアルバムもそういう曲があるといいね。

いやー、難しいなぁ 笑

(Vol.8に続く)


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