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子どもにコロナウィルスからの身の守り方をどう教える?

「子どもたちにとってはコロナという漠然としたものに対して気を付けること、自分自身の守り方など、どう伝えたらよいか教えてください。」というご質問を保育士さんからいただきました。

幼少期の子どもは自分の周囲の人や物を、何でも見て・触って・なめて・動かして(時には投げて)、を繰り返して、自分と物や他人との境界線を知ったり、自分の周りの世界との距離感や関係性を感覚的に学んでいきます。
これらの行動は自分のいる世界を知るための発達のプロセスとしてとても大事なことです。

どこにウィルスが潜んでいるかわからない状況で、安全に物や人に触れられるためにはどうしたらよいか、知恵を絞る必要があります。

あるワークショップ参加者でこんな方に出会ったことがありました。
ホテルに滞在するときは、洗剤用のスーツケースを別に持っていきます。ホテルに着き、泊まる客室に入るやいなや、その洗剤で大掃除と除菌が始まります。そしてお部屋は「出入り禁止」の張り紙をします。その後、もしホテルお掃除の人が間違って入ってきたときに備えて「触らないで」と書いたポストイットを部屋中にはりまくります。
さぞかし窮屈な人生だろうとびっくりしましたが、潔癖症の親に「ばい菌は汚い、怖い」と育てられたらしく、幼いときからそのようにしているので、ご本人はあまりストレスとも感じていない様子でした。
今の世の中の状況が子どもたちに与える影響を考えたときに、過去に一度だけ出会ったこの人のことがふと思いだされました。

大事なことは、大人が「怖い、怖い」とか「汚い、汚い」と感情的になったり、やみくもに”脅す”ことは避けなければいけないということです
子どもの脳は発達途上なので、恐怖の回路がひとたび興奮したら自力ではなかなか鎮まりにくいのです。恐怖で興奮しっぱなしになったらのちのちまで影響が残ります。
幼い子どもは怖くて固まってしまったり、自分の知っているものと結び付けて空想して、その空想のためにトラウマを負ってしまうということもあります。

では、どのようにしたら、脅しやトラウマを与えることなく、子どものたちが安全・安心に周囲の世界と触れ合えるように導いていけばよいでしょうか。

年齢によっては、コロナをどんな風にとらえているのか、尋ねてみるといろいろ教えてくれます。もし誤解があれば正しい理解へと修正していくことが必要です。
「・・・してはダメ」とNG項目を増やすより、ウィルスはどうやって、人→人、人→物→人へ移動していくのか、どうやったらその移動を止められるのか、ウィルスはどういう条件のもとでは活動ができずに人への影響がなくなるのかなど、具体的に、イラストや道具を使って感覚的に教えてあげてくださいなぜこのような特別なことをしないといけないのか、その理由を理解して、自ら行動ができるように教える必要があります。

日本でも、子どもがコロナウィルスについて理解できるようイラストやマンガなどを使った教材が出ているようですので、子どもにかかわる方は調べてみてください。
実は、このような具体的な教えは、漠然とした不安を抱えている大人にとっても大いに学びになります。子どもと一緒に学びましょう。

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