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場を和ませようとしてもっと空気を悪くしてしまうのはなぜ?

「沈黙が怖い」「雑談が苦手」
「何を話していいかわからない」
「フレンドリーになれない」
人間関係に苦手意識を持つ人からよく受ける相談です。

人はしばしば話の場を和ませようして意図と相反してさらに空気を悪くしてしまうことがあります。
「場を和ませないと・・」と人が感じるのはそこにいる誰かが緊張しているときではないでしょうか。
初めての場所、初めての人、特別な人、大勢の人の前で多少緊張するのは当たり前ですが、その緊張感に耐えられなくなって、ふざけたり、おどけてみたり、冗談を言ったりして、その場の緊張をほぐそうとします。

相手との心理的距離を縮めようと、聞かれてもいない自分の話をしたり、相手のプライベートのことを質問してみたりする人もいるでしょう。しかし、関係性ができていない人から、いきなりなれなれしい態度や踏み込んだ話をされると、相手は戸惑い、警戒し、不愉快になります。

それなのに、本人は緊張してテンパっているので、相手からの、“嫌だな”、“やめてほしいな”、“面白くないんだけど”といった非言語のサインを拾えずに、同じ行動をむやみやたらに繰り返してしまいもっと空気が悪くなるという悪循環に陥ります。

場を和ませようとして不適切な言動をして失敗する人は、対人関係に不安があることが多いのです。
これらの不安は、
「自分は受け入れてもらえないのではないか?」
「嫌われないか? 嫌がられないか?」
「面白くないやつだと思われないか?」
「ダメだと思われないか?」
といった自己価値に対する不安です。
その不安を打ち消すために無意識に何かを言ったりやったりしてしまうのです。

本当に和ませる必要があるのは、場の空気や相手ではなく、自分自身の内面です。

人の感情や状態は気づかないうちに伝染して周囲の人に影響を与えます。
自分が穏やかに、ただ相手の様子を見守っていれば自然に和んできます。
ですから、相手にリラックスしてほしいときは、まずは自分自身がリラックスして相手の緊張に寄り添うことが大事です。

場の空気や他人を和ませようとする前に、自分のあり方をみつめてみましょう。
まずは、自分の身体感覚に意識を向けて
「緊張やこわばりがないだろうか?」
「なぜ自分はこんなに緊張しているのだろうか?」
「何か苦手意識はないだろうか?」
「どうなることを恐れているのだろうか?」
「どうであれねばならないと思っているのだろうか?」
などと、自分の内面にフォーカスをして調べてみるとよいでしょう。
自分の身体感覚や気持ちに意識を向ければ向けるほど、自分への理解が進み、まわりをコントロールする必要がなくなります。

自分の理解は、ある程度まで一人でもすることができます。
ただし、過去に自分にとって大なり小なりのショックな記憶があってその影響を受けている場合は、カウンセリングを受けるなどして、根本原因となっているトラウマを解消すると、ごく自然に落ち着きを取り戻すことができます。

本当は心優しい人、能力のある人、努力してがんばってきた人、・・
そんな人達が、コミュニケーションが苦手だと感じたり、人間関係を避けたくなったり、自分はダメだと感じたりして、もって生まれた能力を発揮できなくなるのはとても残念で悲しいことです。
問題を打破できる解決の糸口は、その人たちの感情の中に眠っているのです。

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