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【#002 収録ハイライト】「独立系アーティストの音楽活動とインターネット」XTAL × 権堂さん

inn the Podcast #002 :XTAL × 権堂さんの収録ハイライトをお届けします。

▼音楽活動を始めるきっかけ、ロールモデル
▼音楽活動は若者の特権?
▼サブスク配信で多様化する音楽活動
▼心震わせる音楽との出会いの場
▼レコードでの音楽体験
▼フィジカルとデジタル
▼音楽を作り続けること
▼うまく「ゾーン」に入る鍛錬?

第2回目のinnのテーマは1回目から引き続き「独立系アーティストの音楽活動とインターネット」ゲストは引き続き、DJでMUSICMAKERの独立系アーティストXTALと、アーティストのマネージメントやプロモーションに長年携わってきた権堂さんです。
前回のサブスク系音楽配信やインターネット時代のファンとの関わりの話の流れを受け、メジャーシーンではなく独立系アーティストとして長年音楽制作に関わり続けるその情熱とはなんであるか?という話から始まります。その後、レコードやジャケ選びといったフィジカルな音楽体験とサブスクを中心としたデジタルの音楽体験の違いから、今後、自分たちは音楽とどのように向き合っていくのか話が拡がっていきます。歳を重ねるとともにぶつかる「新しい音楽聴けない問題」をどう乗り越えていくか?という話も必聴です!

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【音楽活動を始めるきっかけ、ロールモデル】

坂田:
僕は大学生の時からバンドを始めたんですけど、権堂さんとかも「バンドは若い頃からやって、早いうちに芽が出なかったら終わりだよね」みたいなことってなかったですか?

XTALさん:
メジャーで活躍していた人たちが、若いうちにデビューして売れていくということが当時はあったから、それを見ていて、ロールモデルとしていたら、そうなるってことだと思いますね。
たとえば、ちょっと年上とかだと「サニーデイ・サービス」とかがいるんですけど。
サニーデイとかは、大学在学中に出し始めて、そこからバンド活動していくみたいな感じだったから。
「あぁ、やっぱりそういう感じなのかな」っていうのは。
権堂さんは、ロールモデルというか、こういう人たちの活動いいなと思ってる人たちはいましたか?

権堂さん:
ライブハウスが好きだったので。
なんかローカルなライブハウスに、ローカルのいいアーティストがいて、それを見に行くっていうことをしていたから。
自分の住んでいる街に限らず、行った先の街のライブハウスに行って、その土地のヒットなアーティストを見ることが好きで。
ご当地アーティスト的な感じで、メディアには載ってないんだけど、おもしろくて、そこに行かないと見られないというアーティストを見に行くのが好きでしたね。
たとえば、京都が好きだったんですけど。その地でやっている有名なアーティストとか学生のバンドを見に行くって。売れちゃったらもう見なくなる、というか。

XTALさん:
見なくなっちゃうんですね。あんまりおもしろくなくなっちゃうんですかね?

権堂さん:
人の意向が入ってきてつまんなくなっちゃうんで。生々しいのが好きだったんですよね。

【音楽活動は若者の特権?】

坂田:
若いうちに芽が出ないと、アーティスト活動やバンド活動をさっぱり辞めて社会人になる、みたいな若者は今もいるんじゃないかなと思うんですけど、どう思いますか?

XTALさん:
昔はそういうのが多かった、とは思いますけど。今はだんだん薄れてきているんじゃないかなと思いますね。

権堂さん:
自分はマネジメントとかやっている人としての目線で見ると、ライブの方では坂田くんみたいな価値観(若いうちに芽が出ないと終わり)が今でも主流かなって。アーティスト活動とか音楽全般で見ると、配信とかもできるようになったから、若いとか関係ないとは思うんですけど。
ライブの世界を見てると、やっぱり20代前半のバンドがガッと出てきて、一気に昇華されて、出ていくと。で、その時期を逃すと、なかなか出てこられない感じに見えますね、結果的には。
なんか、そういうシーンもまだまだあると思うんですけど。地方のシーンではそういう人がすごい減ったと思うんですよ。坂田くんのように、20代前半までに俺は大成してやる! みたいなロックミュージシャンっぽい若者っていうのは、多分、地方都市ではすごい少ないよね。全然いないと思うんですけど。

XTALさん:
まぁ、あれですね。長渕剛みたいなってことですよね。

権堂さん:
昔たくさんいましたよね。(笑)
東京はそういう感じの若い人がいっぱいいて。それで芽が出なかったらやめていくっていう現場は、いっぱいあると思うなぁ。今でもあります。

尾﨑:
私はバンドを始めたのが、もともと24歳で。周りの影響も大きいと思うんですけど、仕事とバンド活動の同時進行が当たり前と思っていて。「やめる気もないし、売れる気もないんだけど、やり続ける」みたいな。

XTALさん:
そういう尾崎さんみたいなスタンスでの音楽活動がやりやすくなってる感じはありますよね。
あと、ポップミュージックとかロックミュージックっていうのが、基本は若者のもの、だと思うんですけど、それがだんだん、昔聴いていたおじさんとかおばさんとかが、おじいさんおばあさんになって、裾野が広がってきてるから。歳をとっても音楽活動がやりやすいってのはある、と思いますけどね。

【サブスク配信で多様化する音楽活動】

権堂さん:
前回話したみたいにね、「今は音楽がフィジカルからサブスクに移ってますよ」って話もあるけど、それまったく関係なく、マイペースに、ただライブをするとか、ただYouTubeに動画をつくってアップするみたいなことを、古典的にずっとやってる人は、やっぱり今も昔も変わらずいるわけですよね。

権堂さん:
多様化したってだけで。「今はサブスクですよ!」ってことが第一ということではないと思いますよね。

坂田:
素敵な価値観ですね。そうやって、音楽を純粋につくりたいって欲求のままつくっていくことが、サブスクにはできる、と考えるといいことですね。
ただ、これを続けていけるかって話があって。ただ続けていればいいのか? っていう。実際はね、続けていくには、気力も体力も要るだろうし。

XTALさん:
うん、でも、サブスクで発表するだけなら、創作意欲さえあれば、やりたい・つくりたいという気持ちさえあれば、できちゃうんで、作品は。発表の場があるってことは、いいことなんじゃないですかね。

坂田:
サブスクによって、音楽活動と仕事を両方やっている人って、けっこういますか?

権堂さん:
自分が関わってるバンドとか、直接関わってるバンドはそうでもないですが、知り合いには何人かいますね。
実は副業もちゃんとあって、でもインディーズのなかで知名度もあってみたいな。

XTALさん:
そういう活動の仕方でも続けやすいってことが、サブスクにはあると思いますよね。レコード会社とかに、一枚出せとか言われるわけでもないし。自分の好きなタイミングで、好きなように活動できるのはいいんじゃないかなって思いますけど。

権堂さん:
音源さえつくっておけば、いつか評価されることがありますからね。
Spotifyとかで、関連から関連へと掘っていくと、ハッと気づくと、全然誰も聴いてないような曲にも辿り着いていたりもして。「ああ、いいじゃん」と思ったりしますよね。

XTALさん:
再生回数とかフォロワー数とか、って全然、自分がいいって思う基準と関係なくて。何百万人も聴いていようが、何百人しか聴いてないだろうと、どっちも好きって思えるから、そういうフラットな感じはいいなって思いますよね。

権堂さん:
ほんと、掘っていくと、そういうことありますよね。「絶対これ、Spotifyがなかったら出合ってなかった音楽に出会ってる」みたいな。

【心震わせる音楽との出会いの場】

坂田:
「あ、長野にこんなに心震わせる音楽をやってる人がいるんだ」と思った。そういう原体験との出合いを、今はオンラインでもできるようになったと考えると、それが僕にとってのインターネットを仕事にしている理由でもあるかもしれない。

尾﨑:
私もライブハウスに行くまでは、メジャーなものしか聴いてなかったんですよね。父親が洋楽を好きってことはあったんですけど。でも基本的にテレビやラジオから流れている音楽しか聴いてなかったんですけど。その権堂さんの奥さんに出会って、ライブハウスに行くようになってからは。
権堂さんのライブハウスに行ってみたら、聴いたことのない音感というか、メジャーシーンにあるようなAメロ・Bメロ・サビみたいのものをまったく無視した音楽があって。
それにふれて、最初は聴いてる私が恥ずかしくなって、その場に居られないみたいなことがあって。
あー私が恥ずかしいー、みたいな。帰りたい、みたいになって。でも帰ってから聴いてたんですよ。そしたら、だんだん、そういう音楽が自分の中に入れば入るほど、感動が深くなって。号泣し始めたり。
やっぱりAメロ・Bメロ・サビになってないと聴けないって思ってたんですけど、関係なかった。関係ないってことに気づいたら、長野のライブハウスの音楽が心に刺さって。

坂田:
そこはつまり、長野の〈ネオンホール〉ってところだと思うんですけど(笑)。
あそこの原体験はけっこうすごいよね。
あれはなんかその、大学時代に行ったメジャーシーンで聴く音楽とは別の、なんていうの、「ええ、こういうのあるの?」みたいな。

権堂さん:
自分の中では京都でそれを感じてましたね。京都に行って、とんでもないバンド名からしてわけわからないみたいな。ステージで千本ノックしてたりね(笑)。そういう現地に行かないと聴けないっていうアーティストは、たぶん今でも、実は残っていて。コロナ渦ではなかなか活動は難しいですけど、生息はしていて、各地に。そういうのがやっぱりサブスクとかYouTubeとか関係なく存在してるってことが、なんかいいですよね、そういう世界が。

坂田:
そういうのも、もっと、サブスクとかで、こう聴けるようになったらいいなあと思うんですよね。そういう長野のレジェンドバンド『The End』とかが、インドネシアとかで聴かれるみたいなことが起きたら最高だよね。

権堂さん:
録音さえしてあれば。録音してなければ残らないですけど。なんか常にあると思うんだけど、何年か前にも、ここ何年かでね、80年代のデモテープがやたら発掘されまくって。なんか、打ち込みのファンクとか。すごいしょぼい音なんだけど、実はかっこいいみたいな。そういうのがすごい発掘されて。サブスクでもあって。
そういうのを一時期聴いてたんですよ、ハマって。なんか5、6年前かな。なんかその、ドラムマシーンと歌だけなんだけど、音もむっちゃ悪くて、テープでリリースしただけみたいなやつを専門で掘ってるレーベルとかさ。そういうのもあったりしたんですけど。そうやって音が残っていると、本人は、30年後に配信されて、そんな聴かれるとは思ってなかったと思うんですけど。なんか、今聴くとかっこいい、みたいなことがあるから。
だから録っておくと、坂田くんの音がいつか。聴かれるかもしれない。

坂田:
それがロングテールのおもしろさってところはあるよね。
そういうことがインターネットで可視化されたと思っていて。仕事をしながら自分のペースでいい音楽を出していくアーティストがいるとか。そういうのは実際にネット上でちらほら見ることができたりとかリリースもされていたりとかを、可視化されるようになったことは大きいと思っていて。そういう意味ではよかったのかなって、ネットのおかげってのはあるのかなって。そういう活動を見ることで勇気をもらうことってありますか?

XTALさん:
自分の場合は常にそういう音楽が好きですからね。あとさっきの話を聴いていて思ったのは、音楽のよさって、価値観。バンドのライブを観て、今までの尾﨑さんの価値観が壊されるとか。なんかそういうのがやっぱりいいなと思っていて。
で、そうすると、みんなその体験を探すから、新しい体験や新しい音楽をどんどん好きになっていくから。それを探していくから、そうすると何年後かにいきなり評価されるみたいなこともあったりして。それってすごいいいことだなと思っていて。
サブスクとかで可視化されたことは、たしかにそうで。今まではレコードやCDが売れていて、大メジャーアーティストみたいな人がいる状況が、進化の過程で見るとプロトタイプとも言えると思うんですよ。で、今は成熟してきた、ようやく。という見方もできるかなって、最近ようやく思ったりもして。

権堂さん:
いいですよね、ロングテールな感じでもありつつ、幅広く、平等に機会があるということは。

XTALさん:
今みたいな録音技術がなかった頃は、みんなライブで聴いていたと思うんで。で、その中で人気のある人・そうでもない人がいたと思うんですけど。それがその時代にちょっと戻ってるのかなって思うこともあって。今はわりと差が縮まってきたというか、もうちょっと音楽が、商品ってだけじゃなくて、いろんな音楽があり得るってことになってきてるのかなって。

【レコードでの音楽体験】

尾﨑:
なんかサムネイルを探している自分が…いる。なんとなく検索して手軽に探して聴いてる自分がいて。まだまだジャケ買いしたいのに...。

権堂さん:
レコードはレコードで聴いたらいいですよ。まずレコードプレイヤーを買えばいいじゃん。スピーカーとアンプとレコードプレイヤーを買って、レコードを買うって生活に入ったら、楽しいですよ。

XTALさん:
そういう尾崎さんみたいな人がいるから、またレコードに人気が出てきてるんですよね。一時期は失くなるかと思われていたレコード産業が、まさかの復活を果たしてるんですけど。そういうことだと思いますね。

権堂さん:
デジタル時代のものはデジタルからレコードにしてるからそんなに変わらないけど、昔の70・80年代のものっていうのは、レコードの音がやっぱりよかったりしますよね。ある程度のシステムなら、10万円くらいなものだよ。

XTALさん:
レコードは、いっこの作品に対する自分の意識っていうのが深くなるので。ジャッケットからでかいじゃないですか。で、出すじゃないですか。レコードの匂いとかもあるわけですよ。
あと、持ったときの重さ、とかもあるわけですよ。
で、それのせて、針をおいて、ボリュームを上げるとか、その一連の動きがあるので。ある意味、なんていうかな、「儀式」っていうか。

権堂さん:
そんな感じはありますよね。
レコードはその儀式を疎かにすると、針とか折っちゃうんですよね。適当にふーんってやってると、ああー!ってなるから、ちゃんとジャケはここに置いて、ここで聴くってやっておかないと、適当に聴いてると壊します。

坂田:
へ〜! たしかにフィジカルって、その一連の流れみたいなものってどうしても手間だよね。さっき言ってたディスクユニオンで選ぶことから含めて。
で、そういうのを、すっ飛ばしたのがサブスクっていうか。ガンガンすっ飛ばしていけるじゃないですか。

権堂さん:
利便性は高いけど、体験としてのバリューが高いか、というとそれもちょっと違うので。

XTALさん:
レコードってあと、手入れをするってことがあるんですよ。シュッシュってやって、吹いて、とかも儀式のひとつなんですけど。それに気づいたときに「あ、ヤバイな」と思いましたけど。なんか、一回僕もデジタルに偏ったときがあるんですけど、レコードってさわったりもするから、それって「ヤバイな」って。いい意味なんですけど。音をさわったりとか、手入れしたりとかって、よく考えたらヤバイなって。
自分が関わっていくっていう、その作品に対して。それによって変容が起きるっていうか。埃だらけだったものに変容が起きるとか。

権堂さん:
なんでもそうですよね。車とかもそうじゃないですか。古い車が好きな人っていうのは、手間をかけて、毎年車検があっても、調整がいっぱいあっても乗り続けるのと同じで。そこまでレコードは大変じゃないけど。まぁ大変な人もいるかもしれないな。
大事なのは、音がいいってことなんですよね。そこがないとあんまり意味がないというか。音が心地よいと言うべきかな。音がいいので、そのために手間を惜しまないってことですね。

【フィジカルとデジタル】

XTALさん:
これからはレコードとサブスク、両方のよさが引き立つ。増えたってことですね、楽しみ方が。

坂田:
そうだよね。特にレコードはね。デジタルのよさもあるよね。デジタルはシェアしやすくて、とか。

XTALさん:
あと「アーカイヴ性」ですね。何十年も前のものから最新のものまで、即座に聴ける。

権堂さん:
自分用というか、メモっぽくなりますけど、プレイリストをまとめることもできますからね。そこから関連とか掘っていくと色々サジェスチョンが来るから。それを掘っていくためにつくているって感じなんですけど。けっこうこれをやっていくと、鍛えていくと、その次くるやつは、確率性が上がってくる。
しかもどうやって選んでるのか、あるビートが好きになって。そのビートで自分のメモをつくったんですよ。でやっていくと、だんだんその率が上がってきて、ちゃんと当ててくるんだよね。しかも時代とか関係なくて、突然むちゃくちゃ古いR&Bとかになってるんだけど。なんかビートやリズムは合ってるみたいな。
どういうアルゴリズムがやってるのか。今やってるアーティストから、60年代のアーティストまで、ガンガン押してくるんだけど。全部が合ってるんですよ。雰囲気というかリズムパターンが合ってるというか。波形でみてるのかな? とか考えちゃって。

XTALさん:
それはすごいな。それはたしかにデジタル、というか、今ならではですよね。
増えたって感じですよね、楽しみ方が。

権堂さん:
なんか発見しやすくなっていて。もちろんジャケ買いもいいですよ。ジャケ買いしてがっかりしたり、好きになろうと思い込んで聴きまくるとか。いいところまで聴くとか。
たとえば、XTALさんみたいに、ジャケ買いとはいえ、ジャケットにあるデータが目に入るじゃないですか。それを無視できないから、そこも読んで買うでしょ。レーベルがどこにあるとか、質感からして何年代なのか、とかわかるから。本当に画像じゃないからね。ジャケで選ぶと言っても、これはないわと思うものを選ぶようなことは、

XTALさん:
まぁそうですね。あとジャケで、明らかに「これは来た!」っていうのもありますけどね。もうこれは間違いないでしょ。「このジャケならこのレベルは行ってるでしょ」みたいな(笑)。のは、すごいのになるとそこまで行きますけどね、すごい盤になると。
いろいろな楽しみ方が増えたから、本当に音楽を楽しみ尽くそうと思ったら大変ですけどね。サブスク聴いて、レコード聴いて、CDもカセットも聴いて。レコードの中でも、LP12インチ、7インチとかでも違うので。それぞれ違う道があるので、それ全部やると大忙しみたいなことになりますよね。

坂田:
そういうことになると、結局オンラインとフィジカルの体験ってまったく別物の体験ってことじゃないですか。それを一緒の路線で話すってことがそもそも違うんだなって、今日わかりましたね。

【音楽を創り続けること】

坂田:
音楽を創り続けて、配信する環境はできたけど、音楽を続けることって、そう簡単ではないですよね。お二人は創作意欲はどうやって自分なりにつくっていますか?

XTALさん:
自分の場合は、まぁひとりでつくっているんですけど。モチベーションとしては、音楽、聴いてるじゃないですか、普段から。で、そこでおもしろかったり感動したり、やっぱりするんですけど聴いてると。それがモチベーションになるので。
だからわりと聴いてたらつくれるっていうか。聴いてる限りつくれる感じですよね。
それは大きく見ると、坂田さんがライブをして、これをお客さんがいて、その前でやるってことがモチベーションになると思うんですけど。それと大きく見れば一緒というか。自分から見たら、誰かから感動を与えられているから、そこでこう…。
『ドラゴンボール』で言ったら、その気を与えられているみたいな(笑)。孫悟空から気を与えられて、じゃあ動ける。おれもかめはめ波打てるかもな、みたいな感じっていうか。
自分はそこまでライブ気質じゃないので、わりとリスナー体質なので。そこがモチベーションになるというか。
聴いていると、会話みたいなもので、言われてるから俺も応えたくなるみたいな感じでやってる。

権堂さん:
そういう人がアーティストですよね、どんどん残っていくというか。
淡々と自分のすることをするしかないってことかな、と思うんですけどね。

坂田:
自分のすべきことを淡々と続けることで何かになるってことはある。それはデジタル時代であれ、何時代であれ、きっとそうだなって思いますよね。

XTALさん:
進化はしてると思います、全体的に。もちろん根本的な感動とかそういうところは変わらないと思うんですけど、なんか、よくなってると思ってますけどね、全体的に。
そういう気持ちでいますけどね。じゃないと辛くないですか(笑)?
まぁ、何百年前とか考えたら、日本で殺し合いとかしてたわけじゃないですか。戦国時代とか。そこまで考えると進化してるんじゃないの?って。民主主義とかすごいじゃないですか、その尺度で考えると。

坂田:
今回聞いてみて良かったなぁと思いますよ。デジタルによって聴く人の体験って変わってる思うんですけどね。音楽自体は無くならないですからね、本当にね。そこは活動を聞けて納得できましたし、いいなぁと思いましたね、音楽やりたいなと思いました。

【うまく「ゾーン」に入る鍛錬?】

尾﨑:
私も音楽を続けていきたいけど、時間が足りないですね。
私、没頭しちゃうタイプなんですよね、ひとつのことに。だから。それに集中したら周りがあまり見れなくなっちゃうんですよね。
危険だってわかるんですけど、もうゾーンに入ったら、わからなくて。結果切り替え上手な夫が、ちょっとおいおいみたいな状態が合って。でもどんどんゾーンに入っていくから、未曾有というか。そこは切り替えられる人と切り替えられる人の違いかなと思うんですけどね。

XTALさん:
それはね…やっぱり鍛錬じゃないですか。超サイヤ人からすぐに戻るみたいな(笑)。
戦うときだけ超サイヤ人になる。でもやっぱり、それは孫悟空も最初はできなかったみたいなんで。
修業してできるようになっていった、っていうんで。

権堂さん:
そういうゾーンに入る人は、楽器とかに向いてるからやった方がいいですよね。やっていて上手だから、それは素質があるっていうか、素養があると思うんで。

尾﨑:
すぐなっちゃんですよね。おもしろい!楽しい!って。
行っちゃうので、行った先もどうなるかわかってるんですけど。それなりになる。そっちの方が楽しいってなると、省みないからいろんなことを。

坂田:
うまいことスイッチできる人であればいいけどね。XTALさんはどうやってコントロールしてるんですか?

XTALさん:
もう、そういう生活にしています。毎日、仕事や家のこととか、何かしらあるじゃないですか? それ以外の何らかの創作活動、アウトプットみたいなものを空けないようにしてます。
で、そんなようなこと村上春樹も言ってたと思うんですけど、「書けなくても、机に向かって書く」っていう生活にしちゃうっていう。
音楽聴くのもそうですけど、聴いてないと、どんどん自分の中のエッジがなくなっていくんですよね。感覚が薄れていくから。どんどん磨耗していくというか、薄れていくんですよね、感受性が。だから常に聴いてるとそこが失われないので。

坂田:
難しいですよね、なかなか。年齢上がってくると、聴く音楽が過去に好きだった音楽ばかりになったり。

権堂さん:
そういう人は多いよね。両方聴けばいいんじゃないかな。もちろん過去のばかりでもいいんだけど。そのエッジというものを持ちたければ、両方。自分なんかも、古いのも聴けば新しいのも聴くし。両方に行きますけどね。

XTALさん:
自分は、新しい音楽はやっぱり意識して聴かないと、ジジイになっていってダメだと思うんですよ。山下達郎さんとかも常に全米トップ10とかは常にずっと聴いてるみたいですよ、興味がなくても。
それって別に最初はこう、無理やりかもしれないけど、結局おもしろくなっていくんで。別に苦しくないですよ。そこは意識しないと。
どんどん過去のもので満足するっていう傾向はありますからね。慣れてるものにって。それはもう「加齢の宿命」って気がするんで。

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inn The Podcast #003 「旅とインターネット」
前編は10月10日(土)配信開始です。
そちらもお楽しみに!


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