自分が主人公なんて嘘

「自分の人生の主人公は自分だ」

なんてうそ。

わたしはきっとこれからもずっと村人Ｂだ。いや、ＣとかＤなのかもしれない。村人Ｂなんて大役を任されているほど大きな出来事も成功も身近に有名人がいたり人気者の取り巻きだったり、そんなことはない。

ずっとずっとこれからもきっと村人Ｂだ。

主人公になりたかった。いや、まだ諦めるのは早いかもしれない。でも主人公になるための努力も主人公になるために必要な勇気も人望も人柄もなにも持ち合わせてはいない。ただ好きな実況者の配信を見て、ゲームをして、オンライン授業をうけて、バイトに行く。まさに脇役にぴったりの何の変哲もない日常を送っている。憧れた画面の向こうにいる人にも、立ってみたかった夢の舞台に立っているあの人にも、わたしはなににもなれない。わたしは傍観者だ。いち視聴者で一般人でエキストラなんだ。スポットライトが当たることはない。多くの人がわたしとおんなじ村人Ｂだ。そもそもそんな主人公がいてたまるか。みんな主人公ならその本に出てくる登場人物は主人公一人だけじゃないか。だれだよ、人生の主人公は自分だなんて言ったやつ。全然主人公になんかなれないじゃないか。大衆の目が僕に向けられることなんてなければ功績を残せるような大した特技も趣味もない。人生一回目でどうしろってんだ。なにをしたらいいんだよ、なんもわかんないよ、どうしたら主人公になれるんだよ。ぼくは、ぼくは。

きっとこれからもずっと、村人Ｂだ。

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