安部公房「箱男」 感想文

箱男の感想文

基本的に見る・見られるの話。
箱男は見る側。

見る側というのは、誰でもよくて、本来は奇妙なもの。
だからこの本の書き手は一定ではない。
そして奇妙な見た目(箱をかぶってる)をしてる。ただその見た目にも関わらず世間に溶け込んで生活はしている。
なぜならみんな見る側になるから。奇妙な見る側は同時に見られる側にもなる見た目をしているがそれは注目されるに値しないということも暗示しているかもしれない。

それに対し見られる側は、特定の人物がいる。
そして見られる側はしんどい。
見られて射精した男の子もそう。

この本では見る側は悪いと書かれてないし、
俺自身もそう思わないが、
見る側は自分が奇妙な存在であることを認識しておかないといけない。

見られる側がお金を貰う。それが本来の定義。
ただこの世の全員が見る側になる。
見られる側だった人がふと見る側になる。
箱男は、箱男を見てからなることが多いように。

実際の世界でも見る側である立場を認識して振る舞わないといけない。
そうしないと芸能人の自殺、ネット上での匿名誹謗中傷は止まないだろう。
とうの昔に安部公房はこれも予期していたのか。
天才としか言いようがない。

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