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ひとつめの言葉は夢

休んでいてもたまに会社に行く事はあるので、その時は事務の女の子とご飯を食べながら近況を報告したりする。といっても事務的な話は既に会社でしているわけなので、だいたいは他愛もない雑談になる。こういう雑談の積み重ねがコミュ障の対策なのだとかそういうのはいい。そこで彼女がいうのだ。

「わたし最近あのアニメ観てるんですよ。牧野さんは観てました?」

彼女は僕が半分ぐらいまで観て、別に確たる理由があるわけでもなく録画したままになってたアニメの名前を挙げた。なんだ、君それ好きなのか。結構前だぞ。

「こういう時はアニメでも観ましょうよ。わたしはもうすぐ最終回ですよ。」

次に何らかの事務手続きで会社に行くまでだいぶ時間があった。という事で久しぶりにトルネを起動して残っていた半分を鑑賞した。思えばこれの第1話はとてもキラキラしたものに映り、すごい未来が待ってそうな、そんな予感がしたのだ。観なくなったのは何故だろう。興味が少しずつ薄れるということは、ひょっとしたらすごく緩やかにその頃から自分の精神は蝕まれていたのかもしれない。

最終回までキッチリ鑑賞して、再び事務処理で会社に赴き、彼女に感想を伝えた。君には悪いけど中盤の盛り上がりが最後までドライブしきらなかった気がするね。劇場版で補完するのかな。忌憚なく感想を伝えた。そうすると彼女は刺身定食を食べながらこう返して来た。

「そうでしょう。わたしもなんかそんな気配を感じたから、牧野さんと微妙さを共有したくてこの間薦めたんです」

僕は帰ってからマクロスプラスムービーエディションを一気に観てドバドバ溢れる脳内物質をあらん限り堪能した。彼女にもその魅力を伝えたが未だに観た連絡はない。おい、これを観たらあの場面の元ネタがわかるんだぞ?

マクロスプラスは真の男の映画だ。これは誰がなんと言おうと揺るがない。伝説の5秒とかナベシンとか作品を褒める言葉はたくさんあるしたくさん転がっているが、キッズの自分が「なんかかっこよさそう」と適当に手を取ってハートを撃ち抜かれた原体験に勝るものはないのだ。真の男との出会いはいつだって突然だ。

しかし今改めてマクロスプラスを見返してみると、夢破れて今を必死で生きるヒロインがキッズの頃と変わらず夢いっぱいの幼馴染男2人と再会したらめっちゃ辛いなと共感ポイントが増えてしまっていた。つらい。お前らもっと優しくしてやれ。でも幼馴染男2人は最終的に「うるせぇ俺のカラテを見ろ!」みたいに事態を収拾させるのでやっぱりエゴだよエゴ、となる。

#日記 #マクロス #映画 #マクロスプラス

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