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10年目のバリウムと変なオジサン

もう慣れっこです。
なんつったって10回目です。

事務的だけど、テキパキ働く女性技師にいざなわれ、胃カメラ検査台へ。発泡パウダーを一気に飲み、少量のバリウムでまずは乾杯。

ここでゲップを出してしまうと、ちゃんとした検査ができなくなってしまうので鼻だけで呼吸して、ゲフがでるのを我慢します。

今日は終始ゲフな話です。お食事前の方はどうぞお控えくださいませ。

何枚か写真を撮られ、ここからが本当の勝負。ガラス越しに女性技師から次々と出るミッションをクリアせねばなりません。

「はい、ではバリウム全部飲んじゃってください」

まずは、バリウム一気飲み。35歳になり、初めてこの液体を飲んだ時、悪魔に魂を売ったような錯覚に陥いりました。

見た目はR-1なんだけど、味はセメントの甘口(飲んだことないがそんなイメージ)

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慣れたなんて嘘です。すみません。
これだけは何度飲んでも慣れません。

でも10回目なので、平気なフリして一気に飲み干します。ゲフ。くれぐれもゲップはしてません。
気持ちがゲフ。

ここからは、いろんな角度から胃を撮影するために技師の指示に従い、身体を動かしていきます。

これがまた辛い。まるで、まな板の上の鯉。

「右方向へ2回、回ってうつ伏せです」

ゲフが出そうになるのを我慢して、言われるがままに懸命に身体で応えます。

そういえば、初めてバリウム検診を受けた時……
「初めてにしては素晴らしい身のこなしでしたよ」と褒められたな。あれからもう10年。当時と身体つきもモチベーションも違います。

重い身体をころころと頑張って動かしている自分がおかしくなってきて、なんだか集中力がなくなってきました。

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「右から一回転してあおむけにお願いします」

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「違います。右!右!」

もう左右も分からなくなる始末。だめゲフ。

この後も何度も指示と違う動きをして、技師を困らせ、いよいよ検査も終盤。一番辛い、頭を下にしたポーズ。Gとゲフとの闘いです。

難所も乗り切り、
「はい、それでは少し身体を浮かせて半分こっち向いてください」

と言われた時に、自分の姿が検査室の鏡に写りました。

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苦悶の表情を浮かべ目は虚ろ。口の周りは真っ白で、検査着の胸元ははだけ、器用に片チクビだけあらわにするおじさん……

これは……まるで「変なオジサン」だ。

鏡に写った姿に笑いが我慢できなくなり

「ウふふッ!」

甲高い気持ち悪いトーンで吹き出してしまいました。こりゃダメだ。と平常心に戻りましたが、時すでに遅し……。

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ごめんね。変態だよね。変なおじさんだよねぇ。。

最後にみぞおちをマシンでおされ、ゲフーーーーと一年分ぐらいのゲフを気持ちよく出して検査終了。最後まで変なおじさんに付き合ってくれてありがとう。

健康状態は極めてよかったものの、自身の老いとおじさん化を認識した健康診断でした。

老いは甘んじて受け入れ、健康的な生活を送ろう。
いつも笑いも忘れずに……。

自身の考えに妙に納得しながら、口の周りについたバリウムを丁寧に拭き取り、来年こそは内視鏡検査にしよう。

と心に誓った10年目の検診でした。
先はまだまだ長い。


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