マガジンのカバー画像

今週のおすすめ記事

1,465
note編集部がおすすめする記事を集めました!(毎週更新)
運営しているクリエイター

#エッセイ

SNSなんてものをやっていると、薄っぺらい画面の向こうにいる人々の顔かたちがぼやけてわからないような感覚になる。 それはごく近しい人でも同じことで、冷たいディスプレイに流れる言葉と、その人の表情がどうにも結びつかない。 「(笑)」とか「www」とかつけてるけど、その文字を打ち込んでいるあなたの顔はたぶん、笑ってない。 今の「あなた」っていうのは、この文章を見ている、いわゆる「あなた」のことではないけど、「あなた」は「自分のことかも...」と思ったかもしれない。 文脈の

珍味⑦ シュールストレミングの悪臭と豊潤

発酵錬金術師こと、発酵学者、 農学博士である小泉武夫さんの著書『奇食珍食』、『くさいはうまい』や『不味い!!』に、たびたび登場する シュールストレミング。 スウェーデン産の塩漬けニシンの缶詰なのですが、強烈な悪臭から、現地では河原で開封しなければならない、風上で開けてはいけない(風下に人がいないことを確認)、周囲50メートルに人がいないことを確認しなければならない、などのルールがあるとか、「世界一臭い」といわれ、エピソードに事欠きません。 なぜ、それほど悪臭を発するかと

外装の正体

「夏」の中に身を置くのは今年で31回目なので もうそこそこ慣れた手つきで「毎度」とか言いながら、秋までまっすぐ線をひくことが出来てもいいだろうに、私は毎年、線をカックカックと蛇行させ、お約束のように起点すら見失う。 それでも「夏はフェードアウトするものだよね」と「夏」を形容するあらゆるものを身体全体に浴びておこうと、空を仰ぐ。 やる気もないくせに「夏だから、サーフィンとかしたいよね」などと言ってみる。 しかし、夏の全体部分を抱えてしまおうと思えば思うほど、どこからどこま

おかあさん

「おかあさん、食べないの」 大皿にうんと盛られたデラウェアにちっとも手をつけない母に言う。 「くだものはあんまりすきじゃないのよ」 「ふぅん、おいしいのに」 「だから、たっぷり食べなさい」 わたしがまだ幼かったころ、夕飯のデザートはきまって季節のくだものだった。 ぶどうに、桃に、さくらんぼ。 初夏のくだものはみずみずしくて、とてもおいしい。 「おいしい?」 「うん、おいしい」 「そっか、たくさん食べて」 大皿に盛られたくだものに手を伸ばすのはわたしと弟ばかりで、母が

虐待の瀬戸際

乳幼児虐待の痛ましいニュースを目にするたびに、後ろめたいような気持ちがちらつくようになったのはいつごろからだろうか。 ムスメが生まれて間もないころ、わたしは不安で仕方がなかった。 この小さな生き物が、ふと目を離したすきに、呼吸を止めてしまわないか。 わたしの腕のなかで寝息をたてたまま、もう二度と目覚めないのではないか。 ずっと抱きしめていなければ不安で、毎晩ムスメを抱いたまま眠りにつく日々だった。 ムスメはよく泣く子で、とてもタフだった。 おくるみにおしゃぶり、オルゴール

そんなに傷つかなくてもいいんだよ。

誰かにではなく自分に言ってあげたい。そして私と同じような不器用な人に。 昔、仲の良かった先生が、私が人の言動や行動で度々傷ついているのを見兼ねて言ってくれたことを思い出す。 あなたは殻をかぶりなさい。卵みたいに、薄ーい殻をそっと、自分自身を守るためにかぶりなさい。このままでは傷だらけになってしまうよ。 当時はよくわからなかった。薄い殻なんてつくれないし、真正面から戦ってしまうし、それしか戦い方を知らない。私はそういう人間だもの、と。 でもね、傷つかなくてもいいこと

だからわたしは、ひとりでいたいんだ

「ひとり」でいることについて、最近非常に思うところがあったので、再度この話題について書き留めたいと思う。(第一弾 / 第二弾) 決して、わたし寂しくてかわいそうな人でしょ~と吹聴してまわりたい、ということではない。しかし、こどくこどく打ちすぎて、もうどんな意味の言葉だったかちょっとわからなくなってきた。 ともかく。やっぱり、人と最高に幸せに関われるようになるから、ひとりは最高だよ、という話を。 ひとり、と、ひとりじゃない、は、矛盾しない。 人は、ひとりだ。 人は、ひ

「友達」とSNS

大人になって明らかに友達が減った気がする。年を重ねるのと比例して順調な増加曲線をたどったように見える友達の数も、それはただfacebookのカウント処理する友達が増えただけだったのか。友達とその関係は経年とともに積み重なっていくと信じていたのは私だけじゃないはず。 携帯電話やインターネットが登場する前も、あらゆるツールでつながれる今も、本当に友達になれる人なんてとても限られていて、本来はその奇跡的に出会えた、気の置けない仲間たちと飲んだり出かけたりしていればよかった。そこで

他人にとって「脳内麻薬にしか過ぎない自分」

常に唐突感しかありませんが、今日は「自分はアッパー系・ダウナー系、どちらの脳内麻薬が欲しくなってしまうのか、もしくは他者にどちらと見なされるのか」がわかることで、自分やあの人の欲望の正体が見えてくるよ!という記事です。 「あんな優しい彼(彼女)が居るのに、なんでわたし(俺)はもの足りなく感じちゃうんだろう」 「なんであの人はわたしじゃなくて仕事や遊びを優先するんだろう」 その理由は「その人が出したい脳内麻薬にあるのです」というお話です。 脳内麻薬の話になる前に、イメー