インパクトの瞬間、ヘッドは回転する
ゴルフ用品のテレビCMで使われていたフレーズ。たぶん30年くらい前だったと思う。今も昔もゴルフに興味はないので、何となく耳に残ってはいたものの、とくに気にも留めなかった。
それからしばらく経った頃、テレビ東京で「夜中の学校」という深夜番組が放送された。ググっても関連書籍が出てくるだけで、Wikipediaにも情報はない。僕の不確かな記憶によれば著名人が交代で何週かに渡って独自の視点で講義する内容だった。
その中の放送回で秋元康さんがこのフレーズについて言及した。やはりおぼろげな記憶に頼るが「意味はわからないけど印象に残る」みたいなことを言っていた。その通りだと思った。また、そこに着目すること自体が面白いと思った。
僕はテレビっ子だったので、おのずとCMもたくさん観ている。15秒という短い時間で情報を伝え、いかに記憶に残せるかという戦いなのだろう。番組の合間に流れるCMは画面さえ見られていない可能性が高い。そこで研ぎ澄まされた鋭利な言葉が戦術として有効に機能する。
たまらない。短い一文に静と動が凝縮されている。書き手の知性とたゆまない研鑽が感じられる。今でも記憶に残っていることが戦術の正しさを証明している。
役に立つ情報ではない。テレビCMにはそういう傾向がある。ミクロジンクピリチオンとかシベロンブロックとか、言葉だけは覚えていても商品は思い出せない。それでも、まんまと僕の頭に居座ったこれらのフレーズを一生大切にしていきたい。