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生きる自由

TVerで安楽死に関するドキュメンタリーを観た。肯定的な立場と否定的な立場をバランスよく取り上げていて、お涙頂戴で終わらない良い番組だった。

いろいろな観点があると思うが、一番大きなテーマは「自由」だと僕は解釈した。最期を選ぶということはどこまで生きるかを自分で決めるということ。これはすなわち死ぬ自由に他ならない。

自殺とそれを手助けすることはまったく別の話なので、日本で自殺幇助が認められていないのは理解できる。が、番組内で紹介されたALS嘱託殺人の判決内容に驚いた。

自己決定権・幸福追求権・個人の尊厳はいずれも個人が生存していることが前提でたとえ恐怖や苦痛に直面している状況であったとしても「自らの命を絶つために他者の援助を求める権利」などが導き出されるものではない

「頼まれて安楽死させた」という主張に対して「頼まれてもやっちゃダメ」ならわかる。しかし、「(依頼者側に)頼む権利がなかった」と言っている。判決の全文は見ていないが、前後にどんな文章が続いたところでこの一文の意味は変わらないだろう。

仮に自殺が悪いことだとしても、そして自殺幇助が罪になると知っていたとしても、ダメ元でそれを手伝って欲しいとお願いするだけの自由が日本人には与えられていないことになる。

生死の自由についてはまだ議論の余地がある。しかし、それ以前にお願いする自由もないというのは人権意識の後退ではないかと思う。

つづく