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水でいいです

「お飲み物は?」と聞かれるような店に誰かと出かける状況がないわけだが、それでも想定してみるならやはり「水でいいです」と言っちゃうかな。万が一、そういう状況になったら気をつけます。勉強になりました。

かくして建前上は無難な飲み物を注文するだろう。しかし、本心では納得していない。誰かと揉めるつもりもないが、

欲しくないものを買わされた

という事実は揺らがない。食事に飲み物を合わせる習慣がないのだ。あんぱんと牛乳みたいな美味しい組み合わせもあるが、基本的に食べ物と飲み物は別々に楽しみたい。そして、楽しむなら本当に欲しいものを欲しいときに頼みたい。

僕の想定では「(べつに飲み物は欲しくないけど、何か注文しないといけないなら)水でいいです」という意味だった。建前で注文した液体を口にしながら、飲食店の都合で不本意に消費される飲み物のことを考える。この飲み物にも生産者がいて、美味しく飲まれたかっただろうに。

食事と飲み物を一緒に楽しめないやつなんていないと店側が見込んでいるところへ、まさにその例外が経済活動は欲しいものしか買わないのが当たり前だと思って来店することで不幸が生まれる。いろんな店があって、いろんな客がいる。たまたまミスマッチだっただけで誰も悪くない。

これを常識やマナーの話で片付けることに強い抵抗を感じる。売り手が提示した値段に買い手が応じて取引が成立する。このシンプルな構造に常識だのマナーだのを持ち込み、あたかも忖度するのが正しいかのような圧力をかけるのは世の中を混乱に向かわせる気がしてならない。

次回は「食べて応援」について書く予定。