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2023年共通テスト漢文/白居易 白氏文集/書き下し文・現代語訳・解答速報・解説など(随時加筆)

2023年1月14日(土)実施、大学入学共通テスト本試験の国語第4問、漢文(白氏文集)の現代語訳・解答速報・解説を掲載するページです。

作成者:吉田裕子(国語講師)
共通テスト古文の現代語訳・解答速報・解説はこちら

白居易作成の予想問題部分(問、自古以来……)書き下し文

問ふ、古より以来、君たる者其の賢を求むるを思はざるは無く、賢なる者其の用を効(はた)すを思はざるは罔(な)し。然れども両(ふた)つながら相遭はざるは、其の故は何ぞや。今之を求めんと欲するに、其の術は安(いづ)くに在りや。

白居易作成の予想問題部分(問、自古以来……)現代語訳

質問する。古来、君主というものは、賢者を求めることを考えない者はいないし、賢者というものは、君主の役に立とうと考えない者はいない(=君主は皆、賢者を求めるし、賢者は皆、君主の役に立とうと考える)。しかし、両者は巡り会わないというのは、その理由は何だろうか。今、賢者を採用したいと思うのだが、その方法はそこにあるのか。

白居易作成の模擬答案部分(臣聞、人君者……)書き下し文

臣聞く、人君たる者其の賢を求むるを思はざるは無く、人臣たる者其の用を効すを思はざるは無しと。然り而して君は賢を求めんとして得ず、臣は用を効さんとして由無きは、豈に貴賤相懸(へだ)たり、朝野相隔たり、堂は千里よりも遠く、門は九重よりも深きを以てならずや。

臣以為らく、賢を求むるに術有り、賢を弁(わきま)ふるに方有り。方術は各其の族類を審(つまび)らかにし、之をして推薦せしむるのみ。近く諸を喩へに取れば、其れ猶ほ線(いと)と矢とのごときなり。線は針に因りて入り、矢は弦を待ちて発す。線矢有りと雖も、苟も針弦無くんば、自ら致すを求むるも、得べからざるなり。夫れ必ず族類を以てするは、蓋し賢愚貫くこと有り、善悪倫(ともがら)有り、若し類を以て求むれば、必ず類を以て至ればなり。此れ亦た猶ほ水の湿に流れ、火の燥に就くがごとく、自然の理なり。

白居易作成の模擬答案部分(臣聞、人君者……)現代語訳

私は聞いております、「君主で賢者を求めることを考えない者はおらず、賢者で君主の役に立とうと考えない者はいない(=君主は皆、賢者を求め、賢者は皆、君主の役に立とうと考える)」と。

そして、君主は賢者を採用しようとして得られず、臣は役に立ちたいと思っていて手段が無いのは、なんと、貴人・賤しい人に距離があり、朝廷・民間に距離があり、(働こうとする人々から見て)君主の執務所は千里よりも遠く、君主の門は九重よりも深いからではありませんか。

私が思うに、賢者を求めるのに方法はありますし、賢者を見極めるのにも方法があります。その方法というのは、一つ一つ、賢者のグループを明らかにし、そのグループに(優秀な人材を)推薦させるというだけです。

これを卑近な例でいうと、それはちょうど糸と矢のようなものです。糸は針のおかげで(布に)入り、矢は弦のおかげで飛びます。糸・矢があるといっても、もし針や弦がなかったら、それ単体で事を成し遂げようとしても、できません。(=有用な賢者はひとりでには世に出てくることはできません、グループの推挙があって君主の目に留まることができるのです。)

そもそも、必ずグループに基づいて見出すというのは、(私が)思うに、(仲間内の)賢愚は一貫するところがあり、善悪に関しても同じような仲間を引き寄せるので、もしグループ内で求めれば必ず似た者が至るからです。これはまた、水は湿ったところに流れ、火は乾燥したところへ広がるようなもので、性質を同じくする者は互いに求め合うのが自然の理屈なのです。

最後のほうがあまりきれいに訳せていません。すみません……。
族類には「一族」という意味がありますが、今回は全面的に問7の選択肢の「グループ」を参考にして訳しています。

解答速報※正式な解答は今夜遅く、新聞社などから発表されます

問1
①/①/⑤

問2 ③

問3 ⑤

問4 ①

問5 ③

問6 ④

問7 ④

設問解説

問1ア①
由(よし)には①理由、いわれ、由緒 ②方法、手段 ③事の趣旨、事情 などの意味があります。

問1イ①
「以為(おもへ)らく」と読む漢文単語です。自分が思うに。

問1ウ⑤
「弁」にはいろいろな意味がありますね。弁(わきま)える、という訓読みがあるように、弁別(見分ける、道理を理解する)のニュアンスもある。

問2 ③
二重否定は強い肯定。共通テストのように急ぐときには、二重否定を塗りつぶし、肯定の文としてシンプルに把握する方法がおすすめ。

問3 ⑤
傍線部直前の「君主は賢者を求め、人材は働きたいのに、それがうまくいかないのは~」という文脈、そして、傍線部直後の「私は方法はあると思う」という文脈を見て、「〇〇だからじゃないですか」と皇帝に指摘・諫言をする箇所だと想定してから選択肢を検討できると速い。

問4 ①
「単独では」という表現にそのまま対応する語は本文にはないが、「自ら」が近い。針や弦が必要だということの裏返しである。

問5 ③
「夫れ必ず族類を以てするは」という文頭を受ける部分になることを考えると良い。②④の文末「~んや」は反語で、「至るだろうか、いや、至らない」となってしまい、文の趣旨と反対になってしまう。

問6 ④
「水流湿」と「火就燥」が対句的表現で、かつ、逆接の「~も」などを挟まず、連用形でスムーズにつながっているだけなのを見て、同じような例を2つ列挙しているのだと理解したい。

問7 ④
①試験回数の問題ではない。
②前半は完全に×とは言えないが、君主の考えを広めるという話が出てこない。
③模擬答案第二段落のはじめに、発見・登用のために、「族類」に推挙させるという話がある。「族類」に属さない者を特に評価する話はない。
⑤傍線部Bから広げた選択肢であるが、結論である、模擬答案第二段落の内容が反映されていない。

総評(作成中)

知識で傍線部単独で解ける問1・問2を着実におさえつつ、問3~問7は選択肢をヒントにしながら本文を理解していくイメージで解くのが効率的では。

くわしくは正式な解答が公表されてから書きます。

本記事は、国語講師吉田裕子が個人的な勉強のために作成しています。出講先の公式見解等ではありません。訳などの内容につき、お気づきの点などございましたら、info@yusendo.clubにお寄せください。(受験生の勉強上の質問には答えられません。)
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