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2023年共通テスト古文/俊頼髄脳/散木奇歌集/現代語訳・解答速報・解説など

2023年1月14日(土)実施、大学入学共通テスト本試験の国語第3問、古文(俊頼髄脳・散木奇歌集)の現代語訳・解答速報・解説を掲載するページです。

作成者:吉田裕子(国語講師)
共通テストの漢文(白氏文集)の書き下し文・現代語訳・解答・解説はこちら

俊頼髄脳(としよりずいのう) 第1段落(宮司ども集まりて…)

宮司たちが集まって「船をどうするのがよいだろうか」(と相談した)、紅葉(の枝)を多く取りに行かせて、船の屋根に飾り、船を操作する人は侍で若いような侍を指名したところ、急に(紅葉の船遊びにふさわしいよう)狩袴を染めるなどして、派手にした。

その日になって、人々が皆、集まって参上した。「御船は準備しているか」と質問されたので、「全て準備しております」と申し上げて、そのときになって、島隠れ(の死角)から、漕ぎ出してきた船を見ると、全てにわたって、ひたすら輝いている船を二艘、飾り立ててきた様子はとても素敵だった。

俊頼髄脳 第2段落(人々、皆乗り分かれて…)

(催しに集った殿上人の)人々はみな、二艘に乗り分かれて、管弦の道具などは皇后寛子からお借りして、演奏などする人々を(船の)前に置いて、徐々に船を動かすうちに、南の普賢堂に、宇治の僧正(覚円)が、(まだ)僧都の君と申したとき(だったが)、御祈祷をしていらっしゃったが、こういう催しがあるということで、諸々の僧侶たちが年を重ねた者も若い者も集まって、庭に並んで座っている。童や供法師にいたるまで、花模様の刺繡の装束を着て、離れたり(近付いたり)しながら、群がって座っている。

俊頼髄脳 第3段落(その中に、良暹法師といへる…)

その中に、良暹といった歌人がいたのを、殿上人は見知っているので、「良暹はお控えするか」と質問したところ、良暹は、目を細めて笑って、ひれ伏してお控えし(ていて答えなかっ)たので、(良暹の)そばに若い僧侶がお控えしたのが(殿上人の求めに)気付いて、
「そうでございます」
と申し上げたところ、(一艘の船の殿上人たちは)
「あの者を船に呼んで乗せ、連歌などをさせたらどうであろうか」
ともう一艘の船の人々に相談を持ち掛け申し上げたところ、
「どうだろうか。あってはならない。後の世の人々が『良暹を船に乗せずともきっと十分風流であるに違いなかったものだなぁ』と(非難を)申すだろうから」
などと答えたので、(元の船の人々も)そういう面もあるとして、乗せずに、ただそのまま(の場所で)連歌などは詠ませてしまおうなどと決めて、(船を良暹の)近くに漕ぎ寄せて、
「良暹、きっとふさわしいような連歌などをして献上せよ」
と(殿上人の)人々が申し上げなさったところ、(良暹は)なかなかの者であって、もしかしたらこんなこともあるかと予見して、準備していたのだろうか、相手が聞くや否や、間もあけずに、すぐそばの僧侶に話しかけたところ、その僧侶が大げさに(もったいぶって)船の方に近付いていって、
もみじ葉のこがれて見ゆる御船かな(漕がれる御船は、紅葉の葉が焦がれ(るように紅葉し)て見える御船なんだなぁ)
と申し上げています」
と話しかけ申し上げて、戻った。

俊頼髄脳 第4段落(人々、これを聞きて…)

(殿上人の)人々は、これを聞いて、二艘ともに言い聞かせて、(続きの句を)付けようとしたものの、(思い付くのが)遅かったので、船を(強く)漕ぐともなく、だんだんと築島を巡って、一周する間に(続きを)考えて、詠もうとしたところ、付けられなかったので、空しく過ぎて行った。「どう(返事を返そう)か」「(返しが)遅い」とお互いに言い争って、二周になってしまった。

それでも(続きの句を)付けることができなかったので、船を漕ぎ進めないで、島の死角のところで、
「どう考えても、よくないことだ、この返しを今まで付けないのは。日はすっかり暮れてしまった。どうしようか」
と、もはや付け句しようという考えはなくて、付けずに終わってしまったことを嘆いているうちに、何も考えられなくなってしまった。

俊頼髄脳 第5段落(ことごとしく管弦の…)

大げさに管弦の楽器をお貸し願って船に乗せていたのも、少しもかき鳴らす人もいないままに(船遊びは)終わってしまった。こんな風に(船上で)評議するうちに、普賢堂の前にたくさんいた人たちは皆立ち去ってしまった。(殿上人の)人々は船から降りて、皇后さまの前で演奏しようなどと考え(てい)たけれど、この予定に反して、皆逃げ去って、それぞれにいなくなってしまった。宮司は(せっかく)準備をしたけれど、無駄に終わってしまった。

問4に引用された散木奇歌集(さんぼくきかしゅう)

人々がたくさん石清水八幡宮の神楽に参上していたところ、それが終わって翌日、別当の法印光清の御堂の(前の)池の釣殿に人々並んで座って、演奏していたところ、
「光清、連歌を作ることを習得したと思う。今すぐに連歌を付けてみたい」
などと、座り申していたときに、「形式どおりに」と言って申し上げていた(俊重の歌)、
  釣殿の下には魚は住まないだろうか 俊重
光清はしきりに考えたけれど、付けられずに終わってしまったことなどを、(息子の俊重が)戻ってきて語ったところ、試みに、ということで、(私が作った歌)、
  ”梁(はり)”ならぬ釣”針”の姿が水底には見えつつ 俊頼

解答速報 ※正式な解答は今夜遅く新聞社のサイトなどに出ます

問1
③/④/②

問2 ③

問3 ⑤

問4
(ⅰ)④
(ⅱ)①
(ⅲ)③

設問解説

問1(ア)③ 古文単語「やうやう」で③~⑤に絞る。既に船に乗っていること、(後ろの方で)演奏する人もいなくて終わったとあることにより、③に絞る。

問1(イ)④ 「ことごとし」は「仰々しい、大げさだ」という単語であるが、それを「もったいぶって」と工夫しているところに反応できるかどうか。

問1(ウ)② 学研全訳古語辞典を引用すると、「①繰り返し繰り返し。何度も。②重ね重ね。どう考えても。よくよく。」とある。その②。

問2③ 文脈問題のようにも見えるが、全て知識で解決できるので、さっと解きたい。
①若から(ク・未然形)む(婉曲・連体形) と切る。
②「 」中の丁寧語「侍り」は聞き手(今回は殿上人)に対するもの。
④「今まで付けぬ(打消・連体形)は」である。今まで付け句をしないのは。
⑤覚え(ヤ下二・未然形)ず(打消・連用形)なり(ラ四・連用形)ぬ(完了・終止形)である。

問3⑤ 
①本文2行目、当日になって集まってくるのは殿上人の人々。3行目、当日にはばっちり準備ができていると答えているので変。
②祈禱を中止した旨は書かれていない。
③良暹は笑ってひれ伏していたのみで、辞退していない。殿上人たちの話し合いで乗せないことになった。
④後で批判される云々は、皇后のための晴れやかな船遊びに、殿上人以外の低位の僧を乗せることはふさわしくない(「さらでも…」の直訳:良暹を乗せずにきっといるべきだったなぁと申すだろうか)という話である。

問4(ⅰ)④
5・7・5の切れ目を考えると、「釣殿の/下には魚や/すまざらむ」と切るのが自然。「休まざらむ」と解釈している②は無理がある。係助詞「や」の疑問を含んでいる④が適切。

問4(ⅱ)①
第3段落5行目「さりぬべからむ連歌(きっとそうあるのがよいような連歌、きっとそうあるのがふさわしいような連歌)などして参らせよ」に対して答えたもの。紅葉の船遊びという場の文脈を踏まえた歌。

問4(ⅲ)③
第4段落2~3行目でぐるぐる回りながら返しを考えているが、付けられずに二周している。
①良暹を指名した責任には言及されていない。どう詠むか議論し、途中からは返せないことを嘆いているだけ。
②準備したのは「宮司」。
④殿上人たちもそれぞれに逃げてしまったので、反省の場になったわけではない。

総評(作成中)

正式な解答が公表されてから書きます。

本記事は、国語講師吉田裕子が個人的な勉強のために作成しています。出講先の公式見解等ではありません。訳などの内容につき、お気づきの点などございましたら、info@yusendo.clubにお寄せください。(受験生の勉強上の質問には答えられません。)
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