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9-2.クイズ:“今”心理職が学びたいスキルとは?

(特集 今でしょ! 心理職スキルアップ!)

下山晴彦(東京大学/臨床心理iNEXT代表)


1.混乱する現実
心理系の大学や,心理職系の大学院の教育現場は,2015年に成立した法律の下で,政府からの“お達し”に従って,新たな制度づくりに向けて日々苦役に励んできています。そのため,「心理職の専門性をどう発展させるか」よりも,「お上の指示にどう従うのか」という思考が習性になりつつあります。

もともと攘夷派の心理臨床系と開国派の基礎心理系の対立があったところに,医療という黒船が襲来し,「公認心理師法」という不平等条約が結ばれました。国家資格という,新制度の影響力は強く,大学や大学院は,政府の命じるままに文明開化を急ぐ明治維新の如く公認心理師カリキュラムの実施に腐心しているのです。

公認心理師制度には,治外法権が含まれています。その治外法権への対応に関連して,世論が分かれ,狭い心理職ワールドでは内紛が続いています。治外法権を認めて文明開化を急ごうと主張する結社もあれば,尊王攘夷や王政復古を主張する結社もあります。今だに公武合体を夢想する結社もあります。それぞれの結社が競合し,世論はまとまらず,政府の独走は止まりません。

そのようなレトロな状況とは裏腹に,世の中ではICT化が進み,第4次産業革命が起きる中,働き方改革といった世直しの動きも起きていました。そこにコロナ禍という,現世の人々が経験したことのない異変が起きました。綱紀粛正ではなく,綱紀自粛の叫ばれる中,全世界的規模で混乱が拡大しています。

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2.現場からの発想
そのような混乱の中で,世の中は大きく変わろうとしています。“今”は,まさに大きな変革期なのです。

変革期においては,変化の動きを読み取り,次の時代に備えなければなりません。しかし,将来を見通すという点については,心理職関連の学会や職能団体は,新制度定着に向けた政府の圧力の影響を受けて思考停止なっています。しかも,内紛の泥沼から抜け出せなくなっています。

では,ポスト・コロナの時代に向けて,人々のニーズに応える心理サービスを発展させていくためには,どうしたらよいのでしょうか?

時代の変化は,まず現場において生じてきます。現場の最前線で現実の変化を肌で感じつつある心理職の皆様の意見を聞き,「今,何が必要なのか」というニーズを確かめることが,次の時代に備える課題を見つけることにつながります。

そこで,臨床心理iNEXTでは,2020年7月始めに臨床心理マガジンiNEXT号外において「今,求められる研修会」のオンライン・アンケートを実施しました。
https://note.com/inext/n/n5373dc76567c

アンケート結果を参考に,次の時代に必要とされる心理職となるための研修会を企画することにしました。

3.Quiz 200名の心理職に聞きました
臨床心理マガジンiNEXT号外では,「今学びたいテーマ」は何かということで,オンライン・アンケートを実施しました。回答は,選択肢から複数回答可としました。対象は,臨床心理iNEXT会員を中心に,幅広く心理職の皆様にオンラインでの回答をお願いしました。その結果,200名を超える心理職から返信をいただきました。

アンケートの対象が,臨床心理iNEXTの会員が中心であり,しかも自主的に回答を寄せていただいたということで,専門技能の向上に積極的な心理職の皆様の意見が結果に反映されているとみることができます。

そこで,Quizです。どのようなテーマの人気があったと思いますか?

最終的には,218名から回答をいただきました。各選択肢の回答数を下記に示します。

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4.今,心理職が学びたいテーマ
結果をご覧になっていかがでしたでしょうか。あなた自身の選好と合致していたでしょうか。それとも意外な結果という印象でしょうか。

結果をまとめると,全体としては,「アセスメント」(158)が最も高く,次に「心理支援」(144)となりました。その次が「精神医療の知識」(105)でした。

アセスメントとして要望が強いのは,以下のテーマでした。

・知能検査の臨床応用(121)
・ケースフォーミュレーションの臨床応用(117)
・ケースフォーミュレーションの基礎(101)
・発達障害の診断(98)

心理支援として要望が強いのは,以下のテーマです。

・ストレスマネジメント(127)
・動機づけ面接の臨床応用(125)
・アンガーマネジメント(123)
・発達障害の支援(123)
・応用行動分析の臨床応用(115)
・マインドフルネスの臨床応用(115)
・動機づけ面接の基礎(109)
・オープンダイアローグ(108)
・子どもの認知行動療法の臨床応用(107)
・虐待児への統合的支援(106)
・ナラティブ・セラピー(102)
・マインドフルネスの基礎(98)
・認知行動療法の基礎(95)

以上が,比較的ニーズが高いテーマです。このような結果をみると,心理職として,現場の問題解決に即役に立つ技能のニーズが高いことが読み取れました。

5.オンライン研修「心理職スキルアップ2020夏」
アンケート結果に基づいて臨床心理iNEXTオンライン研修「心理職スキルアップ2020夏」を企画しました。

◆8月23日(日)
9:00-11:00 動機づけ面接の基礎 林潤一郎(成蹊大学)
11:30-13:30 動機づけ面接の臨床活用 林潤一郎(成蹊大学)
14:00-16:00 子ども認知行動療法の臨床活用 松丸未来(東京CBTセンター)
16:30-18:30 発達障害支援ペアレントプログラム 黒田美保(帝京大学)
◆8月30日(日)
9:00-11:00 認知行動療法の基礎から活用へ 下山晴彦(東京大学)
11:30-13:30 「虐待」を受けた子どもへの統合的支援 内海新祐(川和児童ホーム)
14:00-16:00 ストレスマネジメント 竹田伸也(鳥取大学)
16:30-19:30 オープンダイアローグ 白木孝二(Nagoya Connect & Share)(1時間延長)
◆9月6日(日)
9:00-11:00 マインドフルネスの基礎 大谷彰(Spectrum Behavioral Health)
11:30-13:30 ケースフォーミュレーションの基礎 下山晴彦(東京大学)
14:00-16:00 アンガーマネジメント 竹田伸也(鳥取大学)
16:30-18:30 知能検査の臨床活用 高岡佑壮(東京CBTセンター)+下山晴彦(東京大学)
◆9月13日(日)
9:00-11:00 マインドフルネスの臨床活用 大谷彰(Spectrum Behavioral Health)
11:30-13:30 応用行動分析の基礎から応用へ 小堀彩子(大正大学)
14:00-16:00 応用行動分析の臨床活用 大月友(早稲田大学)
16:30-18:30 ケースフォーミュレーションの臨床応用 下山晴彦(東京大学)

《詳しいプログラム》
⇒ https://tomishoboevent.blogspot.com/2020/07/inext.html?spref=tw

《申込み》
⇒ https://stores.jp/search?q=2020%E5%A4%8F&store=tomishobo&sort=new


本号(臨床心理マガジンiNEXT9号)では,9-3「子ども認知行動療法の臨床活用」,9-4「知能検査の臨床活用」,9-5「応用行動分析の基礎から臨用へ」において,担当講師がプログラムの内容をご紹介する記事を掲載しております。ご参照下さい。

ぜひ多くの皆様のご参加を期待しております。

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(電子マガジン「臨床心理iNEXT」9号目次に戻る)

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