英語はトルコ語だった(!?)
Amazon見てたら見つけたけど、これはヤバい。ご笑覧下さいとか言われたら本当に爆笑しながら投げ捨てるレベル。
これに対するツッコミは二つあります。一つは以前別記事に書いたので省略します。
もうひとつですが、心の叫びです。
民族と言語系統関係ねえから!
例えば英語話者の日系人がいたとして、その人の先祖は日本語話者ですよね。他にも色々例はあって、今のエジプト人の2000年前の先祖はセム語の話者ではないですよね?(アフロアジアではある)とか、ルーマニアに最初からラテン語はありましたか?とか、遺伝子と言語が一致しない例ってのは無限にあるんですよ。ハワイなんかも多分そうでしょう。
世界中に所謂危機言語というのはたくさんありますが、なんで危機なのかというと、話者が別の言語に乗り換えてしまいつつあるからですよね。話者が皆殺しにあいそうなわけじゃない。そうして消えた言語もあったかもしれないけれど、少なくとも現代の危機言語には当てはまらないでしょう。遺伝子は残るけど言語が消えてしまうという例は山ほどあるんです。
だから、遺伝子は比較言語学とは全く関係ないんです。少なくとも遺伝子のデータが比較言語学において決定的な役割を果たすことはありません。Wikipediaの比較言語学のページに染色体の話を載せたのは誰だか知りませんが、その人の罪は本当に重いと思います。
学際的な研究が流行りの今日この頃ですが、他分野の成果を安易に転用するのははっきり言って下策です。学問の作業仮説や前提条件を詳細に検討してからやるべきでしょう。
私の分野でいうと、類型論と比較言語学とかは本来水と油並に合わないのに、どうして合わせようと思ったのか。コレガワカラナイ。生物の分類学と系統学と同じ関係だと思うとわかりやすいです。
というわけで、インチキ比較言語学の紹介でした!
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