MICS化学(株) (7899) 2020年4月決算 及び ビジネスの概要紹介
こんにちは、田中勇貴です。実は私
・理系院卒「化学系」ナノ粒子の研究
・大手専門商社にて「化学原料」の国内外営業
・営業にも関わらず、「新材料の開発」などにも携わっていました。
その経験を生かして何かできないかと考えたところ、
化学の「知識×営業経験×開発経験」を生かして化学業界のビジネス紹介と
決算書(財務的視点)を織り交ぜて化学系企業の見方をお話できるのではと考えました。
就活で化学系を目指されている方、化学系企業への投資を検討されている方の判断材料になればと思います。どうかよろしくお願いいたします。
化学系の業界は結構ニッチな性質もあるので中々触れる機会がないと思いますので、ぜひ参考にしてください。
本記事は6月12日に決算発表があったMICS化学(株)をご紹介
ビジネスの概要
(商材)
・食品/非食品商品の「包装材」を取り扱う
・多層チューブフィルムの製造技術に強み
(製造方法)
ーナイロン、接着性ポリエチレン、ポリエチレンを積層させて製造
(出展:MICS化学(株)HP)
(手順)共押出法
1:それぞれの材料を押出機から押出
2:金型内でチューブ状に積層
3:積層させて製造したフィルムを取り出す
(出展:MICS化学(株)HP)
(製品特徴)
樹脂の積層により、耐熱性・ガス遮断性など多機能フィルムの作成が可能。
恐らく、ナイロンなどの材料比率や厚みを変えることにより特性を出している。
(用途)
・食品個包装用フィルム
・産業部品の個包装フィルム(ベアリングなど)
・医療用パックフィルム
(出展:MICS化学(株)HP)
2020年4月決算概要
売上、営業利益、経常利益いずれも昨年度より減収減益
営業利益 減少理由:
減価償却費と物流コストの上昇と記載がありました。
確かに私も取引している時物流コストは近年上昇傾向にありました。
今後の見通し:中長期的な展望
グループの中期的展望として『パイオニアブランド復活』をスローガンに
同決算書から中期的には以下を重要課題とすると記載がありましたので、
私のコメント付きで紹介いたします。(少し辛口な部分はご了承ください)
①機能商品の開発で新たなビジネスの柱を構築
→これは「新機能フィルム」の開発に着手するということでしょう。
例えば、プラスチックの廃棄問題は世界的なレベルでの環境問題であるため、環境負荷低減材料として売り出すのでしょうか。
コラム:BtoBの材料営業と環境負荷低減材料について
この環境負荷低減プラスチックは最近の流行りです。
ただしこのような材料はB to C向け商品(ペットボトル飲料)
サントリーなどの飲料メーカーが「環境問題取組アピール」として使用するのであれば消費者に対する良いアピールになると思います。
一方MICS化学のようなB to B向け包装フィルムを販売する会社はそれが顧客のメリットにはなりにくいです。
結局B to B向けの商品は「価格・品質」といった分かりやすいメリットが無ければ売れません。
正直、買い手からすれば「目に見える」メリットが無ければ買う理由はありません。高いけど、環境に優しいなどはアピールにならないのです。
(そんな事より利益を出したいというのが本音です)
②品質向上で既存の市場シェアを死守
③海外販路を含めた新たな顧客の開拓と拡大
→価格競争になり、新規獲得はかなり工夫が必要
主な理由は3点
①フィルム自体が安い
②ハイレベルな技術を必要としない(恐らく機械があれば容易に作れる)
③海外への輸送費込ではフィルムの価格コストにかなり乗っかる
フィルムは使えればいいというレベルで、ユーザーもそこまで優先度の高い問題でもないでしょうから日本製のものを使う可能性は低いと思います。
④営業力の強化
→これに関してはよく見る言葉ですが具体的な案が聞きたいものですね。
個人的には営業力を強化するより、人件費や輸送費の削減工夫をするといった販管費削減に知恵を使った方がいいと思います。
⑤10年先を見据えた経営資源の活用
以上5点が同社の中期的な重要課題であるととしています。
個人的な見方
同社はここ3期連続で減収減益が続いています、会社独自の商品を製造できているようにも見受けられません。その為、価格勝負にしかならず、今後も苦戦を強いられるでしょう。
同社の真の課題は
『樹脂を用いた新材料開発(包装以外の用途、高機能フィルム)』
であると個人的には考えています。
(最近のトレンドであれば「抗菌」というキーワードは一つありかもしれませんね)
今回はこれまで!
こんな感じでビジネスの紹介と決算報告
少し辛口に企業を指摘していくのでよければスキをお願いします。
ここまでお読みいただきありがとうございます😊
田中 勇貴
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