うつくしさを見出すひと 『SORA’S SEASHELLS』
もし自分や大切なひとの名前になやんだことがあるなら この二冊は
その記憶を和らげてくれる 絵本の力は果てしなく 傷ついたことや
忘れていたこと 直接の体験でなくてもすっと心に飛び込み より添って
うつくしい海と韓国名に魅かれ 頁をめくり色彩に驚く
空間の取り方 馴染み深い波音 海や空間の 時間と感情の流れ
自分がつくったものを批判されるのはかまわないが 顔からだや名前
受け取ったものに対し 他者があれこれ口を出すのは今もわからぬ感覚
思ったことをそのまま口にするも個性 言えない 言わないのもまた
日本の子に限らず 世界中どのようなところにも似た子がいる 飲み込む子
静かだが気になることは訊く子 すべての子が前を向ける風が吹くやうに
自分を大事に思う人との記憶 答えはいつも降ってくるわけではない
時を経て気がつくこと じぶんの心の準備が整ったとき流れくるもの
愛はうつろわない 天から地から あなたがまもられていることに気がつく
ためらいなく誰もが読める名 足首の骨 顔の造作 幼さゆえの直截さ
他の声をそのまま飲み込むばかりであった頃 受け止めるだけで精一杯で
そらの強さ 彼女の決意にふるえ 遺された者の中に息づくハルモニの思い
その場を訪れるひとと 出会ったうつくしさを分かつ喜び
声を上げることはひとつの表現 ゆるぎない自分を信じよう
形にしないとつたわらない思いもある 自分の内側に留めるもよし
今日を描く勇気は あらゆる形で自然のなかに用意されている
『SORA’S SEASHELLS』(HELENA KU RHEE, illustrated by STELLA LIM with JI-HYUK KIM・’23・Candlewick Press)
(The illustrations were done in watercolor and finished digitally.)
ハルモニ Halmoni(grandmother) seagull かもめ(鳴き声: scream)
アレン・セイの'Yuriko'もあざやか。アレンのテンポのよい会話文、切なさは何度読んでもこころに沁み渡る。やわらかな線が、少女の浮き立つ心を表し、すきなことや独創性を取り戻して
『THE FAVORITE DAUGHTER』(ALLEN SAY・’13・Arthur A. Levine Books)
(The art for this book was created using watercolors, pen and ink, pencil, and two photos.)