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「無縁の民」として在るために|道東の旅を終えて

日本の根源を辿る旅(北海道・道東編)から帰ってきて、改めて想ったこと。

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誰から指図されずとも自己から湧き出ずる欲求から調べたり、考えたりしてきた歴史。と、ここ数年、意識して学んできた経済学(主にマクロ)。

私の最も門外漢で、今まであえて避けてきた学問なんだが、経済学というものがどういう道を歩んできたのか?かなり大雑把だが、ある程度把握した上で思うこと。

やはり定住生活というものは、日本においては、飛鳥時代の女帝・持統天皇(もっと言うと、藤原不比等とのタッグ)がしいた律令制度から強化され、戸籍を統括・把握し、土地を持たせ、税金を納めさせるため(政府が一定の収入を得るため)に始まったもの。

一部の権力者が多くの人間を一挙に掌握・支配するために生んだ制度だと言い切っていいということがわかった。

定住生活は被支配層にとっても楽な面もあるが、弊害もある。

税金は、権力者たちが勝手におっ始めた抗争(利権・覇権争い)による恨み・辛みから生まれた怨念や誇大妄想から逃れるために、遷都する事、または離宮を作るためなどに払われているわけではない。

状況によって、手を変え、品を変える一部の権力者の横暴ぶりは、律令制度を行使し始めた飛鳥時代から一切!!変わっていないということがわかったw。

もちろん彼らには彼らなりの苦労があるのも理解している。そして、この制度によって、インフラなど様々なものが整い、便利になったことも知っている。システムが整うと、楽になる部分もあるのは百も承知。

が、

果たしてそれらの制度に乗っかり続けることは、私個人ににとって本当に良いものなのかどうなのか?根底から考え始めている。

私には、どんな生き方が合っているのか?
私にとっての幸せとは何なのか?
私にとっての自由の享受とは?
どこまで様々なシステム・制度と関わっていくのか?

国民(被支配層=私)も頭を使う、利口にならなければならないんだろう。

ある種、化かし合いだと言ってもいいのではないか?

安富歩教授のいう「システムの暴力」から、いかに逃れて生きていくか?

それは、自由を最も愛する民(=無縁の民=私w)にとって、飛鳥時代からの深遠なテーマである。

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以下、無縁について語っている安富歩教授の記事の一部を掲載したので、読んだことない方はぜひ読んでいただきたい。

日本中世史の大家であった網野善彦は、日本社会における自由の根源を探し求め、「無縁」という概念に到達し、「無縁の原理」が人間社会には作動しているのだと主張した。私の考えでは「無縁の原理」とは、人間同士の関係、すなわち「縁」が腐れ縁になってしまったとき、その縁を断ち切って離れるのは当然だ、という人類普遍の感覚のことである。この無縁の原理が作動することにより、人間の自由が確保され、人々の関係の質的劣化を防ぐことができる。

この無縁の原理は、「縁」が流動的であるなら見えにくくなり、それが固定化されるに従ってその作動も可視化され、「無縁所」といった具体的な空間を占めるようになる。その一例を網野は、そこに女性が駆け込むと婚姻関係が消滅する「縁切寺」などに求めている。

そして更に、この無縁の原理を身に帯びた人間を「無縁者」と呼ぶ。無縁者とは、普通の人間には適用される規則が、適用されない者である。網野が挙げるのは、たとえば、天皇や上皇といった、極めて身分の高い人物に直接に交遊する白拍子、僧侶、歌人といった人々である。彼らは、無縁者であるがゆえに、高い身分の人と直接に口をきくという、有縁の人であれば決して許されないはずのことが許される。

この無縁の原理は、近代国家では認められない。法律は如何なる場所であっても、誰であっても、等しく適用される建前である。無縁の原理はもはや、息を止められたかのように見える。しかし、それは無縁の原理が、「原理」である以上、ありえない。均一に加えられる抑圧に息苦しくなった人々は、無縁者の存在を求める。たとえば、「フーテンの寅さん」や「釣りバカ日誌」が多くのサラリーマンの心を捉えたのは、こういう映画の主人公が現代の「無縁者」だからである。あるいは、長期に渡って日本のテレビ業界のトップを占める女装家マツコ・デラックス氏は、その異形と相まって、無縁のパワーを発揮している。

私は、この無縁の原理の信奉者である。その厳密な理論的背景については私の著作を見てほしい。この無縁の原理こそが、現代社会の抑圧を打ち破る力を我々に与える、と私は考える。山本太郎氏は、自らを「野良犬」「永田町のはぐれ者」といったように表現することがあるが、これは自らの無縁性を自覚しているからだと考える。


● 無縁・公界・楽/網野善彦

● 生きるための経済学/安富歩


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