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文化盗用について、現時点で感じること。

ちょっと前に参加したアイヌ文化に関するオンラインセミナーで「文化盗用(cultural appropriation)」が大きなテーマとして取り上げられていた。

※「文化盗用」とは他の人種民族の文化を、他者が表層的に模倣すること。

最近、アイヌ文化への注目が高まり、アイヌ文様がいろんな商品で使われているのを目にすることが増えた。しかし残念なことに、アイヌの人たちが、そうした商品に関して「アイヌ文様の使い方はおかしくないか、使ってよいか」を聞かれるケースは少ない。許可なく、勝手にアイヌ文様が使われている状況が多いのだ。

登壇していた方は、フェイスブックなどで見つけるたびにダイレクトメールを出して「それ、文化盗用ですよ」と伝えているが、返事が来ることはほぼない、と話していた。

勝手にアイヌ文様を使う。これは、身近な例でいうなら、誰かの家紋を許可なく勝手に商品化する……というイメージに近い。

とはいえ、これまで「文化盗用」についてそこまで深く考えたこともないし…と思っていたら、とても勉強になる&納得感があるコラムを見つけた。

上記のコラムには、米国内の様々な事例が分かりやすく書かれていて、大変勉強になった。黒人のルーツを持たないミュージシャンのブルーノ・マーズの音楽がなぜ「黒人文化の文化盗用」と言われなくなったのか、という話も載っていて、とても興味深かった。そして、まとめとして書かれていた下記が、心に刺さった。

ここで冒頭の疑問に立ち戻る。他者の文化を取り入れても良い「OKライン」はどこなのだろうか?

答えは「明確な線引きも、マニュアルも存在しない」だ。

唯一、答えがあるとすれば、他者の文化への「敬意」を示すことだ。アリアナ・グランデは、日本文化は「喜びをもたらしてくれる」もので、自分には日本文化への「パッション(情熱)」があると語り、日本語のレッスンを受けていた。ブルーノ・マーズは自身の人種と音楽ジャンルの関係について寡黙だが、ブラック・ミュージックへの並並ならぬ敬意があることは、彼の音楽を聴けば十分過ぎるほどに分かる。

ということで、現時点の「文化盗用」を考えるうえでのキーワードは「敬意」と「尊重」だと感じている。

アイヌ文様をはじめとする、先住民族の美しいアートが、勝手に使われないことを切に願っている。


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