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日本人がインド現地でIT人材になるのが難しい理由

私は2024年5月にインドへ移住し、インドでの就業先ではITコンサルをしています。

今回のインド移住前は、日本でシステム開発など技術者としてITの仕事を何年かやっていました。
このため、インドでの転職先を検討しているときも、そのまま技術者としての道も一応視野にはありました。

ただ、冒頭の通り、転職活動の末に私はITコンサルという「非」技術者のポジションで落ち着きました。
※ 転職活動をするときに「絶対に生涯技術職でキャリアを進めたいんだ!」というこだわりがあったわけではないので、がっかりしながら転職を決めたわけではなかったです。

今回は転職活動を通じて私が感じた、IT経験に関わらず日本人がインド現地のIT人材になることが難しい理由をまとめていきます。


外国人給与の壁

インドで外国人が就業する際、USD25,000(約400万円)の最低年収が設定されています。
この額を下回る雇用契約は就労ビザがおりません。

インドの外資系や国内大企業でもインド人新卒の年収は36〜85万ルピー(約70〜170万円)です。
このため、外国人を雇うとなると企業規模や雇用形態(現地採用か駐在か)に関わらず、管理職(マネージャー)以上の役職が相応します。

どの企業でも、インド人を採用すればもっと給料安く済むのに・・となるので、外国人を採用するのであればそれなりに企業に対してリターンの見込みがないと雇ってくれません。

インド人ができる仕事をしてはいけない

インドでは、外国人がインドにやってきてインド国民の仕事を奪うことはNGで、就労ビザの申請時に、雇用主である会社は「Certificate of Non-availability of Skill(技能の非代替証明)」という書類を提出する必要があります。

これは、「就労ビザの申請者はインド人ではまかなえない、仕事に必要なスキルを持っているので、わざわざ外国人を雇う必要がありました」という趣旨の文章を会社の担当者に書いてもらう書類です。


インドがIT大国と言われるように、インドにはわんさかIT人材がいます。

技術職のインド人もいますし、営業やコンサルタントなどITでもビジネスサイドのインド人もいます。
ITゆえにリモートワークもできるので、探そうと思えばインド全土から必要な人材を探してくることができます。


こうなると、外国人とインド人との差は「外国の母国語を話せる」ことになります。

この「外国の母国語を話せる」ことがITのどんな職種に役立つかというと、日系企業を顧客を前にして日本語を使うポジションです。
これが私の場合でいう日系企業に対する「ITコンサル」(≒ 営業)でした。


技術職でも、日本の案件を受注してオフショア開発している会社やITコンサルを選べばいいのでは?という質問もあるかもしれませんが、オフショア開発自体のメリットの一つは人件費を抑えることにあるため、インドに住む高給取りに任せる仕事ではないことが分かります。

したがって、IT分野における外国人求人自体が少ないです。

英語が使えないと仕事ができない

例えばインドに進出している日系企業でよくある求人「営業」「社長秘書」などの職種では、普段一緒に仕事をする同僚や顧客は日本人であることが多く、日常会話程度の英語が使えれば意外と乗り切れるかも?というポジションもあったりします。

ITの日系企業であれば、この点は問題ないかもしれません。
ただ、インド国内企業または日系ではない外資でのITのポジションはというと、周りは99.9% IT職種のインド人(顧客・同じ会社のメンバー含め)、そして残りの0.1%は報告先である日本人の先輩です。

英語が使えないと、入社前の手続きから既に困難が待ち受けています。

ノマドビザは無い

ノマドビザとは、最低限の高額収入など条件を満たすと、一定期間(1年〜など)その国に滞在することができるビザのことです。

このノマドビザでは、滞在中その国で働いていてもいいし、リモートで日本の仕事をしてもいいし、もっというとお金さえあれば働いていなくてもOKです。

この魅力的なビザは最近韓国でも解禁されるなど、いろいろな国で適用されていますが、インドにはノマドビザはまだありません。

インドに限らずですが、就労ビザでは雇用契約書など現地法人からの書類提出が必要なため、インドに住みながら日本の仕事をリモートで行うことはできません。
なお、観光ビザで滞在しながら収入を得る行為は基本的に禁止されています。


以上、日本人がインド現地でIT人材になることが難しい理由を挙げました。

まとめ

  • 外国人の最低年収が高いので、外国人を雇える企業数が少ない

  • インド人でもできる仕事をしてはいけないので、IT分野における外国人求人自体が少ない

  • 英語ができる日本人が対象

  • ノマドビザは無いので、IT特有のリモートワークで収入を得ることができる特長は活かされない

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