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人との出会いで育まれる、デザイン思考力

あなたの持つ可能性を最大限に開発、実現することで、もっと自分らしく生きる。
世界がひろがるアカデミー」校長の倉本美津留が聞き手となり、アートディレクター 森本千絵の人との出会いで育まれる、デザイン思考力に迫る

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──前回、人間力最大化計画でも講師をしていただきましたが、いかがでしたか?

(森本)
コロナの真っ最中に講演するので、意を決してgoen°のみんなでかなり準備しましたが、残念ながら課題を出した2回目の講義は生徒さんが半分くらいしか出席できなくて。2人1組でやる課題なのに、片方が欠席という人達が多かったです。
これまで受講を重ねて色んな人と出会っているのに、そのくらいの精神力なのか、もう1人がいるから発表大丈夫と思われたのか。最後までにやりきる精神が無いとクリエイティブは突破できない。
もちろん、応えてくれた稀有な生徒さんもいて、その方たちとはその後濃厚な距離感も生まれました。でも今度は課題の出し方とか考えなきゃなと反省しました。

(倉本)
1回目の授業がすごく面白くて、みんな絶対身になっているなと思えていたはずなのに、もったいないなと感じました。どんな理由があるにせよ、「何があっても行かないと!」という精神力っていうのは大事で、チャンス逃しているよっていうことを、(今回の授業では)伝えてもらうといい授業になりそうですね。

(森本)
zoomで講義が成立する時代に、対面で講師も生徒も集まる意味ですね。

(倉本)
たぶん講義に来なくて(オンラインで)観た人がほとんどなんですよ。行かないとだめだったとあの後反省したとは思います。その辺の感覚を先にお伝えできるといいですよね。

(森本)
大学生向けにzoomで授業をする機会がありますが、大学や団体ごとに反応が違いますね。ある大学の学生は全員zoomで、当たり前の事だけどしっかり顔を出しています。1人1人熱意のある姿勢が伝わってきて、確実に話を1回感じ取って、解釈した質問が授業後にどんどん来る。
同じ週に別の大学生のzoom授業を行ったら、100人近くの顔は全員オフで、ミュート。ほとんども質問ない。
都合よく聞いて、人とコミュニケーションする。自分が心を開いた時だけ情報が入る。SNSで自分が見たい時だけつぶやく。自分合わせで検索したら自分がほしい情報が見つかる時代ですからね。だから、コロナ禍でコミュニケーションをとって、会えなくてもどうやってその人の感性を引き立たせたり、緊張感を成り立たせるかっていう事を、学校指導の仕方や講師のやり方次第で全然違うということを実感しました。

──森本さんご自身はなにかセミナーなどに参加されたことはありますか?


(森本)
アートディレクターの大貫卓也さんの広告を学びたくて、宣伝会議の雑誌を買って応募したら、コピーライター養成講座と間違って広告批評に応募していたんですよ。お金払っちゃったので毎週行きましたが、美大の子が誰もいなく、全員一般大学の子でコピーライターをやりたい人ばかりでした。スーツで会社帰りの人もいて、間違えた~!って気づきました。でももう、コピー頑張るしかないなと思って。
課題でコピーを書いて出して、10位以内は毎回発表されて講師に金の鉛筆もらえる。その時に好きなコピーを毎回デザインしようと思ったんです。課題で発表されたコピーを載せたポスターのデザインをするという、自分が考えた課題をいつも家に帰ってやりました。その後も講師の会社を訪ねて、「あの時のコピーにビジュアルを付けたので見てください!」っていうしつこさを発揮し。
コピーライターはデザイナーの相棒だから、企画書の書き方とか、コンセプトの立て方や理屈を思い切り習えました。相棒の案件で普通のデザイナーが学んでいないコンセプト、グラフィックテーマ、アートディレクションテーマのアートディレクションとは何か、デザインとは何か、世界観とはって、そこが曖昧じゃなくて、どう違うかっていうのをコピーライター的に習って。
それで褒められたコピーに毎週ポスター作っていたから、作品が同級生より10倍位の量になって、トラックで運ばないと入社試験会場へ運べないという事件に至りました。
プランナーの白土(謙二)さんを講座で初めて知ったのですが、CMは音で変わるって言って見せていただいたのが、言葉の話じゃなくてウイスキーの水割りの広告。グラスがドアップにあって、注ぐ時に氷河の崩れる音をあてたのが、すごくおいしそうで。耳で聞こえる情報と絵の掛け算て面白いとすごい感動ました。そのうち、全然知らない先生の講座でも、夢中になっていて、後半はコピーも提出し評価されて鉛筆や賞を何個かもらいました。

(倉本)
だから自分が思い描いていないところに可能性があって、後ですごい役に立つんですね。

(森本)
遠回りして学んだことは、今武器になっています。いきなり就職して配属されてデザインの事だけ習う人より、すごい速さで周りの技術の部分を習えましたね。コピーライターの人と仕事するときも、コピーを見てすぐに良いもの悪いものの判断ができる。ドーナツみたいに、自分が分からなかったり、自分が「こうかも!」という可能性があるんだったら、世の中的にすごいと言われている人から何か吸収すると自分を凄く大きくしてくれますよね。

──この先どんな世界になるのかは、自分次第。

(森本)
私は20代の学生には、何をしたとしても、(世の中的に)今おなかの中にいる赤ちゃんが出てきた後の世界を、君たちが良くも悪くも作らざるをえないから、超責任あるよって言ってます。すごい面白いものを作れば、その子はすごい面白いものに出会える。

(倉本)
そうなんですよ、出会わせる側になれるわけなんですよ

(森本)
みんながつまんないと思っていたら、その子はすごいつまんないところを生きなきゃいけないじゃないですか。20代は自分たちがまだ子供だと思っているから。そうじゃなくて、この先、生まれてくる子たちの世界を、作らなきゃいけない側の立場なのに、みんなそこの意識がないの!それだけ責任はあるんだよね~っていう話を、学生にはしっかり言います。

(倉本)
それは学生には絶対に言わなあかんことだし、そのことを忘れた大人に対して「思い出せ~!」っていうのも大事なんですよ。

(森本)
授業も教える側が面白くなかったらなにも響かせることができない。こっちにも責任がありますね。最近若い人が広告目指さないのは、逆に面白い広告がないからかなとか。倉本さんのビートルズの存在のような、私の場合はアップルの「Think Different」の広告がそれでした。今の仕事辞めてでも飛び込みたいと思うぐらい熱狂する広告がないから、そりゃあそうだよな~って。面白くできてない広告の先輩が広告やろうぜって誘えないって思って、すごいジレンマに感じ、たまに落ち込んだりします。作る側の立場ができてないから、世界は変えられていない。

(倉本)
でも、その世界っていう範疇を、まず自分の世界を広げるっていう事がスタートしてほしいですね。自分は何もできへんちゃうかな~ってと思っても一足飛びにパーンと行く可能性があるので、(世界が広がるアカデミー講座の)1年で何かボタンを押せたらなって思いますね。

──人と出会うことで成長できる。

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(森本)
私は人に出会うとすぐプレッシャーになるんです。私はその人の出会いに感謝するけど、出会うことでものすごく自分にプレッシャーを与えているから、その人と喋れるようになる自分に成長しなきゃっていう事で、裏で猛勉強したり、調べたりしています。そこが自分の成長になるので私は人に会わなきゃいけないんです。

(倉本)
いや~これはみんな見習った方がいいで!

(森本)
緊張して恥ずかしくなり、そこで頑張れない自分になると、もう落ち込む。もうその人に二度と会えない!って。みなさん何か考えていて、苦しんで作っていて。その存在を前にきちんと対応するためには、自分もデザインを通してそれだけの人にならないと失礼だし。家でずーっと落ち込んで引きこもるけど、次に会うまでの2週間で自分がどれだけ人間的に大きくなれるのか?って思うわけですよ。でもそう簡単に2週間で人は変われない。
考え方とか、心の在り方を2週間以内に対等に信頼してもらえるよう成長しなきゃいけないわけです。外見て、空見て感じたり、その人が好きな音楽を沢山聞くし、なんでこの音楽好きなのか感じたり。色んな事をするから人に会うと忙しくなっちゃうんですよ。

(倉本)
人に会うと自分で苦しんで確実に成長していくをずっと繰り返している感じですよね。だから、人に会うと勉強できるというか知識が増えるし、やっぱり出会うことがすごく大事なんですよ。この講座で出会ったら、次の課題与えて最低2回会うっていうことじゃないですか。それ、すごい、今、千絵ちゃんが言ったサイクルに近いようなことになるから、強制的に成長できるシステムになると思うんですよ。

(森本)
循環するんですよ、それがすごい不思議。いっぱい吸収するといつの間にか影響されたことを忘れて、自分のものになって。それでまた次のものに出会った時に、自分の知識として発揮して循環するので、私エコだなって思うんですよ(笑)

(倉本)
もらったものをちゃんと還せてるっていうね!交換なんですよ、これは。

(森本)
私の場合は講座として一番最初にお金を出したのは宣伝会議なんです。そこからはもう就職して循環させて、人に会うために講座にお金を払ったりするのはその後無いわけです。ここで最初に(世界が広がるアカデミー講座に)お金を払って、1回出会えば、多分しばらく循環していけるぐらいの講座だと思います。

(倉本)
自分プレゼンのために会いたい人に会いに来るっていうのは全然ありなので。講師になっている人も新しい出会いが欲しいと思ってきているはずなんですよ。

(森本)
私もデザイナーを募集しているので、出会いがあったらいいなって思います。

森本千絵

森本 千絵


1976年青森県三沢市で産まれ、東京で育つ。
武蔵野美術大学 視覚伝達デザイン学科を経て博報堂入社。
2007年、もっとイノチに近いデザインもしていきたいと考え「出会いを発見する。夢をカタチにし、人をつなげる」をモットーに株式会社goen°を設立。
現在、一児の母としてますます勢力的に活動の幅を広げている。

niko and…の菅田将暉・小松菜奈のビジュアル、演出、SONY「make.believe」、組曲のCM企画演出、サントリー東日本大震災復興支援CM「歌のリレー」の活動、Canon「ミラーレスEOS M2」、KIRIN「一番搾り 若葉香るホップ」のパッケージデザイン、NHK大河ドラマ「江」、朝の連続TVドラマ小説「てっぱん」のタイトルワーク、山田洋次監督『男はつらいよ50 お帰り寅さん』に続き今夏公開予定『キネマの神様』の広告や劇中画を手掛けている。
他にも松任谷由実、Official髭男dismなどミュージシャンのアートワーク、広告の企画、演出、商品開発、本の装丁、映画・舞台の美術や、動物園や保育園の空間ディレクション、最新作に青森新空港のステンドグラス壁画を手掛けるなど、活動は多岐にわたる。

【受賞歴】
N.Y.ADC賞、ONE SHOW、朝日広告賞、アジア太平洋広告祭、
東京ADC賞、JAGDA新人賞、SPACE SHOWER MVA、
ADCグランプリ、日経ウーマンオブザイヤー2012、
50th ACC CM FESTIVALベストアートディレクション賞、
伊丹十三賞、日本建築学会賞、など。

【著書】
「GIONGO GITAIGO J゛ISHO」(ピエ・ブックス/2004年)
作品集「MORIMOTO CHIE Works 1999-2010 うたう作品集」(誠文堂新光社/2010年)
ビジネス本「アイデアが生まれる、一歩手前の大事な話」(サンマーク出版/2015年)
絵本「おはなし の は」(講談社/2015年)
絵本「母と暮せば」(講談社/2015年)


世界がひろがるアカデミー

世界がひろがるアカデミーとは、各分野で成功した12名の特別講師から、実体験、考え方、テクニックなど、このアカデミーだけの特別授業を1年間に渡って受講してもらうことで、あなたの可能性を最大化する力を身につけてもらうためのアカデミーです。
12人12色の授業から、日常で出会うことのできない学びや刺激を得てもらい、1年をかけてあなたの力を次のステージへと生まれ変わらせることを目的としています。 「感じる力」「考える力」「伝える力」をアップデートして、昨日までの自分には見えなかった世界へ踏み出してみませんか?
https://sekahiro.jp/

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