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主婦(夫)って最強

元々私は仕事大好き人間で、自分は一生働き続けると思っていました。大好きだった会社を退職する日が来るなんて思ってもみなかった。今もあくまでサバティカル中で、また何かしらの形で、働くということを再開するつもりでいます。

そんな私が、主婦になって感じたこと。それは「主婦(夫)って最強だ」ということです。

私と同じように「働くことが大好きだけれど、家庭やその他の事情で主婦(夫)にならざるを得なかった」という方は、今日も自分の仕事をするために出かけたり、あるいは自営やリモートワークで自室に籠る夫や妻、友人・知人が羨ましく思えるかもしれません。または「1日何の価値も生み出していない(ように思える)」自分が情けなかったり、どうでもいい存在のように思えたりもするかもしれません。

少なくとも私自身は、どちらの気持ちも体験しました。その上で今は、
「主婦(夫)ってものすごい価値を創造しているし、立場を最大限に活用できればいくらでもステップアップできる、魅力的なポジション」と考えています。

[主婦が生み出している価値]

少し前に話題になりましたが、キリンビール株式会社が2016年に発表したという「主婦の年収シミュレーター」に基づく主婦の平均年収は469万8670円(*)。

(*)これはあらゆるケースの平均値で、子持ち主婦(夫)は552万2853円。子どもは1人を想定しているのかしら? 参考:https://woman.mynavi.jp/article/161115-38/

高いか低いか、色々なご意見があるとは思いますが、「年収」に換算して価値を図るというのは、私たちが生きる現代は資本主義社会なんだなぁと、改めて実感します。そして、換算したらきちんと収入が得られて然るべきことをしていると頭では分かっていながら、実際に収入を得ている人よりも価値が低いかのように感じられてしまうのは、やはり、資本主義社会の為せる技なんだと思います(「だって実際にはあなた稼いでいないじゃない」という)。

年収が低くても、あるいは生じさえしなくても、価値のあることは山ほどあって、そのうちの一つが主婦(夫)なんだなぁというのは、自分が主婦という立場を経験するまで考えてみたこともありませんでした。「人が人として生きる基盤を整え、子どもがいれば一人の人間として自立するまで育て上げる」ということに価値がないとは到底思えません。

主婦(夫)と稼ぐ夫(妻)というのは単純に役割分担の話で、稼いでくれる夫(妻)はCFO(「営業担当」の方が相応しい気もしますが、お金周りに責任を持つという意味で)、家庭内の業務全般を担う妻(夫)はCOO、どちらも尊く大切な仕事、ということなんだと思います(ついでに2人が共同CEOというのが望ましい家庭の形だと私は思います)。

[収入源が確保されている]

一方で、自分が働かずとも「収入源が確保されている」というのは、主婦(夫)が素直に感謝し、積極的に活用すべき利点だと思います。自分の置かれている状況を、マイナスにではなく積極的に捉えるということです。

望むと望まざるとに関わらず、主婦(夫)として生活できているということは、ご主人(奥さん)なのか、不労所得なのか、少なくとも何らかの収入源が確保されいるということです。自分はお金の心配をせずに(多少は心配もあるかもしれないけれど)、生活できているということです。これってものすごくありがたく最強です。子育てをしていればなおさらのこと、主婦(夫)の仕事だけでそれなりの負荷はありますが、それでも共働きと比べたら、少なくとも捻出できる時間という点においては、相対的に多いと思います。そして自分が時間を捻出できさえすれば、いくらでも学びや経験に充当でき、ステップアップできるわけです。

私自身について言えば、この当たり前の事実に気がついてから、冒頭のモヤモヤ(羨望や悔しさや自己肯定感の低下)が消えていきました。寧ろ、今という時間を与えてくれている夫に心からの感謝の念が湧いてきました。

[主婦(夫)の時短]

問題はどうやって少しでも多くの時間を捻出するか、です。

「ワーママの時短術」はここ数年よく目にしますが、主婦(夫)だって時短すべきです(なぜ「ワーママ」の時短ばかりフォーカスされて「ワーパパ」の時短は問題にならないの?という不満にも似た疑問はまた追々)。

ルンバや食洗機などの時短家電は「ワーママ」「ワーパパ」のためだけのものではなくて、主婦(夫)だって活用すべき、と思いますが、ここでは追加投資なく時短できる方法を考えてみたいと思います。一つ一つは特段目新しいものではないですが、積み上げるとそれなりの時間を捻出できます。

▼洗濯物は干さず、畳まない
なんだかとてもズボラな人のように思えますが、いいんです。生まれた時間を使いたい大切な目的があるのだから。

デリケートなもの、少しのシワも付けたくないもの、ハンガー収納しないもの(**)を省いて、洗濯機の乾燥機能を利用します。乾燥したら、全てまとめて大きな籠へ。我が家ではテレビ横の収納スペースを利用して、見えない収納にしています。

(**)これは多くの収納術でも紹介されていますし大半の方が実践されているかなと思いますが、下着以外の衣類はハンガーにかけてクローゼットに収納すると、畳まなくて済むので楽ちんです。着る時に選びやすいメリットもあります。

これだけで、干す時間+畳む時間+個別収納する時間=約10〜15分は節約できます。注意点は、小分け収納するわけではないので、取り出す時に衣類が混ざって分かりづらい時があるのと、毎日違う下着を着用する場合はどこかのタイミングで個別収納しないと籠が溢れること。でも、これだけで「洗濯・収納」は一気に楽な家事になります。

因みに、乾燥機能を使わずに干す場合、小物はニトリの引っ張って取り込めるタイプの洗濯物干しがオススメです。https://www.nitori-net.jp/ec/product/8500743s/?rc=set

いちいちハサミを開いて洗濯物を取り外す必要が無いので、まとめて引っ張れば一瞬で取り外せます。これを使うと普通の洗濯物干しには戻れません(笑)。仕様上、ハサミ部分が取り外れやすいので、紛失には注意です。(我が家は既に2つ紛失しました。。)

▼献立表を作る
こちらも目新しいことはないですが、実践している人は案外多くないように感じます。

でも、実際にやってみると、「何作ろうかな?」と冷蔵庫を開けて考える時間がなくなるだけでなく、買い物時間も大幅に短くなります。主婦(夫)の場合、週末にまとめ買いをされるケースが多いであろう共働き家庭とは違い、週に2-3回は買い物にいくケースが多いかなと思いますが、私の場合、1回あたりの買い物時間は袋詰めまで含めて大抵10分以内です。(レジが混雑する時間帯を可能な限り避け、選択肢があるなら自分で精算できるレジを選びます。日用品は、食材とは別に1〜2週に1回買いに行きます。どちらもオンラインで購入しデリバリーを依頼されている方も多いかな?)

そして、毎日毎日「何作ろう」と考える必要がないので、脳の容量を使わずに済んでいる感がものすごくあります。

献立表は、4週間分を作ってルーティンで回します。季節によって、夏は冷やし中華を加えたり、冬はシチューに差し替えたり、都度見直します。「これが食べたい!」という家族の要望が強い時や、外出でスケジュールが変更になった時、特売品を利用して作りたいメニューが思い付いた時などは、メニュー変更もあります。が、家族からの変更要望は買い物に行く前のタイミングでしか受け付けません(笑)

▼早足で歩く
これは、食材や日用品を購入している時にとても強く感じますが、皆さんとてもゆっくり歩かれています。もちろん、ゆったり楽しみながら買い物をしたい時(友人のプレゼントを選ぶ時など)は私もゆっくり歩きますが、日常生活においては、買い物以外でも基本的に常に早足です。せっかちなのかもしれません。季節を感じながらゆっくり歩きたい時や、子どもたちと歩調を合わせて歩きたい時などはもちろんゆっくり歩きますが、そういう時のために、それ以外の削れる時間は極力削る、という感覚です。

▼ながら読書
これはもう、全人類に心の底からオススメしたいです。家事をしながら、移動をしながら、ストレッチをしながら、読書のための時間を捻出せずとも数日で1冊は読めます(本の長さにもよりますし、私の場合には2−3冊並行で読むことが多いので、読破に1週間くらいかかることが多いですが)。座って「読書をするためだけ」の時間を捻出するのがもったいなくさえ感じてきます。

オーディオブックを購入することもありますが、大抵はkindleで電子書籍を購入して、iphoneの読み上げ機能を使って聴きます。特に洋書や実務書などは、分からない単語や理解できなかった箇所を後から目視で確認したいので。ただ、皆さんご認識の通り、やはりプロの音読には劣ります。その上、読み間違いもまだまだ多いです。先日は「外国人」のことを「そとこくひと」と読み上げていました。でもそういう間違いが逆に可愛らしく、愛おしく思えてくるから不思議です(笑)

▼家事の一部を子どもに任せる
これは単にママ(パパ)の仕事をアウトソースして時間を捻出できるだけではなく、子どもの教育上も良いなと感じます。将来家を出て一人で暮らす時に役立つし、家庭を維持し回していくということがとても尊く、同時に大変な面もあるのだと気づいてもらえます(人間、どんなに想像できてもやってみないと分からないことってすごく多い)。

そしてママ(パパ)の面からは、会社でのマネジメントの小規模訓練にもなるなぁと感じます。よく「部下に仕事を任せるより自分でやったほうが早い」という声を聞きますが、家庭内の家事についても正しく同じです。子どもに任せるより、自分でやった方が短期的には効率的。でも長期の目線で見たら、はじめは手間や時間が掛かっても、子どもに家事を覚えてもらって、戦力になってもらった方が余程いい。

我が家では、9歳になる娘に、

・土日祝日の料理各1食
・毎日のお風呂掃除
・ティッシュボックスの補充(古いものがなくなったら新しいものと入れ替える)
・牛乳パック切り(リサイクル用)

をお願いしています。料理は相当に腕を上げて、ハヤシライス、カレー、チャーハン、ピザトースト、ホットケーキなどなど、補助をせずとも一人で作れるものが増えてきました。それ以外の家事は細々したものではありますが、担当してくれることで時間的にも精神的にもとても助かっています。

[家事・育児自体がマネジメントの連続]

家事と育児は、効果的・効率的にこなそうと思ったら、タイムマネジメント、タスクマネジメントの連続です。約20年の専業主婦生活を経て社長になられた薄井シンシアさんも色々なところで語っていらっしゃいますが、本当にその通りと感じます。(https://president.jp/articles/-/49107)

育児における子どもと、会社における部下のマネジメントについても、性質が異なるものではありますが、前章でも触れたように、共通点もまた多くあるのではと思います。

・誰よりも子ども(部下)の成長を望み、信じ、あらゆるアプローチを仕掛ける
・チームの目標(家庭であれば「皆が楽しく元気に心地良く過ごす」など、会社であれば部や課に課せられた目標)に向かい、その達成のためにチームとして最大限のパフォーマンスを発揮できる環境を整える
・子ども(部下)は往々にして信じられないような行動をする
・子ども(部下)が失敗をした時に、親(上司)としてどのようにリカバーし、どのように教え導くか

こうしたことに日々直面し、考え、実践している主婦(夫)は、ある程度の準備期間を経れば、皆素晴らしい上司になり得る素質があるのではないかと思います。

[主婦(夫)はもっと評価されるべき]

病院などで職業欄を記入する時「主婦(夫)」と記載・丸をすることに、少し劣等感を覚えている自分がいました。「自分には『誇れる』肩書きがない」と。でも一度主婦(夫)を経験した方なら分かると思います。毎日毎日、社会的には評価されなくとも、料理を作り、掃除をし、洗濯をし、子どもたちの世話をしながら教育についても考え実践する、主婦(夫)の大変さや尊さが。文字に落とすとどうってことなく感じますが、この間に落ちるような細かな仕事がたくさんありますもんね。ワーママ(ワーパパも?)は、その年収522万円相当の仕事とのデュアルワークになるわけで、もちろん大変なのですが、普通にこなしていて回るわけがないので、家事や育児をアウトソース(ベビーシッター、掃除や調理の代行、時短家電の購入、お惣菜や調理食の購入など)するし(それでも大変なのですが)、何より社会と関わっているという実感があります。仕事をする上での達成感や高揚感、社会の一員であるという感覚は、主婦(夫)ワークのみからはなかなか得られにくく、それが主婦(夫)の孤独感に繋がり、ただでさえ大変な家事や育児が更に大変に感じる、という負のループに陥りやすい。

「主婦(夫)vs夫(妻)」と同じく「主婦(夫)vsワーママ(ワーパパ)」もどちらが大変、という比較は出来ないですし、無意味だと思いますが、やはりどちらも同じように尊く大変、ということです。その上で、ワーママやワーパパが大変、という認知は広がりつつありますが、「主婦(夫)」も同じように大変だしもがいている、そして尊い、ということももっと理解される世の中だといいなぁと思います。

[オススメの映画]

書いていてふと思い出しました。オンラインで、500円で見れる(2021年9月現在)映画です。「あぁ、みんな同じように苦しみながらも頑張っているんだな」と思え、クスッと笑えて、元気が出ます。全てのママとパパに見て欲しいなと思える作品です。
「ママをやめてもいいですか!?」企画・監督・撮影:豪田トモ、ナレーション:大泉洋
https://www.umareru.jp/mamayame/

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