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ウクライナの状況を予感させるような映画‐チェチェンへようこそ

寒い冬に見るような映画ではないかもしれない。あまりに事実が恐ろしすぎて、初めて観た時はなんでこんな映画を観てしまったんだ…と後悔しました。
ちょうど1年前、ロシアのウクライナ侵攻の直前に試写会があり、この映画を観たわけですが、試写会の会場はコロナ禍で換気がよく、とにかく寒くて、そして怖くて震えながら、でも目をそらさずに観てしまったのを覚えています。
この、「チェチェンへようこそ‐ゲイの粛清」は、アマゾンプライムでも見ることができます。

渋谷ユーロスペースで、映画上映があり、終了後に石川大我参議院議員のトークイベントが行われました。
石川大我議員とは、私がアムネスティ・インターナショナル日本で、LGBTQの権利擁護のキャンペーンを始める際に相談にのってもらって以来の付き合いです。今回は、この映画や日本の状況などについて、お話をお願いし、私は聞き手を務めました。

石川大我参議院議員

映画では、同性愛者・同性愛者だと疑われた人たちが、迫害を受け命の危険まで生じていることが明らかにされています。その迫害する加害者は警察もいて、私人からの暴力は放置されています。さらに、チェチェンを支援するロシアは、この状況を見て見ぬふり、というよりも、お墨付きを与えているような状況です。

チェチェン共和国のカディロフ首長は、今回のウクライナ侵攻でも、核の使用を主張したり、未成年の息子たちを前線に送るなど、物議を醸している人物です。
映画の中でも、同性愛者はチェチェンには存在しないと言い切っていました。ここには書けないほどの差別発言も飛び出しました。国のトップの姿勢がこのような状況であれば、国民も自然と迫害に加担することもあり得ます。

日本では、ここまであからさまな暴力はない、と思われがちですが、石川議員よりそうした暴行事件が以前あったこと、また岸田総理秘書官や、その他政治家の差別発言など、公人の差別発言がそれを後押ししてしまうことの危険性などの話がありました。
やはり、法整備として差別を禁止していくことと同時に、差別をしない教育をしていくことも重要です。

30分ほどお話を伺いました

ダイバーシティ(多様性)という言葉も聞かれるようになってきました。さまざまな人たちが社会には暮らしている。それが、社会そのものであって、お互いを尊重することが人権を守るということ。小さなころから感じることが、生きやすい社会を作ります。

映画を観て、トークを聞いた友人から後日話を聞きました。
自分のまわりに、同性愛者がいないから映画を観るのもなんだか怖いと思って迷ったけれど、映画を観て、トークを聞いて、人を愛するのに性別は関係ないとよく分かった。
こんな嬉しい言葉はありません。映画を通じて、または講演を通じて、人権の課題を伝えていくことをこれまでもやってきましたが、それだけではすぐに状況は変わりません。
それでも、一人でもそうした気持ちの変化を感じてくれたら、希望があります。

映画・トークに参加してくださったみなさま、石川大我議員、関係者のみなさま、ありがとうございました!


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