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リードユーザの視点からのデザイン思考のトレーニング エピソード1

はじめに

デザイン思考、新規事業や新商品・サービスの開発といった重いテーマから、日々のちょっとした課題の解決まで、要因が複雑なほど威力を発揮する手法ですね。

デザイン思考を有効に使いこなすためにはいくつかの基礎力が必要になります。例えば、観察・共感力、問題定義力、発想力など。これをリードユーザ*の力を借りてトレーニングしてみましょう。

リードユーザ*はさまざまな障がいを乗り越えて生活しているため、その行動や考え方はとても示唆に富んでいます。今回、そんなエピソードを通して、デザイン思考の1stステップ、観察・共感の力を磨いてみませんか。

*リードユーザ:障がいがありながら自立した生活を送っている、東京都と共同で開発したリードユーザ育成プログラムの修了者。自身の障がいを客観的に語ることができ、障がいを克服しながら暮らしているために次元の違う視野を持つとともに、これから迎える高齢化社会を明示してくれる存在。行動観察やインタビューにより視野の拡大が可能になる。

観察・共感する力は同時に視野を広げたり、発想を豊かにすることにもつながります。誰でもできることですので、ぜひトライしてみてください。

デザイン思考について詳しくお知りになりたい方はこちら

では、まずこちらをお読みください。

リードユーザのエピソード1

コラム写真.001

「キャスバルさんは飲み物の自販機は使わないですよね?」
「しょっちゅう使いますよ」
「え?どうやって商品選ぶんですか?」
「選んでません。ボクにとって自動販売機はロシアンルーレットですね。こう、さぐりながらボタン探すでしょ。そして、この辺かな?と思ったところで押すんです。出てきたもの開けるまでは何が出てくるかわかりませんね。コーヒー飲みたいな、って思ってたらジュースが出てきたり。お汁粉がでてきたときはちょっとびっくりしましたが(笑)」
「飲みたいものが出てこなかったらいやじゃないですか?」
「飲みたいもの買うだけなら、コンビニで店員さんにお願いすればいいじゃないですか。この辺かな?ってあたりをつけて、当たった時とか楽しいんですよね。はずれても、あ、こんな風に商品並べてるんだ、ってわかって。何回かやってるうちに、並べ方の癖みたいのがわかってきて、当たる確率があがるんですよ。とかやってるうちに季節が変わるとまた並べ替えられちゃったりするんですけどね(笑)。」
障がいのあることを楽しんでいて、すごいですよね。
こんなお話聞くと、普段どんな暮らし方されてるのか聞きたくなってしまいますね。

自販機

エピソードを読み解く

これ読んで、”へえ〜、面白い”と思いましたでしょうか。それとも”で?それが何?”と思われたり。ここでどう感じるかで共感力がわかります。

デザイン思考はいくつかの基礎力がないと有効性を発揮できませんが、まずこの観察・共感力が不足すると一番重要な問題定義のレベルが低くなってしまいます。対象となる方が本当に欲しているものは何か知るためには対象者に”共感”することがとても大切です。

キャスバルさんのエピソードに共感するには、まず、自分事に置き換えてみることです。一番簡単なのは、同じように何がでてくるかわからなくてワクワクするものを探してみて、その状況を当てはめてみることです。そんな体験したことありませんか?まずは、そうですね、3つは浮かべてみましょう。

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浮かびましたでしょうか。

例をいくつかあげてみますね。
・がちゃぽん(お金を入れてレバーを回すとカプセルトイがでてくるもの)
・抽選会(ガラポン、がらがら回して玉がでてくる器具)
・宝くじ
・福袋
・クリスマスプレゼント
・手紙
・おみくじ

何が出てくるかわからないから、ワクワクするものって、探すとたくさんありますね。わざわざお金を払ってまでこの体験を手に入れるものもたくさんあります。こうやって、自分事に置き換えることで、共感し、どこにその人の真の価値があるのか探っていくことができると、何を問題として解決しないといけないかが見えやすくなってきます。

キャスバルさんの例で言えば、目が見えない人でも商品をわかりやすくすることではありませんね。むしろ、このわくわく、どきどきする感じをもっと演出して、多くの方が楽しめるようにしたらどうでしょう。一気に世界が広がりますね。これが共感力を高めることの効果です。

もしわからないことや、こんな例は?とかありましたら、コメントいただけると嬉しいです。

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