【詩】ミニシアターのレイトショー
炭酸ジュースの酸が抜ける度、
アイラブユーが聞こえてくる。
ポップコーンが床に落ちると、
辺りは一面火の海だ。
誰もいないミニシアターで、
仕事終わりの僕は映画を観ていた。
無名監督の知らない物語、
下手な演技が鼻につく。
金にもならない作品は、
熱意だけでも価値があった。
されど、深夜。
リクライニングシート。
GABAを含んだドリンクと錯覚して、
熱意だけではどうにもならない。
ミニシアターのレイトショーは、
色彩を感じられなくなった。
無抵抗で無知な僕は、
儚く時間が加速した。
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