【詩】春
彼女の柔らかい黒髪は、
春風に誘われて揺れていた。
産まれたての翠緑は光り輝き、
彩りの側を流れる川のせせらぎは穏やかだ。
幼い花々たちの舞は、
喜びの頂点を表し続けている。
南南西からのギフトは、
神聖な存在による豊穣と平穏であった。
麗しき老女神は、
慈悲深い笑みを浮かべたままだ。
「今年も来たね」
いたずらっ子の君は言う。
去年から季節が一巡しても、
彼女は変わらず側にいてくれた。
変わらず爽やかな空気。
肺に一杯吸った。
何もかも、暖かく包んでくれた。
なってたって、春だ。
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