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"ナチュラルディスタンス"を活かす! 東北から学ぶ魅力の再発見とは?

2020年7月23日に開催されたインバウンド業界最大規模のカンファレンス「インバウンドサミット2020」。「東北」セッションの様子をお届けする。

2011年ごろから外国人観光客の数が伸び、インバウンド受け入れ体制の整備にも取り掛かっていた矢先、新型コロナウィルスの被害が直撃した。しかし、ナチュラルディスタンスをとることが可能である東北の大自然をアピールすることで、これからの時代を生き抜くことができる。

新型コロナウィルスの流行という逆境を逆手に取り、東北における観光業の問題点を解決の方向に結び付けられる。例えば、PRがうまくいってないという課題に関しては地元の人々がSNSを活用して発信していくこと。また東北の人々が現状に満足してしまっているという課題においては、地元に住む外国人や東北以外に住んでいる日本人が新たな魅力を発見すること。これらを行うことで解決が可能となる。


コロナ禍でしていること、すべきこと

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高校生や大学生向けに英語教育を行いインバウンド受け入れの機運を高めている、と山内氏は言う。また、縄文遺跡が世界遺産になることに先駆けてプライベートツアーを企画中。インバウンド業界が再び動き始めたときに、スムーズに外国人観光客を受け入れられるような整備作りに力を入れている。

秋田縦貫鉄道では田んぼアートを見るための臨時列車を走らせている。ナチュラルディスタンスをとることができるツアーであり、東北の大自然を活かした企画である。

日本の四季と関わりのある自然観光は外国人にとって人気の観光資源だ。そこで王氏は自然観光を目的として旅行会社との連携を図っている。さらには中国人の意識調査や消費促進にも取り組み、日本と中国の架け橋的役割をなしている。

外国人観光客が受け入れられない時期だからこそ、今までできていなかったことを始め、インバウンド受け入れに対してじっくりと考える機会になるのではないか。


SNSや外国人を通じた東北の魅力発信

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東北を世界中の人に知ってもらうためには、地元住民がSNSに投稿することが重要だ。その投稿が広まり、問い合わせの増加、観光、リピーターの獲得へとつながっていく。今は一度立ち止まり、地元の魅力をじっくり考え再発見することができるいい機会だと言うことができる。

地元の住民が魅力を見つけるのに苦労するのであれば、東北在住の外国人や日本人旅行客に頼るという方法も大いに期待できる。第三者は地元住民とは違った東北の魅力を見つけることになり、新たな観光資源の発見にもつながる。

このような活動はインバウンドだけでなく、日本人観光客を東北に呼び込むための施策にもなりうる。


ターゲットやコンセプトの明確化、行政や企業との連携

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これからの東北には以下3つのことが求められる。

① ターゲットは誰なのかを明確にすること。② 伝えるべきコンセプトをはっきりさせること。③ 行政や企業と連携して観光産業を進めていくこと。

外国人観光客を誘致するにも、どのエリアの外国人を呼び込むかによって、アピールする魅力は異なる。それぞれのターゲットに応じたコンセプトの提供を行うべきだ。例えば、中国人に人気のスポットは雪見温泉やスキー場などの雪に関するものや星野リゾートなどである。

ターゲットやコンセプトの策定とともに、行政や企業との信頼関係を構築したうえで東北をPRする姿勢が求められる。


強みを活かしたこれからの東北

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青森県にある奥入瀬渓谷や白神山地、秋田県にある田沢湖や乳頭温泉など観光資源は豊富にある。それらは新型コロナウィルスが流行している現在でも、ソーシャルディスタンスを保ちつつ、楽しめる旅行として注目を集める可能性が高い。

いま、日本全体が観光客数を伸ばすことに苦労している。自然観光をいかに世界に発信していくかが課題となってくるだろう。インバウンド受け入れ体制の整備や地元住民との意見交換、魅力の発信など小さなことでも始めていくことが重要である。そして、今こそそれらに取り組むべき時期なのだ。

自然・季節・祭りなど東北ならではの観光資源を活かして、将来につなげていく必要があるのではないだろうか。


<登壇者>
浜知美 氏
アリティーヴィー取締役副社長。アナウンサー。インターネットテレビ局として東北の魅力を10か国で発信。東北に住む外国人と地元の魅力を発信。ハラールの環境整備に取り組む。

齊藤伸一 氏
秋田内陸縦貫鉄道 運輸部長兼運輸営業課長。秋田内陸縦貫鉄道の運転。

山内リチャードン澄子 氏
GLOBAL TABLE代表。「地域の魅力を、世界中のテーブルで語られるものへ」をミッションに掲げる。「インバウンド×まちづくり」セミナーの開催。インバウンド受け入れ環境の整備。

王璇 氏
ENtrance代表取締役。雫石町観光大使。中華圏向けのカスタマイズツアーやプライベートツアーの企画。中国の旅行会社との連携、国際学習交流ツアーの運営。

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執筆:明治大学 渡邉夏美
編集:明治大学 安田舜

▼ インバウンドサミットのオススメnote

▼ 株式会社MATCHA(インバウンドサミット主催)


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